NTT原則リモートワークがもたらす地方創生?
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NTT原則リモートワークがもたらす地方創生?

NTTグループが働き方の原則をリモートワークとする制度変更を発表しました。

会社への通勤可能圏内に住む必要はなく、出社を要する場合には距離に応じて別途出張手当も支払うとのこと。

日本を代表する優良大企業であるNTTグループの決断は、日本人の仕事と暮らしに大きな変化をもたらす予感がします。

まず、仕事への影響です。

昔も今も、優秀な人材が企業の競争力の源です。

そして時代と共に優秀な人材の定義は移り変わってきました。

高度経済成長期、優秀な人材とは、命令一つでアジアでもアフリカでも突撃していく忠誠心の高い行動力のある人でした。

世界各地に拠点や工場を出して、日本企業がグローバル化する尖兵となって働きました。

低成長に喘ぐ現代の企業においては、優秀な人材とはイノベーションを生み出すクリエイティビティーと行動力をもった人々です。

イノベーターやクリエーターは自分軸を持って自由に行動することを好みます。

満員電車に揺られ、毎日同じ時間に出社を強要されることを嫌います。

好きな場所に住んで、もしくは旅をしながら働けるリモートワークは企業が必要とする優秀人材であるイノベーターやクリエーター達を大いに惹きつけます。

優秀な人材はこぞってNTTグループの門を叩くことでしょう。

原則出社、もしくはリモートとのハイブリッドワークをおこなっている他の大企業は優秀人材の獲得競争で劣後しますから、経営者の判断ではなく、優秀人材マーケットのニーズに応える必要から原則リモートワークへと舵を切らざるを得ないでしょう。

その結果、何が起きるか?

全日本的規模でのフラット&ボーダーレスでの優秀人材獲得競争の幕が上がります。

人材獲得における、地理的不利が消えます。

同時に地理的な優位性も消えます。

インターネットやECの発達によって、才能ある個人はどこに住んでいても自分の企画した製品を世界に向けて販売することができるようになりました。

一方で、ECの発達は地元の小売業を衰退させました。

リモートワークを原則とすれば、辺鄙な田舎町にある企業でも、良い経営をしていれば、優秀な人材を採用できます。

一方で、地元の優秀な学生を採用できてきた、大した経営はしていない地方企業からは人材が流出していくでしょう。

長男でお墓を守らなければいけない。親の面倒を見なければいけない。地元が大好き等々の理由で地元を離れられない理由がある優秀な若者。今までは、地元の雄と言われる地方の優良企業に就職していました。

そして地方の優良企業は、少ない競争環境の中で自社の実力以上の優秀な若者たちを獲得することができました。

しかし、これからは地元の優秀な若者の獲得に関して、日本を代表する優良企業であるNTTグループと競うことになるのです。

全日本的規模でのフラット&ボーダーレスでの優秀人材獲得競争は、採用環境の厳しさを通して全ての企業に経営改革を迫るでしょう。

「地方の割に良い経営をしている」は通用しなくなります。

全日本レベルで見て良い経営をしなければ働く人々に選ばれなくなるのです。

日本人の一人当たりGDPが先進国の中でも低位にあるのは、労働生産性の低さ、特に中小企業の経営効率の悪さにあると言われています。

テレワークの全国的な普及によるフラット&ボーダーレスな企業間の競争は全企業の労働生産性の上昇につながるでしょう。

ピンチはチャンス。

日本の失われた30年からの離脱のためにリモートワーク原則化への流れを千載一遇のチャンスとしたいものです。

次に、大企業のリモートワーク原則が私たちの暮らし方に与える影響です。

リモートワーク原則の拡大は、地方の活性化につながりそうです。

なぜ私たちは大都市に集中して暮らしているのか?

1番大きな理由は、そこにしか仕事が無かったから。

誰しも生まれ故郷が好きです。でも、大人になるとそこに別れを告げる日が来ます。

なぜなら、ここには仕事がないからです。

昭和世代の若者たちは、田舎には情報も文化もなかったので、ただひたすら都会に憧れました。

勇気を持って故郷を後にし、夜行列車に乗って大都会を目指しました。

そして、都会には地元とは全く異なる華やかな人々と文化、そして魅力的な娯楽が溢れていました。

昭和世代の若者は、仕事という理由だけでなく、憧れて大都会に向かったのです。

平成になってからこの流れは大きく変わりました。

インターネットの発達によって、田舎であっても瞬時に大都会の情報が手に入るようになりました。

ECを通して、どこに住んでいても、どんなものでも手に入れることができるようになりました。

今では、あらゆるエンタメもスマホで瞬時に手に入ります。

地方に住む若者達の大都会への憧れは無くなりました。

彼らにとって大都会は、もはや旅行先候補の一つでしかないのです。

地元が大好きで、毎日いつものメンツと地元のコンビニ前にたむろするマイルドヤンキーなる若者達も出現しました。

地元の仲間との絆を大切にし、末長く一緒に楽しく過ごすことを良しとする価値観が震災を経てさらに強化されました。

最近の若者はホームたる地元が大好きです。

アウェイな海外も都会も大嫌いなのです。

できたら、地元で就職したい。

でも、地元には仕事が無い。

仕方ないから、いやいや都会へ就職に行く。

でも、大企業がリモートワークを原則とする流れが加速すれば、地元に仕事が増える可能性が高まります。

地元の優秀人材が給料水準の高い都会の大企業へリモートワーク原則で就職すれば、地元の可処分所得が増えます。

また、大企業のリモートワーク原則は、地元の大企業に対する賃金上昇圧力となり、これまた地元の可処分所得を増加させます。

優秀な若者が地方に留まる率が高まれば、地方の給料水準だけではなく、文化水準も引き上げてくれます。

おしゃれなカフェやレストランに対する需要も高まります。

リモートワークが定着した米国では家賃の高いシリコンバレーやサンフランシスコエリアを離れてフロリダやテキサスに移住する流れが加速し、実際に街の活性化が始まっています。

さて、最後に、保守的な日本の経営者達がリモートワーク原則を導入するか?という疑問。

繰り返しますが、リモートワークの選択は、経営者が決めらのではなく労働市場のニーズ、とりわけ優秀人材のニーズが決めるのです。

先日、テスラモータースの経営者であるイーロン・マスク氏がリモートワークではエキサイティングな製品は生まれないということで、全社員に毎日の出社を求めました。

結果、同社社員は猛反発している模様。

イーロン・マスク氏であっても市場の大きな流れに逆らえば優秀人材の離反となってビジネスで負けることになるでしょう。

リモートワークは日本人の低い労働生産性と地方の衰退を解決する一つの大きな武器となりそうです。

時代の大きな流れに乗って変化を楽しみましょう。


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この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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