心理的安全性の作り方とエンゲージメントに与える影響を解説
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心理的安全性の作り方とエンゲージメントに与える影響を解説

あなたは職場メンバーとの会議中、A案、B案、C案の候補が出され、なんとなくの空気感でA案で決まりそうな時「自分としてはB案の方がいいのにな」と心の中で思った状況を体験したことはありませんか?

「ちょっといいですか、私はA案よりもB案の方がいいと思います、なぜなら・・・」と自分の考えを伝えることができていない方は、今の職場で心理的不安を感じながら働いている可能性が高いです。

昨今、人事領域では「心理的安全性」の重要性が問われ始めています。心理的安全とは「チームで自分の素直な想いを自由に発言できる状態」のことです。

本稿では「心理的安全性」の高め方や、エンゲージメントに与える影響、メンバーとのコミュニケーションにおいてどのように気をつければ良いか解説していきます。

心理的安全性とは何か?

「心理的安全性」とは、チームや組織においてメンバーが安心して意見を出し合える環境や状態のことを指します。この考えは、アメリカの心理学者 エイミー・エドモンドソン博士によって提唱されました。

「心理的安全性を感じられている」とは、共に働くメンバーを前にしてあなたが「ありのままの自分でいても大丈夫」と思えている状態です。

昨今リモートワークも広がり、お互いどんな仕事をしているのか、どれだけ忙しいのか、コロナ禍前のオフィスワークの時に比べて把握・理解することが難しい環境となりました。それによって、お互いに対して誤解が生まれてしまい、過剰に配慮してしまったり、逆に配慮できずに相手に対して働きかけてしまったりといった状況が起きています。

このような環境下において、組織が一丸となって協働し、成果を出していくためにも心理的安全性が必要と言われるようになりました。

心理的安全性がぬるま湯と言われる理由

学習ゾーンとぬるま湯ゾーンの図

心理的安全性の高い組織を目指すばかりに、メンバーに高い目標を設定しない、納期を守らなくても良いといった課される責任が高くない、「お気楽な」環境や風土をつくることではありません。その勘違いのまま組織づくりをしていくと図の中の左上の「ぬるま湯」という状態なってしまいます。本来目指すべきは右上のゾーン「学習 または 高いパフォーマンスゾーン」です。

組織はミッションやパーパスに沿った高い目標を設定し、その目標実現のために相互に協働する、その協働をしていく上でお互いに言いたいことが言い合える、自分のことを率直に伝えられる関係性、それが心理的安全性なのです

心理的安全性がエンゲージメントに与える影響

エンゲージメントとは組織のミッションやパーパス、ビジョンに共感しているとともに、組織カルチャーにフィットしていると感じていることが大切です。その中で、自分らしい貢献ができていると感じられているか。これらが揃うとエンゲージメントが高いと言えます。

心理的安全性は組織カルチャーを健全にする

心理的安全性は、組織カルチャーに大きな影響を与えます。

組織には必ずと言っていいほど「カルチャー」があります。そこに集う人々の価値観の集合体が作り出す組織の当たり前の基準、行動の基準です。組織が社会に貢献し、成長し続けるためにはこの組織カルチャーを健全なものに保ち続けるためにも心理的安全性というものはとても大事なものとなります。

従業員の意欲が下がらない職場に変わる

組織が貢献と成長をし続けるためには、社会や顧客を意識し続け、そのために価値を生み出すカルチャーが必要となります。カリスマリーダーが率いる組織は別ですが、ほとんどの組織は、価値を生み出すためにメンバー間で建設的な議論や試行錯誤をしていく必要があり、そこに心理的安全性は必須となります。

価値を生み出す過程において、一人一人が自分らしい貢献ができていると実感しているか、例えば冒頭の会議の場面のように、自分の今までの経験によって培われた意見、アイデアを率直にぶつけることがどんな結果に繋がろうとも(仮にそのアイデアが採択されなかったとしても)今後も貢献し続けたいと意欲が下がらない環境には必ず心理的安全性が担保されているのです。

心理的安全性が高い環境を作るには何が必要か

心理的安全性が低い職場環境では、以下の4つの不安に囲まれています。

  • 「無知」と思われる不安
    (こんなことも知らないの?と思われたくない)
  • 「無能」と思われる不安
    (こんなこともできないの?と思われたくない)
  • 「邪魔」と思われる不安
    (あの人のせいで仕事が進まないと思われたくない、こんなこと発言したら嫌われるかも)​
  • 「ネガティブ」と思われる不安
    (自分の発言でチームの和を乱すことになったらどうしよう)

この4つの不安が存在する職場では、従業員のパフォーマンスや組織全体の効率が低下していく可能性があります。心理的安全性を高めるためには、リーダーがオープンな姿勢でメンバーが必要とした時にいつでもサポートをする職場環境を築いていくことが必要です。

職場の心理的安全性の測定方法

心理的安全性という抽象的な概念を具体的に測定するのは簡単ではありませんが、ハーバーランド・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン博士は、心理的安全性を測定するための具体的な質問7つを提唱しています。

  1. 1、チームのなかでミスをすると、たいてい非難される。
  2. 2、チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える
  3. 3、チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. 4、チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. 5、チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. 6、チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. 7、チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

これらの質問に対する回答を分析することで、職場の心理的安全性レベルを評価することができます。ぜひ、上記の質問であなたの職場の心理的安全性をチェックしてみてください。

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心理的安全性のある職場の構築方法

先述した4つの不安(無知・無能・邪魔・ネガティブ)を払拭していくには、4つの因子を組織内に芽生えさせる必要があります。

その因子とは、以下のものです。

  1. 1.「話しやすさ」
  2. 2.「助け合い」
  3. 3.「異質の尊重」
  4. 4.「挑戦の奨励」

もし、あなたが組織の中核だったり、リーダーだったりする場合、特に以下の問いを自分自身に投げかけてみてください。

  • あなたは(メンバーが)直接話のできる、親しみやすい人になることができていますか?
  • あなたは現在持っている知識の限界を認めることができていますか?
  • あなたは(メンバーにチーム活動への)参加を促すことができていますか?
  • あなたは(メンバーに)失敗は学習の機会であることを強調することができていますか?
  • あなたは自分もよく間違うことを積極的に示すことができていますか?
  • あなたは(メンバーに)明確なOB杭(チームで守るべき最低限の行動や取り組み姿勢)を設定し、示すことができていますか?
  • あなたは(メンバーが)OB杭を超えた時に、メンバーに責任を自覚させることができていますか?

いかがでしょうか。これらを意識していただくことで、心理的安全性が組織に芽生えて来るでしょう

コミュニケーションで気をつけること

管理職研修を提供している中で心理的安全性の解説をすると、「具体的な言動レベルでどのようなところに注意する必要があるのか」というご質問を多くいただきます。

職場の心理的安全性を低くする4つの不安(無知、無能、ネガティブ、邪魔)

そこで、お示しするのは画像のチェックリストです。先述の4つの不安ごとに、その不安を増大させる言動を示しています。ぜひあなたもチェックしてみてください。

善意で役割を遂行している上での言動のはずなのに、このチェックリストに入っていてショックを受けた方もいるかもしれません。それだけ今の時代のメンバーとのコミュニケーションは難しくなってきています。

こういった言動は、無意識の反応によるものが多いです。仮にメンバーがあなたの言動をチェックした場合、あなたはつけていなくとも、メンバーはチェックする項目があるかもしれません。

無意識の自分に気づくという観点で、(怖いかもしれませんが)メンバーにこのチェックリストをつけてもらうのも良いかもしれません。


ワークハピネスでは、職場の心理的安全性を高め、従業員のエンゲージメントを向上させる施策をご提案します

ワークハピネスは、組織のエンゲージメント低下にお悩みの企業様に、低下要因を分析した上でエンゲージメント向上施策をご提案しています。

エンゲージメント向上施策の検討をされておられる組織の担当者様にまずご提案するのが、「インタビュー」です。診断する前に処方はできません。

本来は、エンゲージメント高く働きたいと思っている人が入社しているので、その人たちがなぜエンゲージメントが低い状態になってしまっているのか、何がエンゲージメントに影響を与えているのかをインタビューで明確化し、打ち手を具体的にしていくことが「急がば回れ」の手法だと考えています。

関連資料ダウンロード

関連資料「エンゲージメントを高め、離職を防ぐための3つのポイント」は以下のリンクからダウンロードいただけます。

エンゲージメントを高め離職を防ぐための3つのポイント

この記事を書いた人この記事を書いた人

滝澤 正教

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。

多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。

中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。

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