パーパス経営の意味とは?企業に求められる条件やメリットを解説
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パーパス経営の意味とは?企業に求められる条件やメリットを解説

DXやミレニアル世代の台頭などを背景に今注目されているのが「パーパス経営」です。パーパス経営とは「企業が社会に対してどのように貢献するのか」という目的を掲げて行う経営モデルのことです。世界的な取り組みとしてSDGsが掲げられているように今後はますますパーパス経営が求められる時代になることが予想されます。この記事ではパーパス経営の特徴や取り組むメリット、注意点なども含めて解説します。ぜひ役立ててください。

パーパス経営とは

パーパス経営とは

パーパス(purpose)とは英語で「意図、意思、目的」などを意味します。パーパス経営とは自社の存在意義を明確にし、貢献していくパーパスを掲げる経営モデルのことです。パーパス経営の始まりは2018年に世界最大の資産運用会社であるブラックロック社のラリー・フィンク会長兼CEOが、投資先企業の経営者に対しA Sense of Purpose(パーパスという意識)というタイトルのCEO宛への年次書簡で言及したことがきっかけとされています。かつて企業の掲げる経営モデルは利益を追求することでした。そうした企業活動が経済成長をもたらしましたが、一方でさまざまな社会問題も生み出してきました。そのような背景を元に、パーパス経営は自社の利益・業績だけでなく「社会が持つ課題に

どのように貢献していくか」を掲げることで企業の存在意義を定義することを目的としています。

パーパス経営が注目されている理由とは

なぜ今パーパス経営が注目されているのでしょうか。その理由は昨今の世界のテーマになっている「DX・SDGs・ミレニアル世代」といったキーワードが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

DX

まず1つ目の理由として「DXの浸透」という理由が挙げられます。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略語です。DXは近年急速に発達しているAIやビッグデータ、IoTなどのIT技術を活用して企業の業務における変革や改善を目的とする取り組みのことです。

DXの要素はパーパス経営と密接に関係しており、企業の生き残りにはDXの取り組みが必須ともいわれています。

DXを導入・活用するには企業が一丸となって取り組むことが重要です。したがってDXを導入することで個人(従業員)と企業がそれぞれの目的意識を統一し、業務を通じて社会に貢献することを目標に持たなければなりません。そしてそれはパーパス経営に必須の要素です。

SDGs・サステイナビリティ経営

世界規模でテーマになっている「SDGs・サステイナビリティ経営」はパーパス経営とは切っても切れない関係といえるでしょう。

「SDGs・サステイナビリティ経営」とは「Sustainable Development Goals」の略称です。持続可能な社会(サステナビリティな社会)を実現するための国際目標で2015年国連サミットにて採択されました。SDGsには2030年までの達成予定の17の目標が設定されており、そのなかには「気候変動・教育・イノベーション・雇用」などが含まれています。

SDGsは世界が一つになって同じ目標に向かって進むというワールドワイドなムーブメントです。個人から国家までの幅広いスケールで取り組んでおり、企業としても環境・社会・経済においてサステイナビリティな社会の創造に参加することが求められています。

そのような状況から企業としての存在意義を明確にするためにパーパス経営が注目されています。

ミレニアル世代

ミレニアル世代の台頭もパーパス経営が求められる理由の一つと考えられます。ミレニアル世代とは1980年代〜1990年代半ばに生まれた世代のことです。2000年以降に成人や社会人を迎えた世代であり、インターネットなどのデジタルな環境に慣れ親しんでいる世代です。

ミレニアル世代はDXに対しての抵抗感がなく、すんなりと取り入れることができます。また同時に物心がついた時には既にバブル崩壊後であり、就職難などを経験している世代でもあります。そのような背景もあってか「エシカル消費」への関心が高い傾向があります。エシカル消費とは人や地域、社会に配慮した消費行動で、SDGsの考え方の1つでもあります。

そのため社会的貢献を明確に掲示したパーパス経営を実施している企業は、ミレニアル世代の関心を集めやすく、より良い人材の獲得にも有利になるといえるでしょう。

パーパス経営を行うメリットとは

ここからはパーパス経営を行うことで実際にどのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

スピーディに意思決定できる  理由を含めて解説

パーパス経営はその企業のマスタープランであり、従業員が一丸となってその目的に向かって行動する必要があります。したがって社内でその企業の目的が十分に浸透していなければなりません。社内の目的が一貫していれば意思決定もスピーディに実施することができます。

従業員のエンゲージメントがアップする

パーパス経営とはその企業の存在意義を定義したものであり、社会にどのように貢献するのかを明確化、言語化することです。パーパス経営を企業内の従業員全てと共有することで従業員に「そこで働く意義」を提示することができます。 「自分が何のためにその企業で働いているのか」「何のためにその仕事をしているのか」が提示されることで、自分が社会貢献できていることを感じることができ、結果として従業員のモチベーションの向上、エンゲージメントの向上につながります

イノベーションが生まれる可能性がある

従業員が一体となって社会貢献という共通の目標に向かって進むことで、個々のアイデアをまとめやすくなり結果としてイノベーションが生まれやすくなることが期待できます。

またパーパス経営はDXの要素を含んでいます。デジタル技術を最大限活かすことで新商品の開発・既存サービスの向上・業務フロー改善などにもつながります。

ステークホルダーから支持を得やすい

パーパス経営を実施することは世界的テーマのSDGsに沿うことになります。持続可能な社会を創造するというトレンドを取り入れることができ、消費者や株主など企業のステークホルダーに対してのイメージは良くなり支持を得やすくなります。ひいては投資マネーを集めやすくなる可能性も高まり、企業としての更なる成長が期待できます。

パーパス経営を行う企業に求められる条件とは

パーパス経営を行うにあたって企業に求められる条件があります。ここでは主要な5つの条件について紹介します。

条件1:社会における課題を解決する

パーパス経営の目的は社会課題の解決を前提としたものでなければなりません。企業は単に営利を求める団体であるだけでなく社会システムに組み込まれており、より良い持続可能な社会を生み出すために必要な存在であることを認識することがパーパス経営において重要な点です。

社会における課題解決に取り組む姿勢を見せることで、ステークホルダーからの共感も得られやすくなります。

条件2:自社の利益になる

パーパス経営は社会貢献が目的ですが、同時に企業である以上は利益を求められます。ボランティア活動だけではビジネスは成り立ちません。業績が落ちてしまえば企業としての成長・存続は危ぶまれ、ステークホルダーにも不安を与えてしまいかねません。パーパス経営を行う上でも業績が落ちてしまわないように注意が必要です。

条件3:自社のビジネスに結びつく

最大限に社会貢献するための最良の方法は自社のビジネスに紐づくことを通してパーパス経営を実施することです。ただ闇雲に社会貢献を目指しても自社のビジネスとかけ離れたものでは実行することも難しいでしょう。あくまでも自社の事業・ノウハウ・経験との結びつきのあることをビジネスとして実行することに意味があります。

条件4:自社で実現できる

あまりにも理想が高すぎて実行できないというのでは意味がありません。自社の資金力・労働力の範囲内でできる取り組みを考える必要があります。一見すると自社のビジネスが直接社会貢献に関わるものでないように思えても、間接的に誰かのためになっていればそれはいずれ社会貢献につながります。

条件5:従業員のモチベーションアップにつながる

パーパス経営で重要なのは従業員が一体となって自社事業に取り組むことです。それには自社の企業理念と共に従業員に働きがいを感じてもらうことが理想です。そのためにも従業員が共感しやすいパーパスを策定すると良いでしょう。

パーパス経営に取り組む手順を解説

こからは具体的なパーパス経営に取り組む手順について解説していきます。以下の流れで実施するのがおすすめです。ぜひ参考にしてください。

手順1:自社・ステークホルダーについて分析する

まずは自社・ステークホルダーについての分析が必要です。調査方法はアンケート、ヒアリング、産業比較調査、他社比較調査などさまざまなものがありますが、自社の状況に応じたものを選ぶと良いでしょう。

分析内容は自社であれば「3C分析・SWOT分析・コンピテンシー分析・ケイパビリティ分析」など、ステークホルダーに関しては「顧客調査・仕入先調査・ブランド、PRに関する外部機関調査・CSR、SRに関する外部評価機関調査」などがあげられます。

手順2:パーパスを言語化する

パーパス経営を明確に打ち出すためには「パーパスの言語化」が必要です。分析が完了し具体的な方向性が見えたら、企業としての目標として自社全体に浸透させるためにパーパスを言語化します。

手順3:社内に周知する

パーパスが言語化できたら従業員を含め社内全体に浸透するように周知します。社内全体に浸透させるにはパーパスそのものだけでなく、それを掲げる背景や信念なども具体的に説明することでより一層理解されやすくなります。

手順4:経営計画などに落とし込む

社内全体への理解を得たら実際に業務計画などに落とし込んでいきます。そのためにパーパスに基づいたビジョンの策定や具体的な数値の設定が必要です。またその工程において自社の課題なども同時に見つかるでしょう。このステップを踏むことで実際の業務への落とし込みがスムーズになります。

手順5:毎日の業務に落とし込む

最後にパーパスを毎日の業務に落とし込んでいきます。日々の業務でパーパスを意識できるようにするには従業員がパーパスについて理解していなければなりません。自発的に自社のパーパスについて考えることができるように、そのための機会を提供することが重要です。

パーパス経営における注意点  パーパス・ウォッシュに触れながら解説

パーパス経営における注意点としてあげられるのが「パーパス・ウォッシュ」になることです。「パーパス・ウォッシュ」とは一見パーパスを掲げているように見えるものの実際の行動に反映されておらず見せかけのパーパス経営になっている状態を指します。最終的にステークホルダーや従業員からの信頼を損なう結果に陥る可能性もあります。そのような状態にならないよう前述のパーパス経営に必要な条件を考慮することが大切です。

パーパス経営ででてくる課題について詳しくはこちら

まとめ

まとめ 画像

世界的なビッグテーマであるSDGsやDXの流れに沿ったパーパス経営は、いまやビジネスに不可欠な要素といっても過言ではありません。還元すればパーパス経営を実施できなければ昨今の市場では生き残っていくことが難しいともいえるでしょう。

ワークハピネスではパーパス経営に関連した「理念構築・浸透コンサルティングサービス」を提供しています。ワークハピネスならではの自分ごと化するホールシステムアプローチとポジティブアプローチで、パーパス経営に必要な「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」の言語化から業務計画・日々の業務への落とし込みまで一貫してサポートします。新たにパーパス経営の導入をお考えの企業様などぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

藤岡 征太郎

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。

医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。

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