従業員幸福度とは?従業員満足度との違い、計測方法、高めるポイントを解説
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従業員幸福度とは?従業員満足度との違い、計測方法、高めるポイントを解説

従業員のやりがいや働くことに対する喜びを測定する指標の一つに「従業員幸福度」があります。フルタイム、時短勤務だけでなく、テレワークなど多様な働き方が認められる近年においては、従業員一人ひとりの働き方に対するモチベーションも大きく異なります。同時に、仕事や企業に求めることが異なることから、従業員幸福度の向上に注目する企業も増えています。

この記事では、従業員幸福度について、従業員満足度との違いや計測方法、向上させるポイントなどさまざまな観点から解説します。

従業員幸福度(EH)とは?

従業員幸福度は従業員のやりがいや働くことへの喜びを数値化して示した指標です。Employee Happinessの頭文字を取りEHと表されることもあります。

幸福度という主観的な評価を数値化することで、企業側は従業員がどのようなことにやりがいを感じているかを把握できます。同時に幸福度が低い部分を知ることで、適切なアプローチ方法を検討する手段としても有効です。

近年は生活様式の変化に伴い、リモートワークやオンライン商談など働き方も多様化してきました。従業員から企業に対する評価も、給与や労働時間といった数値化しやすい指標に加え、福利厚生の充実度や従業員満足度の高さなど、さまざまな観点から判断されています。

日本では従業員幸福度の指標は認知度が高いとは言えませんが、海外では大手企業を中心に導入されており、従業員幸福度を向上させることは企業の収益性アップにもつながることが分かっています。企業で働く従業員の幸福度を上げることは、企業と従業員双方にメリットとなるのです。

従業員幸福度を向上させることは、個々のパフォーマンスをアップし従業員の退職率を下げる効果もあるため、これからの時代に必要な取り組みと言えるでしょう。

従業員満足度(ES)との違い

従業員幸福度と似ている指標に、従業員満足度(Employee Satisfaction)という言葉があります。従業員満足度は給与や労働時間、福利厚生、職場環境などに対する従業員の満足度を数値化した指標です。従業員満足度の向上に対する取り組みは日本でも実施している企業が多く、従業員幸福度より馴染みがあるのではないでしょうか。

従業員満足度は主に労働環境の充実度が評価されることに対し、従業員幸福度では働く人の幸福度が評価されます。従業員満足度との違いは、充実度ではなく幸福度を表している点です。一見すると従業員満足度を向上させると、従業員幸福度も向上するように思えるかもしれません。

しかし、働く環境を整えても従業員幸福度に直結しないケースもあります。給与や労働時間といった直接的な待遇を改善しても、業務内容が辛かったり働く意義が見出せなかったりすると幸福度は上がりません。従業員の不満を正しく認識し、適切にアプローチすることで従業員幸福度の向上が実現できるのです。

従業員幸福度に大切な要素

幸福学の研究によると、幸せには地位財と非地位財の2種類があるとされています。

地位財はお金や地位など他人との比較によって生じる幸福感で、非地位財は健康や家族、趣味など他人との比較では生じることのない幸福感です。これを職場環境に当てはめると、地位財は給与をはじめとする待遇の充実度、非地位財は仕事へのやりがいや自分が必要とされていると感じる幸福度で表せます。

一般的に地位財の効果は長続きしづらいと言われているため、地位財だけでなく非地位財も併せて高めることが必要です。給与を上げるといった待遇の見直しは短期的には高い効果が見込めるかもしれません。しかし、長期的な視点を持ち、従業員が仕事に喜びを見出し幸せな気持ちで働ける環境を整えることが大切です。

従業員幸福度が重要な理由

従業員幸福度が重要な理由

企業においては、待遇の改善を行ったにもかかわらず、従業員の生産性が向上しないことがあります。このような場合、従業員満足度だけを重視し、従業員へのアプローチが不十分であった可能性があります。

給与が上がり、職場の環境が整えられていると、従業員満足度は高く評価される傾向にあります。一方で、仕事量が増加して過酷な労働状況に不満を感じていた場合、従業員幸福度は下がってしまいます。評価と現状の間に差が生じてしまうと、従業員は働きづらさを感じ、結果として生産性が上がらない状態になります。そのため、本当に社員が幸福に働けているかを確認できる従業員幸福度は重要な指針と言えるでしょう。

従業員の日常的な幸福状態を理解する

従業員幸福度の測定により従業員の日常的な幸福状態が理解できます。企業が従業員の実態を把握できれば、自社の強みや弱みを再認識することにもつながるでしょう。例えば従業員が不満を持っている部分を改善することで、業務効率のアップが見込めます。

従業員の幸福状態を理解することは業務や労働環境の不満を解消できます。さらに、従業員の働きやすさを追求すれば収益性の最適化にも直結するでしょう。従業員満足度の測定も実態の把握に活用できますが、効果が長続きしない傾向にあるため長期的な効果がある従業員幸福度も重要です。

イノベーションの促進・生産性の向上

従業員幸福度を知ることで、イノベーションの促進や生産性の向上も期待できます。従業員が仕事にやりがいを感じられるようになると、前向きな姿勢で業務に取り組むことができます。議論も活性化し、これまで気付かなった新しい意見やアイデアが生まれるかもしれません。

また、心から満足して働ける従業員が増えると、社内の雰囲気も変化します。自分の業務に集中していきいきと働ける職場であれば、一人ひとりの生産性も自然と上がるでしょう。さらに、離職率の引き下げや新人社員の定着といった効果も見込めます。従業員幸福度の向上は、企業にとっても多くのメリットをもたらすことが分かります。

従業員幸福度を調査する方法

従業員幸福度を測定するためにはどのような調査方法があるのでしょうか。以下では具体的な調査方法を3つ紹介します。

アンケート・インタビュー

アンケートやインタビューを行う方法は、気軽に取り組みやすい調査測定の一つです。従業員が感じていることを直接的に聞き取るため、リアルな実態を把握できるでしょう。従業員幸福度の調査方法として導入している企業も多く、他の企業と比較しやすい点もメリットです。

アンケートやインタビューを行うときは日常的に感じている幸福だけでなく、不満を抱いている点も把握できるような工夫も大切です。従業員の不満を理解することで、環境改善や今後の施策検討にも役立ちます。

従業員の行動パターンから計測

名札型のウェアラブルセンサーを用いて従業員の行動パターンの情報を取得・分析し、幸福度を割り出す方法もあります。アンケートやインタビューでは、周りの目や評価を気にして実態を聞きだすことが困難な場合も考えられます。

システムを導入するコストは掛かりますが、デジタル手法を活用して客観的に計測したい企業におすすめです。

ハピネス適性検査

ポジティブ・サイコロジーという心のポジティブな面に着目した心理学に基づいて開発された適性検査「ハピネス適性検査」も有効な測定方法です。幸福度の測定に特化した検査で、さまざまな方向から多角的に実態が把握できます。

同時に、従業員一人ひとりの考え方や特性を調査することもできるため、人員配置にも活用できるでしょう。

従業員幸福度を上げるには?

従業員幸福度を上げるには?

従業員幸福度を上げるために、会社はどのような取り組みをするべきでしょうか。まずは、従業員の実態を把握して自社にあった方法を見つけることが大切です。成功事例を活用することも有効ですが、社風や従業員の個性に合わせて実施することを意識しましょう。

以下では施策を行う上で重要なポイントと3つの事例を紹介します。

コミュニケーションの活性化

コミュニケーションを活性化させることは従業員幸福度の向上に欠かせません。仕事が辛いと感じる要因の一つに、人間関係のトラブルが挙げられます。また、人間関係のトラブルは職場全体にとっても悪影響です。トラブルを放置せず、スピーディーに解決できるよう、日頃から積極的にコミュニケーションが取りやすい環境を整えましょう。

また、同じチーム内だけでなく他部門とのコミュニケーションを促す施策もおすすめです。他部門の人と話すことでこれまで気づけなかった業務の意義や役割について知見を広げられたり、新たな刺激を受けたりできます。そのほか、管理職と一対一で面談できる機会を設けてみても良いでしょう。従業員が「自分の話を真剣に聞いてくれる」と感じることは、幸福度向上のきっかけとなります。

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感謝の気持ちを伝えるサンクスカード

アメリカの心理学者であるマズローが提唱した欲求の法則の中に承認欲求があります。人は「他人から認められたい、尊重されたい」と思う欲求を持っています。これは会社での働き方においても当てはまります。「感謝されたい」「仕事を評価されたい」という欲求を満たすことで、幸福度は大きく向上します。

仕事の場では「やって当たり前」「できて当然」という気持ちが強いかもしれませんが、意識して感謝の気持ちを人に伝えることを心掛けましょう。従業員同士で感謝の気持を伝えるサンクスカードを制度として導入するなど、企業側が積極的に働きかけることもポイントです。

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福利厚生の充実化

福利厚生の充実化も従業員幸福度の向上に有効です。企業には従業員の心身や健康をサポートする義務があります。フィットネスジムの利用やトラベル系のサービスなどの導入で、休暇中のリフレッシュを促しましょう。

特にデスクワークが多い職種では、運動不足になりがちです。運動不足はさまざまな体調不良を誘発します。せっかくやる気があっても体調が優れなければ十分なパフォーマンスは発揮できません。従業員が心身ともに健康に働けるような福利厚生を取り入れましょう。

まとめ

従業員がやりがいを持ち幸せに働いているかを表す従業員幸福度は、職場環境の改善や生産性の向上に欠かせない指標です。特に給与や労働時間などの待遇を見直したのに収益化が進まない企業は、従業員の幸福度が低い可能性があります。

従業員の幸福度は、アンケート調査、行動パターンの計測、ハピネス適性検査などによって把握できます。従業員が何に幸せを感じているか、どこに不安を抱いているかを知ることで本質的な課題が見えてきます。実態に即した対策を実施し、幸福度の向上を目指しましょう。

また、従業員幸福度を上げるためには、企業が積極的な施策を打ち出すことも重要です。職場内コミュニケーションを促し、従業員が気持ち良く働ける環境を整えることで離職率を低く抑えられます。心身の健康は幸福度に直結するため、従業員の健康を維持し不調を早期に発見できるように福利厚生の整備も進めていきましょう。

ワークハピネスでは、チームの状態を見える化できるサーベイを使用して、エンゲージメントの向上やチームワークの強化支援を行っております。活用方法は多岐にわたりますので、従業員のエンゲージメントに関して課題をお持ちの方や、他社の事例等を知りたいご担当者様はぜひ一度弊社にご相談ください。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

藤岡 征太郎

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。

医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、セールス&マーケティング本部長。

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