キャリア形成とは?考え方と課題、必要になる力を紹介
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キャリア形成とは?考え方と課題、必要になる力を紹介

働き方が刻々と変化するビジネス社会において、一人ひとりのキャリア形成はとても重要です。キャリア形成によって、今後のビジョンを明確にしたり、よりよく働くヒントを見つけたりできます。

しかし、キャリア形成という言葉を知っていても「キャリア形成が必要とされる理由」や「キャリア形成に向けたアクション」などを具体的にイメージできていない人は少なくありません。

今回は、キャリア形成の重要性や、キャリア形成の考え方と課題、キャリア形成で必要になる力について解説します。自分がなりたい姿に近づくために、まずは自己分析をしっかり行いキャリア形成に必要な力を身につけましょう。

キャリア形成とは

キャリア形成とは、個々人が職業生活を通じて自己の目標を達成し、自己実現を図るプロセスを指します。これには、自己分析、目標設定、スキル開発、経験の積み重ねなどが含まれます。キャリアはライフステージの変化や市場の変動に伴い進化し続けるものであり、積極的な取り組みが必要です。

要素説明
経験過去の職務経歴やプロジェクトへの参加実績
スキル専門知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップ
価値観仕事に対する個人の見解や目標
ネットワーキング職場内外での人脈作りの重要性

キャリアには「仕事で得た経歴・経験」という意味があります。さらに、「人生を通じて持続性や継続性がある概念」としても使われる言葉です。つまり、キャリア形成とは「職業経験や人生のなかで継続して経験を積むプロセス」であるといえます。

また、キャリア形成は出世やスキルアップなど仕事において使われがちな言葉ですが、個人の人生における自己実現を目指すためにも役立ちます。働き方だけでなく生き方についても、5年後、10年後の自分のありたい姿を思い描き、キャリアの持続可能性実現するためにはどうしたらよいか考えることも大切です。

キャリア形成が重要視されている理由

キャリア形成が重要視されている主な理由は、以下の4つです。

  • 終身雇用に対する考え方の変化
  • 転職者の増加
  • AIの発達
  • 働き方の多様性

終身雇用に対する考え方の変化

かつて日本には終身雇用の企業が数多くありました。しかし、現代では経済の低迷やグローバル化によって、終身雇用や年功序列は崩壊しつつあることが現状です。

就職すれば長期間雇用が続くという考えは、今や一般的であるとは言えません。そのため、自分のスキルをどのように磨き、どう働くかを自分で考える必要があります。

転職者の増加

終身雇用制度が崩壊しつつあることと同時に、近年ではよりよい業種や職場で働きたいという理由から、転職を目指す人が増えています。就活や転職を考える人が増えるほど競争率は激しくなり、就職の難易度は高まります。

従来は幅広く業務がこなせる総合職のような働き方が主流でしたが、最近では専門スキルに特化したスペシャリストのような働き方も増えています。また、個人に求められるスキルが多様化していることからも、自分の強みとなるキャリアを築くことが大切です。

AIの発達

人々が行っている仕事の多くは、AIによる代替が可能と言われています。既に無人店舗や顧客分析のように、AIが人間の代わりに行っている仕事もあります。

一方で、AIに代替えできないような職種や業務ももちろん存在します。社会にとって必要な人材となるためには、将来のことを考えてキャリア形成を行う必要があります。

働き方の多様性

「働き方の多様化」もキャリア形成が重要視される理由の一つです。政府はフレックス制度の導入やテレワークの推進など、働き方の多様化を目指しています。雇用環境の変化や企業が求めることに柔軟に対応するためには、言われたまま業務をこなすだけではなく、自分で考えて目的を持ち、自ら行動する力が必要不可欠です。

キャリア形成のために意識すること

キャリア形成のために意識すること

キャリア形成の重要性を理解したものの、まず何から始めたら良いのかわからないという人もいるかもしれません。ここでは、キャリア形成のために必要な心構えや考え方、意識すべきポイントを解説します。

Will・Can・Mustを考える

●Will(やりたいこと):欲求・動機

●Can(できること):経験・能力・強み

●Must(やるべきこと):責任・周りからの要望

Will・Can・Mustを考えることは、自分の状況や状態を冷静に見つめ直すきっかけとなります。「やりたいこと」や「なりたい自分」に近づくヒントを見つけることは、キャリア形成の第一歩です。

目指したい人を見つける

仕事に対する行動や考え方などお手本となるロールモデルを見つけることで、効率良くキャリア形成を続けることができます。

「あの人のようにかっこ良く仕事をしたい」「真似してみたい」と思える人が見つかったら、言動を参考にしながら自分に不足している部分を洗い出して改善していきましょう。

ロールモデルが上司や先輩など身近にいる人であれば、話を聞いて考え方や意識していることを探ることが1番です。著名人や歴史上の人物であれば、著書やインターネットなどから情報を集めてみましょう。

したくないことをリストアップする

中には「キャリア形成をしたいけれど、やりたいことが見つからない…」「今の自分を変えたいけれど、目指したいロールモデルが見つからない」という人もいるでしょう。そのように、キャリア形成の取っ掛かりが見つからない人は、まずやりたくないことをリストアップしてみましょう。以下は、やりたくないことの具体例です。

●体力勝負な仕事

●生活リズムが不規則な仕事

●責任が重く自分にとってプレッシャーになる仕事

●収入が安定しない仕事

やりたくないことがわかると、やりたいと思えることをイメージしやすくなります。

自分の適性を理解する

キャリア形成のためには、自分の適性を理解することも必要です。自分の得意分野や強みを生かした仕事に就くことができれば、やりがいを感じながら働くことができます。

ただし、必ずしも自分の適性にマッチした仕事に就けるとは限りません。理想的な職場に出会えるまで転職を繰り返すという選択肢もありますが、それではキャリア形成はむずかしくなります。

「自分に合わない」と判断する前に、自分が持つ他の適性や能力を展開する道を探ってみることも大切です。

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具体的なキャリア形成の方法

教育と研修の利用

会社内研修

会社内研修は、従業員が新しいスキルを習得したり、現有のスキルを向上させたりするための有効な手段です。多くの企業では、業務に関連する知識を深めるために、定期的に社内研修を実施しています。

  • 新入社員研修:新入社員が基本的な業務プロセスや会社の文化を理解するために行われます。
  • リーダーシップ研修:中堅社員や管理職を対象に、リーダーシップスキルを向上させるための研修です。
  • 技術研修:最新の技術や業界のトレンドに対応するために、技術的な知識を学ぶ機会を提供します。

外部セミナーとワークショップ

外部セミナーやワークショップは、社外の専門家や講師から最新の知識やスキルを学ぶための場です。これらのプログラムは、新しい視点やアイディアを取り入れる機会となります。

経験を積む方法

ジョブローテーション

ジョブローテーションは、異なる部門や職種での業務を経験することにより、多様なスキルや知識を身に付ける方法です。多岐にわたる経験は、将来的なキャリアの幅を広げる助けになります。

メリット具体例
スキルの幅広い習得異なる部門での業務を経験し、様々なスキルを身につけることができます。
ネットワークの拡大他部門の人々との連携を通じて、社内のネットワークを広げることができます。

プロジェクトへの参加

プロジェクトへの参加は、問題解決能力やリーダーシップスキルを向上させるために非常に重要です。プロジェクトは短期的な目標と期限が定められており、成果を出すために集中して取り組む機会です。

  • 新製品開発プロジェクト:チームで新製品を開発し、市場導入までの全プロセスを経験することができます。
  • 業務改善プロジェクト:現行の業務プロセスを分析し、効率化や改善策を提案し実行します。

ネットワーキングの活用

社内ネットワーキング

社内ネットワーキングは、同僚や他の部門のメンバーと良好な関係を築くための重要な方法です。定期的なコミュニケーションや情報交換を通じて、協力体制を強化することができます。

  • ランチミーティング:食事をしながらカジュアルに情報交換できる場を設けます。
  • 社内イベント:趣味や興味を共有することで、職務外でも関係を深めることが可能です。

業界イベントと交流会

業界イベントや交流会は、他企業のプロフェッショナルと直接交流する場です。イベントに参加することで、最新の業界動向を把握するだけでなく、有益な人脈を築くこともできます。

キャリア形成の課題

時間とリソースの確保

キャリア形成を進めるためには時間とリソースの確保が重要です。しかし、日常業務に追われて十分な時間を取れないといった課題が生じます。例えば、業務が忙しく自身と向き合うの時間が取れなかったり、必要なトレーニングや教材の費用が高いことがあります。そこで、具体的な課題とそれぞれの具体例を以下の表で示します。

課題具体例
時間の制約業務が忙しいため自身と向き合う時間が取れない。
リソースの不足必要なトレーニングや教材の費用が高い。

時間管理の方法

優先順位の設定

限られた時間の中で効率的にキャリア形成を進めるために、重要なタスクを優先的に処理することが必要です。

タイムブロッキング

カレンダーに自己成長やトレーニングの時間をブロックして、計画的に行動することで時間が確保できます。

スキルアップのためのリソース確保

オンラインリソースの活用

オンライン学習プラットフォームを利用することで、低コストで質の高い学習資源にアクセス可能です。

企業内リソースの活用

企業が提供するトレーニングプログラムや図書館を利用することで、費用を抑えつつスキルを向上させることができます。

モチベーションの維持

キャリア形成には長期間の努力が必要ですが、途中でモチベーションが低下してしまうこともあります。モチベーションを維持することは、キャリア形成において大きな課題です。具体的な課題とそれぞれの具体例を以下の表で示します。

課題具体例
長期的な目標結果がすぐには現れないため挫折しやすい。
外的要因企業の評価制度がモチベーションに影響することがある。

モチベーションを維持する方法

内在的モチベーションの強化

自分自身の成長を実感することや、自己満足を得ることがモチベーションを高める要因になります。

外在的モチベーションの活用

職場での評価や昇進を目標にすることで、目に見える成果を得ることがモチベーションの維持に役立ちます。

キャリア形成に必要な力とは

キャリア形成を目指すためには、継続的に努力する必要があります。キャリア形成に必要な力を理解し、自己実現に向けて課題点をクリアしていきましょう。

キャリア形成に必要な力は、主に4つあります。

人との関係を築く力

キャリア形成に必要な力の1つが人との関係を築く力です。

SNSやインターネットが発達した現代では、人と人が直接関わり合う時間が少なく、人間関係を築くことに苦手意識を持つ人が多く見られます。しかし、仕事をする上で人との関わりはとても大切です。

コミュニケーション能力を高めることで、相手が求めることに気づいたり必要なアクションを考えたりできるようになります。またコミュニケーションによって情報を共有したり理解度を深めたりすることも、円滑に仕事を進めるうえで重要です。

自分を理解し成長する力

キャリア形成には自分を理解して成長しようとする意思が必要です。

自分のスキルや現在の状況を客観的に考え理解できていると、「できること・できないこと」「得意なこと・苦手なこと」など理想とのギャップを埋めるためにすべきことの把握がスムーズになります。

また成長を続けるため、キャリア形成のために続けてきた努力や成長を振り返る時間も大切にしましょう。

課題を発見し解決する力

キャリア形成は「課題の発見」と「解決」の繰り返しです。自分で課題を見つけ解決する力があれば、着実に自己実現に近づくことができます。

「なぜ上手くいかないのか」「成功には何が必要か」など自分の言動から改善点や課題点を見つけることができれば、あとは解決策を考えて実行するのみです。

仕事にかかわらず普段の生活や自身の行動の中で課題を見つけるクセをつけるよう意識しましょう。

計画を立て遂行する力

キャリア形成のために計画を立てても、遂行する力がなければ失敗に終わります。

キャリア形成のために必要な心構えや考え方を理解することは簡単です。しかし、自分に必要なアクションや課題点を整理して計画を立て、さらに計画を遂行するためには強い意志が求められます。計画を立てただけで満足しないよう、計画と実行をセットにしてキャリア形成を目指しましょう。

“自分のために”なるかを優先して考えよう

キャリアデザインをしっかり行うことが重要

キャリア形成のためには、今の自分を客観的に見つめ直すことも重要です。若手社員であれば、入社時に描いていたキャリアデザインと「今自分がやりたいこと」「今後目指したいキャリア」を比較してみましょう。中堅社員の場合は、「会社が求めるキャリア」と「自分が望むキャリア」にズレがないか確かめることで、自分のためになるかどうかを判断しやすくなります。

今働いている職場が自分のためにならないと思うのであれば、転職することも1つの手です。ただし、自分に「合う・合わない」だけで転職を決めると、同じことを繰り返してしまう可能性があります。転職を検討する前に、まずは今の職場で自分の能力を高めるためにできることがないかどうか考えてみましょう。

就職活動中の人や転職を検討している人は、転職した先の仕事が自分にとってプラスになるかどうか考えることが大切です。仕事を通じて「自分はどのようになりたいか」「どのようなキャリアを身につけたいか」を考えながら、就職・転職先を選びましょう。

【まとめ】

ビジネス社会において、AIの発達や働き方の多様性などさまざまな理由から、キャリア形成が重要視されるようになりました。仕事面におけるスキルアップや出世だけでなく自己実現にもつながるキャリア形成は、自分の将来設計にも大きく影響します。

キャリア形成のためには、まずは自分と向き合って適性や不足している部分を見つめ直すことが大切です。フレームワークを行ったりロールモデルを見つけたりしながら自己分析を行い、コミュニケーション能力や計画を実行する力を高めてキャリア形成を目指しましょう。

キャリア形成は個人だけではなく企業に関しても重要な取り組みです。昨今の転職の主流化やテレワークの推進に伴い、企業は今まで以上に社員と向き合い、変化する社会にどう適応するかを考える必要があります。キャリア形成を通じて、社員個人のスキルアップだけでなく、会社と望むキャリアの方向をすり合わせることも重要です。

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この記事を書いた人この記事を書いた人

藤岡 征太郎

大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。

医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。

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