ストレスは人生のスパイス

ストレスは体に悪いと一般的に考えられています。多くの病気はストレスが原因です。では、全くストレスのない人生というのは幸福なのでしょうか？最新の研究によるとストレスのない人は鬱になる確率が高いとの調査結果があります。

仕事や人間関係のストレスから逃げると、人は孤独に陥ります。ストレスから逃げるとストレスと戦う力が低下します。やがて、ちょっとしたストレスでも心を病むようになるのです。これは私たちの直感とも合致します。引退したビジネスパーソンは老いやすく病気になりがちです。数年前、私は2年間会社を疑似的に引退しました。ゴルフをしたりワインを学んだり、自由気ままに世界中を旅したり。ストレスとは無縁な生活です。でも、楽しかったか？充実していたか？と問われたら全く疑問です。一言で言えば張り合いがないのです。

適度な緊張感やプレッシャーがもたらすストレスが身体を活性化させ、人を元気するようです。 さらに興味深い研究は、「ストレスは健康に悪い」と思っている人ほど死亡リスクが高いという調査結果です。一方で、「ストレスは成長につながる」等の意味を見出している人は健康面で良い結果が見られました。

ストレスを感じると、アドレナリンやコルチゾールといった「闘争・逃走」ホルモンが出て、心拍数が上がり、血流が上昇して身体能力が高まります。さらに、「ストレスを良いもの」と認識していると、同時にセロトニン、オキシトシン、ドーパミン等の幸せホルモンが分泌されることが分かっています。「ストレスは悪いもの」と思っていると、これらの幸せホルモンが分泌されず、免疫力が低下していきます。

ストレスに対する意味づけが免疫力、ひいては寿命を左右するのです。 私は公認会計士時代、世界初の日米同時上場を手掛けて昼夜逆転で慣れない英語で仕事をしていました。何ヶ月間も米国の夕方である日本の朝の6時まで働き、数時間寝て10時からのクライアントとのミーティングに参加する生活です。数百億円の調達。多くの利害関係者からの巨大なプレッシャー。過大なストレスと寝不足。
なぜ、過労などで倒れずに乗り越えられたのか？
そこに「成長」や「貢献」という意義を見出していたからです。

人はストレスで病気になる事はないのです。
ストレスに意義を見出せないと病気になるのです。
仕事、子育て、介護等、現在の生活においてストレスから無縁でいることは難しいです。それならばストレスに意義を見出し、ストレスから逃げるのではなく上手に利用していく態度を取るべきでしょう。
一方で、ストレスマネジメントは筋トレに似ています。適度な負荷は必要ですが、負荷が大きすぎると怪我をして免疫力が低下します。あまりに過大なストレスは周囲の力を借りて排除しましょう。

最後に、私の最近の身近な事例を共有します。
毎日ブログを書くというのはご想像の通り、大変なストレスです。始めた当初は本当に憂鬱で朝起きてブログのことを考えると気分が悪くなりました。でも、ある日、毎日ブログを書くことを通して人間として成長している、執筆の能力が高まっている、と意義を見出した途端にブログを書くスピードが早くなりました。相変わらずストレスはあるのですが、この環境に感謝することで心持ちは大変穏やかになりました。来年の今頃には、朝飯を食べるようにブログを書いている予定です。

コロナ禍による生活環境の変化が新たなストレスを生み出していることと思われます。
ストレスに晒された時に人は成長します。
ストレスは人生を美味しくするスパイスです。
避けるのではなく楽しく味わってしまいましょう。

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