「やりがい」は制約から生まれる?
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「やりがい」は制約から生まれる?

先日、社内の雑談会で若者の意外な発言にびっくり。

「今、働き始めてから一番仕事にやりがいを感じている!」

コロナ禍で外出もままならない中、多くの人がフラストレーションを感じていると推察される中での殊勝な発言に嬉しくなりました。

さらに耳を傾けると、

「コロナによって大好きな旅行や音楽イベントなどにはいけなくなったけど、逆にその制約の中でやれることを考えたら、とてもたくさんのことができることに気づき、迷いが消えました!」と。

同時期に、会社を辞めて全国放浪しながら自分のやりたい事を探している若者の「自由すぎて辛い!」という趣旨のSNS投稿を見ました。

コロンビア大学ビジネススクール、シーナ・アイエンガー教授著「選択の科学」によれば、選択肢が多い程、人は悩み、幸福感が低下するとあります。

私には、守るべき家族とワークハピネスに関わる多くの人々に対する責任があります。その制約の中で自分の「やりたいこと」を考えています。「心のおもむくまま」に生きているつもりですが、それはかなりの制約の中での自由です。

選択肢が少ない分、悩む時間は短い傾向にあります。

一方で、独身で守るべき家族もなく、人生の残された時間も豊富で無限の可能性に溢れている若者は選択肢が多すぎて悩む時間が多いのは当然です。

「貧乏だったから働くしかなかった。」

という人がビジネスで成功したり、

「勉強が嫌いだっからボクシングしかなかった。」

という人が世界チャンピオンになったりします。

「自分の好きな事をやりなさい。」

「心のおもむくままに生きなさい。」

これらの言葉は恵まれた環境で育った若者には大変酷な投げかけなのです。

人は、様々なものに挑戦することによって、「好きなこと」、「嫌いなこと」、「得意なこと」、「苦手なこと」を知ります。

やがて、「好きで得意なこと」で人や社会から喜ばれる「やりがい」にたどり着きます。

「やりがい」にたどりつく近道は、とにかく何かを一生懸命やってみることなのです。

1番の遠回りは、思い悩んで止まっていることです。

自らに制約を課して選択肢を減らし、悩み止まっている時間を減らすことが有用です。

コロナでいろいろ制約が増えたと思いますが、これは困ったことではなく、「ありがたい」ことかもしれません。

「やりがい」探しで悩んでいるなら、やりたいことを考える前に、「環境の制約」や「守るべきもの」をまずは決めることをお勧めします。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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