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ホテル再建物語 その9 成功の鍵は何だったのか?

何もかも未経験でもV字回復に導いた理由

創業3年目の2004年に90年の伝統ある老舗ホテルの再建を手がけたワークハピネス。(初回記事はこちら

未成熟で未経験な私たちでしたが、15年連続赤字の老舗ホテルの経営を託され、なんと1年で売上を1.5倍に拡大し、ホテルを成長軌道へと導くことに成功しました。

わずか1年の間に、凄まじい量の仕事を手掛けました。

・中華、寿司割烹、イタリアン、アイリッシュパブ、新たな4業態のレストランの開業

・創業以来初のビアホールの開設

・創業以来初のブライダルフェアの実施

・部門別月次損益計算システムの構築(レストランに関しては日次損益計算)

・仕入れコストの20%削減等々

老舗ホテルの社長兼総支配人に就任した当時、私は34歳。

経営者としての実績もなく、またホテル事業も門外漢。

事業再生に関わった経験も皆無。

未熟・未経験の私たちがなぜこれほどうまく事業再建に成功できたのか?

一番重要なポイントは、、

「良いチームを編成できたこと」

これに尽きます。

再建途上では日々赤字が垂れ流されています。

再建はスピードが重要です。

短期間に多くのプロジェクトを同時進行で進めなければなりません。

各プロジェクトにリーダーを指名し、信頼して任せる。

定期的に各プロジェクトの進捗状況を共有し、アイデアを出し合って改善を繰り返す。

プロジェクトを信頼して任せられるリーダーの頭数が必要なのです。

その当時、ワークハピネスは総勢12名だったのですが、そのうちの半分の6名がこの老舗ホテルに常駐しました。しかも、そのうち3名が当時の取締役。私が最も信頼していた右腕と左腕を引き連れて乗り込んだのです。

なぜ、6人も連れて行ったのか?

ずばり、、、、、怖かったからです。

なにせ、ホテル業も事業再生も経験皆無。

こんなに怖い冒険、信頼できる仲間と一緒でなければ勇気が出ません。

本業の人事組織コンサルティングを粛々と守る残りのメンバーに対して、申し訳ない気持ちを抱きつつも、、、6名も引き連れてしまいました。

再建において最初に取り組んだのは人事の刷新です。

約100名のホテルの全従業員と面談して、現場の優秀人材の発掘を試みました。

「当ホテルが復活するためにどのような改革が必要ですか?」と訊ねるのですが、多くの従業員の答えは、、

「分かりません」

15年という長期にわたる赤字で閉塞感が漂う社内。

従前のやり方を延々と繰り返す毎日。

何一つ変わらない環境。

学習性無力症に苛まれ、考える事を忘れてしまっているようです。

そんな中、現れたのが眼光鋭い28歳のSさん。

豊富な黒髪をポマードでオールバックになでつけ、剃り込まれた細い眉で威圧感たっぷり。

出身は茨城。

暴走族OB? 

間違い無いでしょう。

Sさんが、「お前、何もん?」という目で私を睨みつけてきます。

元ヤンキー、元暴走族は昔から得意な私は怯むことなく、型通り、

「当ホテルを良くするために当ホテルが復活するためにどのような改革が必要ですか?」と尋ねました。

Sさんの口からは茨城なまりで、「魅力の無い料理メニュー」、「不効率な宴会オペレーション」、「設備機器の不備」、「働かないシニアスタッフ」等々、「まだ出るか!」と呆れるほど次々に文句が飛び出してきます。

これだけ豊富に文句が出るのは日頃からよく周囲を観察して考えている証です。

短い面談でしたがSさんを好きになりました。

彼と一緒に働いたら楽しそうです。

予想通りで元暴走族だったSさんを当ホテルの要部門である宴会部長に抜擢することにしました。

そして、副支配人、社長室長、人事部長、財務経理部長、ブライダル部長といったその他の主要部門長をワークハピネスメンバーで占める事にしました。

失敗を恐れずチャレンジする風土に

再建に取り掛かった当初、「ワークハピネスの人たちはやがてはいなくなるコンサルタントだから」というような冷めた声がありました。

ところが常駐しているワークハピネスのメンバーたちの真摯に働く背中が彼らの意識を変えて行きました。

繁忙時、飲食店でのアルバイト経験があるメンバーは料理を運び、スキルの無いものはパントリーに入って皿を洗いました。

このホテル内で誰よりも長時間、情熱的に働いている姿はホテルの従業員たちの心を打ちました。

やがてワークハピネスの評判は

「誰よりもこのホテルの成功にコミットしている誠実な人々」に変わっていったように感じます。

さらに、全従業員に示した「失敗を恐れずチャレンジする!」という価値観を背中で示してくれたのもワークハピネスのメンバーでした。

私が社長に就任した全社総会で全従業員に対して、

「私は『失敗を恐れずチャレンジする!』人が好きです」

と伝えました。

「当社には今日から『失敗』はありません。『学習』があるだけです。『失敗』は『学習』と呼び変えて、果敢に挑戦続けましょう!」

と呼びかけました。

会議や総会のあらゆる場面で私は「失敗を恐れずチャレンジする!」という価値観を伝え続けました。

「失敗」した社員がいたら「ナイスチャレンジ!『学習』できてよかったね!」と称えました。

そしてこの価値観をワークハピネスのメンバー以外で最初に実践してくれたのが宴会部長のSさんでした。

会社を良くするアイデアが出たら、迷わず行動を起こす。「失敗」したら、「学習」して修正して再び行動する。

随所で迅速に行動が生まれ「成功」と「学習」が積み上がっていく。

周囲が「挑戦」していると「挑戦」のハードルが下がっていきます。

気がつけば、全社が「失敗を恐れずチャレンジする!」集団となり、ホテルの変革が加速していったのです。

最高のチーム編成を実行する

ベンチャーキャピタル業界に、

「三流の事業計画を持った一流のチームに投資しろ!一流の事業計画を持った三流チームには投資するな!」という格言があります。

果たして「三流の事業計画」で良いのか?と思いますよね。

でも、一流のチームは「挑戦」と「失敗」を繰り返しながら三流の事業計画を一流に仕上げてくるから問題ないのです。

スタートアップを成功に導くのは一流のチーム。

事業再建を成功に導くのも一流のチームです。

もう一度、どこかから事業再建の案件をお願いされたら?

最初に考えるのはチーム編成です。

「良いチームを編成し、大切な価値観を共有する」

良いチームが編成できないならばお断りします。

良いチームが編成できたらなら、それはほとんど成功同然です

老舗ホテルの再建においては、怖かったので大量にワークハピネスから信頼できるメンバーを引き連れて行きました。

仮に次回、再建をお願いされたら、今度は単身で乗り込みます。

恐怖はありません。再建は楽しい仕事です。単身で乗り込み、現場からリーダーを抜擢した方が、人材育成という観点でその会社に大いに貢献できます。

「この会社が復活するためにどのような改革が必要ですか?」

「この会社を良くしたいという情熱を持っているのは誰ですか?」

この2つの質問を投げかけて再建チームを編成します。

最初に「失敗を恐れずチャレンジする!」という価値観を示し、

メンバーとディスカッションを繰り返して、再建のビジョンと戦略を創り上げて行きます。

「良いチームを編成し、大切な価値観を共有する」

これは事業再建だけではなく、通常モードの会社の、事業部門の立て直しや変革においても大変有効な考え方です。

皆さんのチームの変革にも大いに活用可能ですよ!


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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