マインドセットとは?意味やビジネスでの重要性や教育方法を解説
コーチングや人材育成の場面で、マインドセットという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。マインドセットとは、経験や思い込みなどをもとに固定された思考や物事の見方のこと。育った環境や時代背景に左右されやすく、個人が持つ価値観もそこに反映されます。社員に対して適切にマインドセット教育を行うことが、ビジネス成功のカギを握ります。しかし、どのようにマインドセット教育を行えばよいか分からない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、人材育成に欠かせないマインドセットについて解説します。あわせて、仕事の成功に関わるマインドセットの重要性や、変化させる方法も紹介します。人材育成にマインドセット教育を取り入れようと考えている人は、役立ててください。
マインドセットとは
まずは、マインドセットとはいったいどのようなものかを説明します。
マインドセットとは、固定化された思考パターンや物事の見方のことです。いわゆる考え方や物事の見方のクセのようなものです。これまでの経験や教育、価値観や時代背景など、あらゆる条件が組み合わさって無意識に形成されていきます。
人材育成をするにあたって、身に付けたスキルの下層にあるマインドが影響していると考えられています。知識やスキルのインプットでは本質的な成果や変化が得られにくいため、本人が気付きにくい部分といえるでしょう。人は無意識にマインドセットによって物事や行動を選ぶため、マインドセットの状態によって状況が大きく変化することも。仕事の成功や業績にも関わってくるため、企業側が適切なマインドセット教育を行う必要があります。
マインドセットの種類を知る
マインドセットには種類があります。その種類を知っておくと、適切にマインドセット教育を行うことができ、仕事の成功にもつながるでしょう。
まず、マインドセットは大きく「成長マインドセット」と「固定マインドセット」の2種類に分けられます。それぞれ与える影響に違いがあり、どちらか一方のマインドセットだけでなく、両方を持っていることがほとんどです。また、マインドセットは個人だけでなく、企業にも存在すると考えられています。企業のマインドセットには、企業として経験してきた出来事や、そこから生まれた価値観や社風も含まれています。
それぞれ種類の異なるマインドセットについて特徴を詳しく解説していきます。特徴を理解し、マインドセット教育に取り入れましょう。
「成長」と「固定」
マインドセットの種類である、「成長」と「固定」について紹介します。この種類の分類は、マインドセットの提唱者の1人であるスタンフォード大学キャロル・S・ドゥエック教授による研究が明らかにしました。
成長マインドセットは、自分次第で成長できると考えることを指します。自分の努力や経験、失敗や挑戦によって学んでいくことができるという捉え方です。
一方、固定マインドセットは能力が決められたとおりであると思い込むことをいいます。努力や挑戦をしても、物事は変わらないという捉え方です。
このように、成長マインドセットはポジティブな思考、固定マインドセットはネガティブな思考が特徴です。
「個人」と「企業」
マインドセットは個人だけでなく、企業も持っている思考であることを知っておきましょう。
個人のマインドセットは、ポジティブな思考の「成長」とネガティブな思考の「固定」の2種類があり、どちらも持ち合わせていることがほとんどです。本人のこれまでの経験や価値観、思い込みから形成された、思考のクセのようなものだといえるでしょう。
一方で企業のマインドセットは、経営理念や方針、経営戦略やビジョンなど企業に形成されている思考のことを指します。企業がこれまでに経験してきた出来事や、そこから生み出された社風なども含まれます。
成長型マインドセットを得るための4つの方法
ポジティブな思考にあたる成長型マインドセットは、本人はもちろん周囲にもよい影響を与えます。マインドセットは無意識に形成された思考ですが、本人や企業の成長のためにも意識できるようになるとよいでしょう。固定マインドセットをなるべく抑えて、成長マインドセットへ転換させることが成功のカギを握っています。
次に、成長型マインドセットを得るための4つの方法を紹介します。マインドセット教育で実践してみましょう。
業務を通して叶えたい目標を決める
マインドセット教育の目的を明らかにするため、まずは本人が業務を通して叶えたい目標を決めましょう。
業務を通して叶えたい目標がない状態では、なかなか前向きになれず、本人の行動へもマイナスな影響を与えます。一方、目標があれば成長マインドセットをもとに仕事に取り組めるでしょう。
マインドマップで思考を可視化
業務を通して叶えたい目標ができれば、マインドマップを作成して思考を可視化しましょう。
マインドマップとは、自分のマインドセットを可視化するためのものです。目標達成のために必要なアイデアや思考を書き出して可視化していきます。あわせて、目標の達成を阻害するマインドセットを書き出しておくのがポイントです。固定マインドセットの可視化にもつながります。
マインドマップで思考を可視化すると、目標達成に向けて解決すべきポイントが明確になります。マインドマップをもとに、高いモチベーションを保ちながら目標達成を目指しましょう。
自分のマインドセットの傾向を把握する
マインドマップを通して思考を可視化すると、自分のマインドセットの傾向を把握しやすくなります。マインドセットの傾向を把握し、対策を立てましょう。
特に、目標達成を阻害するマインドセットが分かると、解決するためにどのような対策ができるか考えやすくなります。
固定型マインドセットを日々意識する
マインドマップを通して普段の行動や意識が固定マインドセットであると分かれば、次は成長マインドセットへ変換するために日々意識することを心がけましょう。
固定マインドセットが原因でネガティブな言動があった場合、意識して切り替えると成長マインドセットへの変換につながります。
組織のマインドセットはどう決まるか
個人だけでなく、企業などの組織にも存在するマインドセット。個人の持つマインドセットとは異なる特徴があり、業績アップのためには傾向を把握しておきたいところです。ここからは、組織においてマインドセットはどのように決まるのかを詳しく説明します。
製品や事業の特性
組織が手がける製品や事業の特性は、マインドセットの形成要因の1つです。なお、これらは組織の風土や業務スタイルに影響を与える要因にもなっています。
例えば、時代の変化や経済状況に応じてニーズが変動しやすい業態では、常に市場の動向や業界の変化を幅広くキャッチし対応する柔軟性が必要です。医療関係の業態であれば、自然と人の身体を大切にするような選択をしていくでしょう。このように、組織の風土や業務スタイルは、取り扱う製品や事業に反映されています。
戦略やビジョン、理念
組織における戦略やビジョン、理念もマインドセットを形成する要因の1つです。企業が発展していく上で欠かせない道すじといえるでしょう。企業文化として定着すると、組織のマインドセットが形成される要因となります。組織全体で共有することで、経営陣も従業員も同じ方向性を持って取り組めます。
企業が経験した失敗や成功体験
マインドセットを形成する要因の一つである失敗や成功の経験は、個人だけでなく企業にも共通する要因です。
企業がその出来事で学びを得て、戦略として反映していくことで、組織のマインドセットの1つとなります。
マインドセット教育が企業にとって重要なワケ
マインドセット教育が企業にとって重要な理由は、個人や組織の行動を左右する要素であるにも関わらず、無意識に存在するものだからです。次は、企業におけるマインドセット教育の重要性をより詳しく紹介します。
従業員が自信を持って行動できようになる
マインドセット教育は、従業員が自信を持って行動するために重要なものです。
マインドセットの種類の中でも、成長マインドセットは目標達成や課題解決への挑戦には必要不可欠です。マインドセット教育を通して、従業員は成長マインドを意識しながら自信を持って行動ができます。成長マインドセットに気付き、努力によって能力を伸ばせたり成長できたりすることを知れるのは、本人にとっても組織にとってもメリットの一つです。
キャリアアップにも躊躇しない
企業の成長には、従業員それぞれのキャリアアップも重要です。特に、管理職希望者の不足を問題として抱える企業は、マインドセット教育を取り入れましょう。
マインドセット教育は従業員がキャリアアップに躊躇せず、高いモチベーションを保ちながら挑戦と努力を続けることに役立ちます。キャリアアップに前向きな姿勢で、経営陣から評価される業務にも進んで取り組めるようになります。管理職希望者の不足の改善にもつながるでしょう。
ポジティブシンキングで社内の雰囲気も明るくなる
ポジティブシンキングであることは従業員や組織の成長を促します。マインドセット教育は、ポジティブシンキングを社内に広め雰囲気を明るくするためには効果的な方法です。
マインドセットの種類の中でも、成功マインドセットはポジティブな傾向のある思考にあたります。マインドセット教育を通して、従業員それぞれがポジティブな成功マインドセットを意識することが可能です。ポジティブシンキングを持った従業員の集まる組織は、オープンな雰囲気を構築できるでしょう。
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マインドセット教育を実施するなら
従業員や組織の成長のためには必要不可欠なマインドセット教育。特に、組織のリーダーには適切なマインドセットが求められます。
次は、企業がマインドセット教育を取り入れる際に大切な2つのポイントを解説します。
リーダーに必要なマインドセット
リーダーが持つマインドセットは、本人だけでなく組織全体にも大きな影響をおよぼします。
特にリーダーは成長マインドセットを意識し、前向きに挑戦していく姿勢が必要です。リーダーのポジティブシンキングが組織全体に広がると、雰囲気が明るくなり意見を言いやすいオープンな環境へと変化するでしょう。
また、優秀な部下を育てるには明確な指導方針のもと、リーダー自身も自信を持ち、取り組まなければなりません。リーダーが成長マインドセットを持っていれば、自信を持って指導にあたることができるでしょう。
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指導のためのマインドセットの取り組み
適切なマインドセット教育には、指導者側がマインドセットについてよく理解しておくことが大切です。指導者側も成長マインドセットの存在を意識した上で、従業員への声がけや指導を行いましょう。
特に、固定マインドセットを持つ従業員に対しては、指導者側から前向きに取り組むことができるような声がけを行います。指導者側がポジティブな行動を心がけるためにも、成長マインドセットをどのように指導に生かしていくか教育するところからスタートしましょう。
マインドセットを仕事の成功に役立てるなら
マインドセットは無意識に存在する思考ですが、本人の行動や意思決定に大きな影響を与えています。無意識に存在するため、意識するためにはマインドセット教育を行い、従業員がマインドセットの存在に気付き、意識や行動の変化へとつなげられるよう企業側が心がけましょう。
ワークハピネスは、人材・組織のコンサルティングを行っています。組織の抱える問題解決のため、ユニークなチームビルディング研修や開発ワークショップを提供しています。また、企業におけるマインドセット教育導入を支援した実績も多数あります。マインドセットに関する研修を検討している方はぜひ一度ご相談ください。
大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。