社員のエンゲージメント向上に効果的な施策とは?
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社員のエンゲージメント向上に効果的な施策とは?

最近、大企業を中心にエンゲージメント向上施策を紹介して欲しいというお問合せが増えています。

エンゲージメントサーベイが導入されてしばらく経ちますが、それがここ最近経営幹部にモニタリングされるものになってきており、そのスコアが芳しくない組織の幹部から、担当者に対して指示が飛び、問い合わせにつながっているという状況が起きている構図です。

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは?

エンゲージメントという単語自体の意味は「つながり」「約束」「絆」です。

人事・組織の文脈で使われるエンゲージメントの対象は「所属企業や所属組織」「仕事(ワーク)」です。その意味合いでのエンゲージメントとは、所属している企業や組織と社員(個人)、相互の成長に貢献し合える関係のことを指します。

エンゲージメントの計測は、「相互の成長に貢献し合える」その度合いをエンゲージメントサーベイで社員、従業員に問い、定量的なスコアにしています。このエンゲージメントのスコアは生産性と相関しているという研究成果もあり、かつ、昨今の人的資本経営の潮流から多くの企業の経営陣が指標として導入し始めています。

企業がエンゲージメント向上に取り組む理由

企業がエンゲージメント向上に取り組むようになった理由は、「離職率」と「生産性」に焦点が当たるようになったからです。

エンゲージメントが低いと何が問題か

エンゲージメントが低下すると、従業員の仕事に対する情熱や熱意が低下し、これが直接的に生産性を損ないます。長期間にわたりエンゲージメントが低い状態が続くと、従業員の離職率が高まり、結果として企業の採用コストと教育コストが増大することになります。

また、エンゲージメント不足は従業員の仕事に対する満足度を低下させ、これが顧客サービスの質にも影響を及ぼす可能性があります。

生産性が低い「転職を検討しているが、転職活動をしていない」層が増加

転職希望者数グラフ

このグラフは、転職希望者数という総務省の統計を元に作成したものです。企業内の正規雇用者の中で、転職など(独立なども含む)を希望している人数の推移で、ここ10年を見ると右肩上がりであることがわかります。10年で転職に対する社会的な価値観の変化が起きていることは明らかです。

この社会的価値観の変化を起こしたのが人材紹介業界です。「適職」に始まるキーワードをはじめ、今従事している仕事や所属している企業が最適なのかどうか、顕在化していない人にも「問い」が生まれるようになったのが大きなきっかけです。ただ、全員が転職活動をしているわけではありません。

転職希望者数の内訳グラフ

このグラフは、転職希望者数グラフの内訳です。非求職者の方が割合として多いです。つまり、この2つのグラフが示していることは「現職を転職したい意向はあるものの、転職活動はせずに今の職場で働いている人が一定数存在し、その数が増えているということです。

エンゲージメント向上に必要なキーワード「心理的安全性」

VUCA時代では、企業に必要な人材は変わり、主体的に変革や価値創造に取り組むリーダーや自律型人材が求められるようになりました。

エンゲージメントが高い人材は「心理的安全性」が確保されている

エンゲージメントの高い自律型人材が自組織でやりがいや情熱を持って仕事に取り組み続けられる環境整備の一環として注目されているのが「心理的安全性」です。

社員は、主体的に貢献しようと言動しようとする際に不安が付き纏います。周囲のメンバーから以下のように思われやしないかという不安です。

  • 「無知」と思われる不安
    (こんなことも知らないの?と思われたくない)
  • 「無能」と思われる不安
    (こんなこともできないの?と思われたくない)
  • 「邪魔」と思われる不安
    (あの人のせいで仕事が進まないと思われたくない、こんなこと発言したら嫌われるかも)​
  • 「ネガティブ」と思われる不安
    (自分の発言でチームの和を乱すことになったらどうしよう)

心理的安全性とは、共に働くチームの仲間の中でリスクをとっても(間違いを認めても、助けを求めても、意見を言っても)大丈夫だと思えている状態です。

そのような意味で、エンゲージメントを高めるためには所属しているチームメンバーとの関係性の構築、チームビルディングは必須です。

パーパス、ミッション、ビジョンに共感すると自ら貢献する

もう1つ必要なものは、所属企業や組織の方向性、つまりパーパスやミッション、ビジョンに対する共感です。自律型人材は自身のことをよく理解しており、なぜ・なんのために働くのか、そのためにどの舞台(どの企業)で自分は貢献と成長を遂げたいのかが明確です。

そうして、自分と組織が相互の成長に貢献できそうな居場所を探すのです。その居場所で先述の心理的安全性を感じながら自分らしく貢献できることが、エンゲージメントを高めていくために必要な要素となります。

エンゲージメント向上のための「5つ」の観点

組織メンバーのエンゲージメントを高めるために、まずは現状を把握する必要があります。

以下、5つの視点でメンバーの認識を確認してみてください。

  • チームの共通の目的、ゴールが明確になっている
  • チームの共通の目的やゴールに自分ごととして繋がっている
  • チームメンバーが皆と効果的に必要なコミュニケーションをとっている
  • チームパフォーマンスの最大化のために強みやリソースを補完して協力し合えている
  • メンバーのチャレンジを応援し、メンバーの頑張りや成長を承認している

これら5つの観点でメンバー全員がYES、満点と回答すればその組織はすでにエンゲージメントに溢れる組織であり、かつ生産性も高い組織と言えます。

もし、そうでなかったとしたら「どのあたりが課題なのか、何をしていけば理想の状態になっていくのか」この観点でチームメンバー同士で対話していく、アクションをみんなで取り組んでいくことがチームのエンゲージメントを高める施策となります。

エンゲージメントサーベイで「現状を知る」「課題を明確にして打ち手に取り組む」「再度サーベイをとる」このサイクルでも良いとは思いますが、サーベイのスコアで出てきたスコアの低い項目に対して、ただ思いつくままにモグラ叩きのように施策を打ってもそれが有効とは限りません

3つのエンゲージメント向上施策

エンゲージメントを向上させる施策は、以下になります。

  • 理念浸透:従業員が組織のミッション、ビジョン、パーパスを理解し、自分の仕事がどのように貢献しているかを明確にする
  • 関係性の構築:一人一人の特性や貢献を承認し合える関係を構築していく
  • 自律型人材への育成:従業員が自身の能力と組織のニーズとの接点を理解し、主体的にキャリアを形成していくことを支援する

そしてこの3つは、どれか1つ実施すれば良いという訳では無く、3つ全て行うのが大事で三位一体の関係でもあります。

ここからは、3つのエンゲージメント向上施策について詳しく解説していきます。

企業理念の浸透

組織のミッション、ビジョン、パーパスを共有し、従業員が自身の仕事による貢献とのつながりを感じることで、一体感と動機付けを促進します。

具体的な取り組み例

・定期的なミッション、ビジョン、パーパスの共有
・全従業員が参加するミッションとビジョンのワークショップ
・個々の貢献がミッションにどう影響するかの事例共有

期待される成果

従業員のモチベーション向上と組織全体の目標達成率の向上

関係性の構築

各従業員の特性を認識し、お互い仕事によって貢献していることを尊重することで、信頼と協力の職場環境を生み出します。

具体的な取り組み例

・チームビルディング活動の定期的な実施
・成果を共有し合うカルチャーの醸成
・承認とフィードバックを組み込んだワークショップ

期待される成果

チームの連帯感強化と個々のエンゲージメントの向上

 

自律型人材への育成

従業員それぞれの自己理解を深め、自組織との接点を探ることで、自律的に行動する成長志向の人材を育てます。

具体的な取り組み例

・自己内省プログラムの実施
・個人の強みと弱みを理解するワークショップ
・従業員のキャリアのサポート

期待される成果

従業員の自己実現感の増大と組織への長期的な貢献

ここで紹介した3つの向上施策は、どれか1つでも欠けてしまうと効果が低くなってしまうので、3つ全て行うことを念頭に置いておきましょう。

真の解決は、エンゲージメント低下要因を分析した本質的なアプローチ

本来であれば、きちんと何がエンゲージメント低下の要因になっているのか、きちんと紐解くことが大事です。人や組織というものは、ロジックツリーで整理できるわけではなく、様々な要因が絡み合っており、本質的な要因にアプローチしないと、エンゲージメントひいては生産性の向上に繋げることは難しいです。

社員のエンゲージメントを向上させた施策事例

事例① 医薬品メーカー

実施した施策内容・組織診断サーベイの実施
・組織内のコミュニケーション活性化
・感謝、称賛の文化づくり
施策実施後の組織の状態サーベイ結果:組織の推進力 が3ヶ月をかけて10%向上

◯施策実施前の状況

エンゲージメントサーベイを全社で実施してており、そこまで低くはなかったものの、リーダーが本取り組みに対して前向きであり、より高めていくための施策を検討していた。

◯サーベイで組織の状態を診断

自分たちが今所属している組織をどのように認識しているかサーベイを実施しました。実施したサーベイは、スクエアホイールサーベイという通信簿のようなアウトプットではなく、その組織状態をワゴンになぞらえたイラストが結果としてアウトプットされるサーベイです。

スクエアホイールサーベイ

アウトプットされたイラストをメンバー全員で見ながら、四角いタイヤは「仕事の進め方がテレワークになっても変わっていないからではないか?」「ロープが長いのは、リーダーとのコミュニケーションの時間が足りなすぎるからでは?」といった自分たちの組織を客観的に見ながら、より良い組織にしていくための課題を自分たちで挙げていきます。

◯実施した施策内容

より良い組織状態にしていくためのアイデアを一人ずつ画用紙に書き、近しいアイデアの人と一緒になって、組織の決済者役にプレゼンを行いました。決済者役から承認を得るとともに仲間の拍手をもらい、組織改善プロジェクトの発足されました。

約3ヶ月後にそれらの進捗状況を報告すると、拍手をくれた仲間の協力もあって組織はみるみる働きやすい職場になりました。このタイミングで再度サーベイをとると、、、結果はお分かりいただけますよね。

ワークハピネスはエンゲージメントを高める施策をご提案します

ワークハピネスは、組織のエンゲージメント低下にお悩みの企業様に、低下要因を分析した上でエンゲージメント向上施策をご提案しています。

エンゲージメント向上施策の検討をされておられる組織の担当者様にまずご提案するのが、「インタビュー」です。診断する前に処方はできません。

本来は、エンゲージメント高く働きたいと思っている人が入社しているので、その人たちがなぜエンゲージメントが低い状態になってしまっているのか、何がエンゲージメントに影響を与えているのかをインタビューで明確化し、打ち手を具体的にしていくことが「急がば回れ」の手法だと考えています。

関連資料ダウンロード

関連資料「エンゲージメントを高め、離職を防ぐための3つのポイント」は以下のリンクからダウンロードいただけます。

エンゲージメントを高め離職を防ぐための3つのポイント

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この記事を書いた人この記事を書いた人

滝澤 正教

人材アウトソーシングのベンチャー企業㈱エスプール(ワークハピネスの親会社)の創立3年目に新卒にて入社。新規現場、プロジェクトの立ち上げから不採算支店を売上日本一の支店に再生するなど、同社の株式上場に貢献してきた。

多数のプロジェクトを通じ、多くのスタッフと携わる中で「人間の無限の可能性」を知り、「人の強みを活かすマネジメント」を広めるべく、2006年よりワークハピネスに参画。

中小企業を中心とした人材開発、組織風土変革コンサルティングPJを推進している。

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