DiSC理論とは? タイプ別の適切な接し方と企業での生かし方を解説
ビジネスで重要なコミュニケーション能力の向上に大きな効果があるとされる「DiSC理論」。しかし「DiSC診断をやってみたけれど、その後どう生かせば良いか分からない」「DiSC診断結果を使って職場のチームパフォーマンスを高めたい」と考えている企業の人事部もいるのではないでしょうか。
本記事では、DiSC理論の概要やメリット、コミュニケーションパターン別に分類される4つのタイプの特徴とそれぞれに対する適切な接し方、DiSC理論の活用方法などを解説します。DiSC理論を自社のコミュニケーション改善やパフォーマンスアップにつなげたい人事担当者さまは、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
DiSC理論とは
DiSC理論は、1920年代にアメリカの心理学者ウィリアム・M・マーストン博士によって提唱され、後に自己分析ツールへと応用されたコミュニケーション理論です。
DiSC理論では、人間を行動パターンによって「主導(Dominance)型」「感化(Influence)型」「安定(Steadiness)型」「慎重(Conscientiousness)型」の4つのタイプに分類しています。それぞれ英単語の頭文字を取って、DiSC理論と名付けられました。相手がどのタイプかを理解すれば、行動やコミュニケーションのスタイルも分かり、良好な人間関係を築きやすくなります。
4つのタイプはそれぞれ異なる特徴を持つため、適切なコミュニケーション方法も別々です。ただしそれぞれの価値は同等で、優劣は付けられないものとされています。
DiSC®とは
DiSC®は、DiSC理論をベースに開発され、ビジネスシーンで人間関係の構築などに利用されている自己分析ツールです。DiSC®理論に基づく自己分析ツールに関しては、John Wiley & Sons社が40年にわたって研究・開発を行い、現在コピーライトを保持しています。日本で一般的に使用されているのは、DiSC®の日本総代理店となっているHRD社が作成した日本語版です。
DiSC®は、人材育成やチームビルディング、職場開発、マネージャーやセールスチームの能力向上など、広くビジネスシーンで利用されています。DiSC®を活用するためには、HRDが主催するDiSCR認定セミナーの受講及び資格者としての登録が必要です。
※参考:HRD社.「Everything DiSC® 関係性の質の向上と生産的な組織づくり」. https://www.hrd-inc.co.jp/service/assessment/everythingdisc/ ,(参照2024-07-06).
※参考:HRD社.「Everything DiSC®」. https://www.hrd-inc.co.jp/www.hrd-inc.co.jp/whatsdisc/ ,(参照2024-07-06).
DiSCを診断する目的
DiSCの診断は、自分と他者に関する理解を深め、人間関係の構築や効果的なコミュニケーション、相互理解の促進に役立てることを目的としています。
DiSCによるタイプ分類における、それぞれの行動パターンや特徴は「共通言語」として機能し、コミュニケーションを助けてくれます。自分と相手のDiSCを把握することで、適切なコミュニケーションを取りやすくなるため、職場の人とより良好な対人関係を構築でき、組織力の向上につなげることも可能です。
DiSC理論とソーシャルスタイル理論の違い
ソーシャル理論は、DiSC理論と同様に人をいくつかのタイプに分類するコミュニケーション理論です。1968年、アメリカの産業心理学者デビット・メリルが提唱した理論で、言動やコミュニケーションスタイルによって、人を以下の4タイプのソーシャルスタイルに分類します。
- ドライビング(Driving:前進型・行動派)
- エクスプレッシブ(Expressive:直感型・感覚派)
- エミアブル(Amiable:温和型・協調派)
- アナリティカル(Analytical:分析型・思考派)
タイプ分類を行う際、ソーシャルスタイル分析では「自己主張or傾聴」「感情を表現するor抑える」を二軸に据えるのに対して、DiSC理論では「外交的or内向的」と「タスク重視or人間関係重視」の二つを軸とします。
またソーシャルスタイル分析では外見的な行動やコミュニケーションをもとに分析を行うのに対して、DiSC理論ではより本質的な個人の特性に重点を置いている点でも異なります。
DiSC理論の4つのタイプ
DiSC理論では、人を以下の4つのタイプに分類し、それぞれに望ましいコミュニケーション方法を提唱しています。
- 主導型:Dominance
- 感化型:influence
- 安定型:Steadiness
- 慎重型:Conscientiousness
4つのタイプの特徴と適切な接し方、向いている職業を詳しくみていきましょう。
主導型:Dominance
主導型は、外交的な性格で、目標指向や責任感などが旺盛なタイプです。チャレンジ精神に優れており、何事にも一生懸命に取り組むとともに、困難な出来事に直面しても諦めずに挑戦していくメンタルと意思の強さも持っています。決断力が高く、迅速な意思決定を行え、結果を出すために積極的な行動が取れるため、いわゆるリーダータイプといえるでしょう。
しかし成果を急ぎ、効率を重視するせっかちな側面があり、自分が主導権を握りたがるため、他人からの細かい指示や既存のルールへの従属を好みません。さらに成果のためにはリスクを顧みず、協調性に欠けるなどの課題も抱えています。
主導型への適切な接し方
主導型は、決断力の高さや迅速な意思決定能力を持っており、効率や結果を重視する性格です。コミュニケーションを取る際は、不要な雑談や無駄に長い説明などは避け、具体的・直接的かつ簡潔に要点だけを伝えるよう意識しましょう。
以下、プレゼン資料に対するフィードバックを例にして、良い接し方とNGな接し方の例を紹介します。
【主導型への良い接し方の例】
「君が作ってくれたこの資料、とても良かったよ。特に独自の視点を入れてくれたことで、かなり理解しやすかった。次は取引先に渡す資料も任せたいから頑張って」
主導型とのコミュニケーションでは、長々とした説明を省き、良かったポイントのみ簡潔に伝えましょう。褒めるのは、本人が自分で考えたり、工夫したりして成果を出したポイントにするとより効果的です。主導型はチャレンジ精神も旺盛なため、次回に向けて挑戦したいと思えるような、少し高めの目標を具体的に設定してあげると良いでしょう。
【主導型へのNG接し方の例】
「このプレゼン資料なんだけど、直してほしい部分があるんだ。まず、ここのところなんだけれど、この前言ったやり方と違っているから修正してほしい。それからここも――」
主導型の人材は、注意する場合でも、細かい指摘や指示などを長々伝えるのは控えるようにしましょう。またマニュアルよりも自分なりのやり方を重視する傾向があるため、改善してほしい部分がある場合もルールを押し付けるのではなく、「⚪︎⚪︎の原因は何だったと思う?」というように、自分で考えさせる方法を採るのが効果的です。
主導型に向いている職業
主導型に向いている職業は、CEO・役員・弁護士・警察官・医者・起業家・政治家などです。
自分の意思や考えを持ち、責任感の強いリーダー気質の主導型には、CEOや役員など、組織全体を引っ張っていく仕事が適職といえます。また医者や弁護士など、他人に対して大きな責任を持つ職業や、警察官のように強い使命感が必要とされる職業にも合っているでしょう。チャレンジ精神や意思決定能力が高く、自分なりのやり方を好むため、起業家にも向いています。
感化型:influence
感化型は社交性が高く、周りとの人間関係を大切にしており、人と関わるのを好むタイプです。感化型を表すinfluenceはインフルエンサーの語源にもなっている単語で、感化型の人も、周囲の人に影響を与えて、自然と明るくさせ、調和を図るムードメーカーな面を持っています。また感情表現が豊かで物事をポジティブに捉える傾向があり、トレンドや新しいアイデアなども積極的に採り入れます。
その反面粘り強さや緻密性に欠けており、単純作業は苦手です。深く考えずに難しい仕事を引き受けてしまったりするケースもあります。また他人の評価を気にする側面があり、周囲から認められなかったり、無視されたりするとストレスを感じてしまいがちです。
感化型への適切な接し方
感化型は、明るく人と接するのが好きな性格のため、積極的なコミュニケーションが求められます。また感化型とのコミュニケーションでは、基本的に対話を重視する姿勢が大切です。
周囲の評価に気を使う傾向もあるため、良いところや頑張っているポイントを探して、積極的にポジティブなフィードバックを行っていきましょう。
【感化型への良い接し方の例】
「お、頑張ってるね!そういえば、この前作ってくれた資料とても良かったよ。君が独自の視点を盛り込んでくれたおかげで取引先でも好評だったんだ」
感化型へのコミュニケーションでは、良い点を見つけたら積極的に褒めるようにしましょう。仕事に対する姿勢や服装など、些細な点でも構いません。明るい雰囲気を保ち、必要に応じてアイスブレイクを入れましょう。また周囲の評価を気にするため、自分だけでなく、他部署や他社などの人から評価されていた話を伝えてあげると、モチベーションアップに効果的です。
【感化型へのNGな接し方の例】
「○○君、ちょっと。このプレゼン資料なんだけど、ここ分かりにくいから具体的な数字を入れてくれない?」
感化型に対しては、指導する際もできる限り、良い点を伝えながら改善点への注意を促すようにしましょう。普段からコミュニケーションを多めに取り、小まめにフィードバックを行うのも大切です。周りの評価を気にするため、注意するときはできる限り一対一で、雑談をベースにした対話をするのが良いでしょう。
感化型に向いている職業
感化型に向いている職業は、クリエイティブディレクター・グラフィックデザイナー・広報・営業・旅行代理店スタッフ・イベントプランナーなどです。
明るく社交的な感化型には、広報・営業・旅行代理店スタッフなど人と接する仕事やチームで行う仕事が向いています。またトレンドや新しいアイデアにも興味があるため、デザイナーやプランナーなど、クリエイティブ関係の仕事も合っているでしょう。
安定型:Steadiness
安定型は、忍耐強く、周囲への思いやりや配慮などを持ち、チームワークや協調性を大切にするタイプです。名前どおりに安定を重視しており、変化を避けたがる傾向があります。仕事でも、言われた業務を言われた通りこなすのを得意としており、何事にもコツコツ取り組む粘り強さが強みです。聞き上手で周囲の声にもきちんと耳を傾けてくれます。
一方で、慣れ親しんだ方法や流れを守ろうとするため、新しいやり方を急に取り入れるのは苦手です。また安定を大切にする反面、自ら決断を下して積極的に行動するのを避ける姿勢も欠点といえるでしょう。
安定型への適切な接し方
安定型とのコミュニケーションを取る際は、変化に対する支援を示すよう心がけましょう。安定による安心感を重視している安定型にとって、新しい変化を伴う行動などは苦手な分野です。情報を事前に共有するとともに、意思決定を行うための時間も与えてあげてください。
【安定型への良い接し方の例】
「このあいだ用意してもらった資料だけど、図やグラフが入っていて、とても見やすくまとまっていたよ。安心して任せられるよ、ありがとう。今度もお願いするね」
周りに気を使い、協調性を大切にする安定型に対しては、こちらも思いやりを忘れずに感謝の気持ちをきちんと伝えるようにしましょう。ただ、安定型は抽象的な話し方だと本当かどうかを疑ってしまう傾向があるため、何が良かったのか、事実と一緒に伝えるのが大切です。
【安定型へのNGな接し方の例】
「この資料なんだけど、ちょっと分かりにくいから、クライアントでも簡単に理解できるよう、もうちょっと工夫してみてくれないかな」
変化を避け、コツコツと物事に取り組む安定型に対しては、抽象的な指示はストレスになってしまいます。改善を促す場合は、どこが悪いのか、どのような方法を採れば良いのか、などをできる限り具体的に伝えるようにしましょう。また新しいやり方には苦手意識を持ちやすいため、「困ったことがあったら、なんでも聞いてね」「質問はいつでもして良いよ」など、相手に安心感を与える一言を付け加えるのもおすすめです。
安定型に向いている職業
安定型に向いている職業は、カスタマーサポート・カウンセラー・人事ディレクター・看護師・保育士・福祉関係者・教育者・セラピストなどです。
周囲への配慮や思いやりを持った安定型には、看護・介護・福祉関係やカスタマーサポートなど、他人に寄り添ったり相手の立場を理解したりする必要のある職業が向いています。また、チーム全体のバランスや協調性などを重視するため、人事や人材育成などの仕事でも力を発揮できるでしょう。
慎重型:Conscientiousness
慎重型の人は、名前の通り手堅い性格で、疑い深く分析的なタイプです。物事に精密さや緻密さを求め、感情や感覚よりも論理的・合理的なデータ・思考を重視します。几帳面で細部にこだわる傾向があり、雑なやり方やずさんな方法は許容できない完璧主義者の一面を持っているのも特徴です。
ただしメリット・デメリットや複数の進め方、想定される結果のパターンなど細かな部分まで検討し、自分が納得できないと行動を起こせません。相手を質問攻めにするケースもあるでしょう。また自分が慎重に判断して選択した結論や方法を否定されると、なかなか素直に聞き入れられず、自分の殻に閉じこもってしまう場合もあります。
慎重型への適切な接し方
慎重型とのコミュニケーションでは、客観的・論理的な説明が有効です。慎重型は、合理的な思考を重視しており、疑り深さも併せ持っているため、簡単に誰かの意見を鵜呑みにしたりはせず、自分が納得しないと実行に移しません。感情的な理論や言い方では、聞き入れてもらいにくくなってしまいます。
【慎重型への良い接し方の例】
「先日作ってもらった資料だけど、独自視点のデータを図表でうまく取り入れられていて説得力が上がっていたよ。納得するまで時間をかけて考えていただけあるね」
慎重型に対しては、具体的かつ論理的な話し方を心がけましょう。「良かったよ」「分かりやすかったよ」のように曖昧な表現だけだと、本当に褒めているのか、実はお世辞ではないかと疑ってしまって逆効果になる可能性もあります。また、自分が納得するまで考え抜いたアイデアや仕事ぶりを認められるとモチベーションアップにつながります。
【慎重型へのNGな接し方の例】
「昨日のプレゼンだけど、なんだか内容にまとまりがなかったね。次からはもう少しスッキリさせた方が良いよ」
問題点を指摘するときに抽象的な伝え方をすると、慎重型の人は感情的に叱られたという印象を持ちかねません。なるべく具体例やデータに基づいた事実を出すのに加えて、相手が分かりにくかった点について質問をする時間を与えましょう。話の途中で少し間を置いて、「聞いて良いよ」「質問できるよ」といった待ちの姿勢を示してみてください。
慎重型に向いている職業
慎重型に向いている職業は、アクチュアリー(保険数理士)・コンピュータプログラマー・会計士・法律家・監査・秘書・投資アナリスト・研究者・科学者・事務員などです。
緻密で細かい部分にこだわる性格のため、法律や会計、保険、プログラムといった精密さや几帳面さが求められる分野で力を発揮します。また、研究者や科学者など、学問分野にも向いているでしょう。完璧主義的な特性をうまく生かせば、秘書や事務員など、縁の下から他者を支える職業での活躍も期待できます。
DiSC理論を活用するメリット
企業が採用や社内のコミュニケーション、人材開発にDiSC理論を活用すると、以下のようなメリットがあります。
- 社内のコミュニケーションが活性化する
- モチベーションが向上する
- 組織のパフォーマンスが向上する
- 採用時の人物像を把握しやすくなる
続いては、具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。
社内のコミュニケーションが活性化する
DiSC理論により職場で自分や他社の特性や行動スタイルを理解できれば、社内のコミュニケーションが円滑になり、活発な交流が期待できます。
社内のコミュニケーションに苦手意識を持つ要因として、行動スタイルの異なる相手とどのように接すれば良いか分からない点が挙げられます。そこでDiSC理論を活用し、相手の行動スタイルに応じたコミュニケーション方法を習得することで、コミュニケーションへの苦手意識が減り、相手を問わず積極的にコミュニケーションを取れるようになるでしょう。結果的に社内のコミュニケーションが活性化し、全体の雰囲気も良くなります。社内の雰囲気
モチベーションが向上する
職場のモチベーション向上が期待できるのが、ビジネスシーンでDiSC理論を活用するメリットの一つです。
自分と他者の特性を理解すれば、自己管理として何をすれば良いのか、周囲とどのように接すれば良いのかが今までより分かりやすくなり、仕事や人間関係の構築に対して前向きに向き合うことができ、自ずとモチベーションは上がります。従業員間でのコミュニケーションストレスを軽減できるため、積極的に周囲と関わろうとする姿勢も芽生えるでしょう。
組織のパフォーマンスが向上する
DiSC理論の導入は、組織のパフォーマンス向上にも貢献します。
仕事を円滑に進める上で、社内のコミュニケーションは大きな割合を占めている要素です。社内コミュニケーションが改善されれば、コミュニケーションに対する不安感や意思疎通のすれ違いといった従業員同士の連携不足や連携ミスによる組織の業務効率低下を避けられるようになります。さらに密なコミュニケーションによって、従業員・業務関係者同士の共通認識がそろうことで、協力体制が構築され、組織パフォーマンスの向上につながるでしょう。
採用時の人物像を把握しやすくなる
DiSC理論は現在の従業員だけでなく、新人の採用時にも効果を発揮します。
採用時における応募者のパーソナリティ判断は、多くの企業が頭を悩ませるポイントでしょう。採用後にミスマッチを招かないためにも、できるだけ実態に近い人物像の把握が必要です。DiSC理論を利用すれば、求職者の行動傾向からタイプや特性を判断できるようになります。選考時の判断基準になるだけでなく、入社してからのコミュニケーションにも活用でき、採用活動や人材育成の効率化にも効果的です。
企業におけるDiSCの活用シーン
企業における具体的なDiSCの活用シーンは、主に以下の通りです。
- チームビルディング
- 管理職のマネジメント強化
- 顧客対応力の強化
- Webコンテンツの作成
それぞれの活用方法やメリットなどを詳しく解説します。
チームビルディング
チームビルディングは、企業においてDiSC理論を生かす代表的な方法の一つです。DiSC理論を利用すれば、職場の人に対する理解が深まり、今までよりもコミュニケーションが図りやすくなります。コミュニケーションの活性化は、メンバー間の相互理解を深め、チームの結束力を高める効果が期待できるでしょう。
ちょっとしたことでも気軽にコミュニケーションが取れる職場なら、メンバー同士の関係性が改善し、業務の進捗も早くなり、チームの生産性向上にも結び付きます。
管理職のマネジメント強化
DiSC理論の活用は、職場における管理職のマネジメント強化にも役立ちます。円滑なコミュニケーションを図る上では、相互理解が重要になるため、相手を理解しようとするだけではうまくいきません。
DiSC理論を活用すれば、部下のコミュニケーションスタイルはもちろん、管理者自身のコミュニケーションスタイルを把握することで、自分の言動が相手に与える影響を考慮できます。互いの個性に合ったコミュニケーションを取ることができれば、部下一人ひとりの能力をより引き出しやすくなるでしょう。
顧客対応力の強化
DiSC理論は社内のコミュニケーションやマネジメントだけにとどまらず、顧客との関係構築においても有効です。クライアントのDiSCタイプを設定・把握できれば、相手の性格や行動パターンの解像度を高められます。
DiSC理論を生かせば、これまで苦手だと思ってきたクライアントであっても、円滑で積極的なコミュニケーションを図れるようになるでしょう。会社の顧客対応力が強化されれば、業績向上にもつながります。
Webコンテンツの作成
DiSC理論は対面でのコミュニケーションだけでなく、Webコンテンツの作成においても効果的です。昨今では、Web上で情報収集・購入商品/サービスを探す企業・ユーザーが増えているため、企業にとってWebコンテンツの充実は必須といえます。
DISC理論をもとに企画やページ設計、ペルソナにあった流入経路などを考えれば、顧客の性格や行動パターンに合わせたコンテンツ作成が可能です。従来よりもユーザーファーストなWebコンテンツ戦略を立案できるようになれば、業績向上も期待できるでしょう。
DiSC理論を活用するときの注意
DiSC理論は、社内の対人関係やコミュニケーションを円滑化する上で非常に便利ではあるものの、活用時には注意点も存在します。DiSC理論はあくまでも相手が好むコミュニケーションスタイルを把握するためのツールであって、各タイプの優劣を決めたり、レッテル貼りをしたりするものではありません。
どのタイプだからといって良い悪いは存在せず、「このタイプは絶対に○○の特徴を持っている」「このタイプだから、この方法でコミュニケーションをとらなければならない」と決まっているわけではないのです。また一人が複数タイプの特性を備えているケースもあります。
DiSC理論を活用する際は、人は誰でも、どのタイプにも当てはまる要素を持っていることを前提として、あくまでも円滑なコミュニケーションを行うための情報の一つとして捉えましょう。
日本人に多いDiSCタイプ
一般的に、日本人には4つのDiSCタイプのうち、安定型と慎重型の要素を持つ人が多いといわれています。島国で平野部が少なく土地の狭い日本では、協調や調和、同調などを求める文化が醸成されてきました。そのため日本社会においては、争いは好まれず、失敗が糾弾される文化のため、新しい試みは避けられる傾向にあります。
またネガティブな要素や言葉に対する、拒否反応が強いのも特徴です。古くから培われてきた社会的・文化的背景によって、和を重んじる精神が根付いていることから、安定型・慎重型のパーソナリティを持つ人が多いといえるでしょう。
ただし上記はあくまでも文化や国民性をもとにした推察であり、全ての日本人に当てはまるわけではない点には留意が必要です。
DiSC理論についてよくある質問
DiSC理論についての以下のような、よくある質問に答えていきます。
- なぜ「i」だけ小文字が使われているの?
- 自分のDiSCタイプが変わることはある?
それぞれの回答を詳しくみていきましょう。
なぜ「i」だけ小文字が使われているの?
DiSCの「i」の字だけが小文字になっているのは、他の文字と読み間違えないためです。大文字の「I」だと、フォントによっては数字の「1」やLの小文字「l」との区別が付きにくく、誤って覚えられてしまうことも考えられます。そこでDiSCでは、他の文字や数字とはっきり区別できるよう「i」だけが小文字になっています。
自分のDiSCタイプが変わることはある?
DiSCタイプは、成長やライフステージに応じて、タイプも変化する可能性があります。ただ、DiSCタイプの診断は、個人の対人間の欲求を測定しているため、置かれている環境や本人の希望などからは影響を受けにくいテストです。DiSCタイプの変化はないとはいえないものの、短期間に変わるケースは少ないといえるでしょう。
DiSC理論を活用したチームビルディング研修の例
最後はDiSC理論を活用したチームビルディング研修の例として「Need 4 Speed(ニード・フォー・スピード)」を紹介します。「Need 4 Speed」は、チーム対抗でバラバラになっているクルマのパーツを正確に組み上げる時間を競うタイムトライアルです。
取り組むに当たってはどの手順で組み上げるのが効率的か、チーム全員でコミュニケーションを図りながら進める必要があります。徐々に難易度が高まっていく仕様のため、コミュニケーションによってどれだけ認識のズレをなくせるかが、タイムを縮める鍵です。
アクティビティを通してDiSCの診断結果から特性が見え、パフォーマンスを最大化するためにコミュニケーションが活発になる研修となっています。コミュニケーションやチームでの協力の仕方に関する気付きを得られるため、DiSCを利用したチームビルディングに最適です。
まとめ
DiSC理論は、人間を特性や行動パターンによって4つのタイプに分類するコミュニケーション理論です。DiSC理論を利用すると、ビジネスで重要なコミュニケーションの能力向上が期待できます。他にも職場のコミュニケーション活性化や従業員のモチベーションアップ、チームビルディング、採用活動など、さまざまなメリットがあります。
従業員のコミュニケーション能力を高めて会社のパフォーマンスをさらに高めたい方や顧客・応募者などをより深く知りたいと考えている方は、ぜひDiSC理論や自己分析ツールDiSC®を取り入れてみましょう。
ワークハピネスでは、DiSC理論を活用した「Need 4 Speed」をはじめとする各種研修を実施しています。DiSC理論を利用してみたいけれど、具体的なやり方が分からない場合は、ぜひ研修の利用をご検討ください。
以下から、研修に関する資料のダウンロードや問い合わせが可能です。ぜひご利用ください。
WorkHappinessでは、組織の風土・文化に焦点を当てた組織開発サービスを提供しています。社員個人だけではなく組織全体における対応力の向上を目指すための変革プロジェクトの立案から実行、定着までをフルサポートいたします。現在組織内における対応力についてお悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。