「チームで本気で何かを乗り越える経験をさせたい」と思い、導入を決めました。研修中では仲間の支えを得ながら自己課題と向き合い、困難な課題を突破する経験を重ね、皆自信を深めていったと感じています。また、「自分自身が自立して会社や理念を実現していく」という信念が芽生えたのではないかと思います。
- 課題
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- 自分の可能性に気づかず、一歩を踏み出すことができない
- 会社の理念を自分ゴトにし、自らが体現してほしい
- 実施策
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- 難易度の高い目標をチーム一丸となって、「本気」で乗り越える経験をする
- 会社の理念と、自分自身が自社で働く意義の接点を見出す
- 効果
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- 自分の無限の可能性に気づき、やればできるという自信が高まった
- 自分自身が自立してペットと人間の共生社会の実現に貢献していくのだという信念が芽生えた
イオンピープルとして理念浸透を大切にしている
人材育成に携わる上で大切にしている想いを聞かせてください
昨今は、ペットとの生活の質を重視されるお客さまが増加しており、ペット事業者は、ペットフードやケア用品、トリミング、健康管理まで高い専門性を持ったワンストップで商品やサービスを提供することが求められています。その上で、私たちイオンペットは、動物と人間の幸せな共生社会の実現を目指し、イオングループの一員として理念教育を大変重要視しております。
イオングループには、創業より培われ現在まで受け継がれてきた不変の理念や価値観を次世代に伝承していくことを目的とした「イオンDNA伝承大学」という教育機関が存在します。
こちらは、国内外の全従業員35万人に門戸が開かれた、国内小売企業で最大規模の企業内大学です。ここではイオンのDNAを体内化し、リーダーシップとオーナーシップで自らがイオンのDNAの体現者となって次世代に伝承していける人材を育成しています。
そして、イオンペットの新入社員も、入社後はイオンピープルとして、イオングループ全体のオリエンテーションに参加し、イオンの行動規範を通してお客さま中心の行動や判断とはどのようなことかを学びます。そこでは、イオンの「お客さま第一」という基本理念の象徴として「ありがとう」という言葉に共感してもらうためのツール、絵本「ありがとうの約束」(文:おちまさと氏)を活用しています。どんな時も「ありがとう」という感謝の気持ちをもつことの大切さを紹介する絵本を通じて、理念の本質を直感的に理解してもらうことを目指しているのです 。
理念 =“何のために”が共有できていないと一枚岩になれない
なぜ、イオンペットはそれほどまでに理念浸透を重視しているのですか
イオングループの一員として理念浸透を大切にしていることはもとより、私自身が2007年に「美容」と「健康」の新規事業起ち上げに参画した際に理念の重要性を痛感したことがルーツにあります。当時は、ゼロから積み上げることの責任とプレッシャーを感じつつ、自分たちの思うように挑戦できるというベンチャースピリットの醍醐味を存分に味わいました。そのとき最も大切にしていたのは、“美と健康のセレクトショップ”というコンセプトでした。良い商品を仕入れてお客さまに喜んで頂きたい一心で、真剣に議論を重ねた日々を今でも鮮明に覚えていますが、当時はその事業にまだ何かが足りないと漠然と感じていました。後になって振り返るとそれは、コンセプトの上にある“理念”(我々が何のために存在しているか)が明快ではありませんでした。
コンセプトは一流でも、「自分たちの存在意義=何のために我々は存在しているのか」が共有出来ていないと意思決定がスムーズに進められず、まとまりのない組織になるということを痛切に感じ、“理念”という、迷ったら立ち戻る所を共有・浸透させることの重要性に気付きました。それが今の人材育成観のベースを作っています。
1)自ら考え、行動を起こせるようになる
2)イオンペットの理念を自分ゴトにし、自ら体現できるようになる
新入社員研修で『ワクワク冒険島』を導入した背景を教えてください
私たちは、“ペットと人間の幸せな共生社会を実現する”という理念を掲げているため、イオンペットの社員は、当社の理念に共感し、自ら問題意識を持って行動でき、お客さまと共に喜びを分かち合える感受性や社会性を備えた人材であることが不可欠です。社会人への意識転換における代表的なテーマとして「自立」が挙げられますが、弊社では「自立」を2つのステップで考えています。
まず、第1ステップは、「自分自身で考え、行動を起こせるようになること」。組織人として、職場の同僚やお客さまとの関係性構築にあたり、自ら考えを持って積極的に関わって欲しいと思っています。特に最近の若い世代はインターネット社会で育っていることもあり、決まった答えを求めがちで、自ら解を導き出すことも苦手としているように感じます。また、学生時代において、人と関係性を築いてチームで困難を乗り越えた経験も少なくなっているため、入社して社会人への一歩を踏み出した段階で、チームで本気で何かを乗り越える経験をさせたいと思っていました。『ワクワク冒険島』では、3日間を通じて仲間の支えを得ながら自己課題と向き合い、突破する経験を重ねていくため “やればできる” という自信に繋がりそうだと感じました。
次に、第2のステップとして「イオンペットの理念を自分ゴトにし、自ら体現できるようになること」。イオンペットの理念と自分自身の働く意義を接続し、仕事を通じて会社に貢献する意欲を醸成したいと思い、それが実現できる『ワクワク冒険島』の導入を決意しました。そして、まずはこの経験を通じて、自分が発する一言一言が自分自身だけでなく、チームメンバーの考えや行動に影響を与え、良くも悪くも影響し合っていることを実感してもらいたいということが私たちの願いです。
“ペットと人間の共生社会の実現” に貢献することが自分ゴトになった
『ワクワク冒険島』を導入したことで、期待通りの成果は得られましたか?
入社した段階で企業理念を内包したテーマと向き合ったことで、「会社に入れたからもう安心だ」ではなく、自分自身が自立してペットと人間の共生社会の実現に貢献していくのだという信念が芽生えたのではないかと思っています。
2013年度の新入社員ほど、ペットと人間の共生についてとことん考え抜いた新人はいないでしょう。これが腹落ちしたことは本当に意義のあることだったと思っています。
4月の研修の前に、ワークハピネスさんは弊社のことをとことん知ろうとしてくださいました。だからこそ、このような研修が実現したのだと思います。
理念の伝道師となり、そのために挑戦できる土壌を創りたい
今後の人事部としての人材育成のミッションは?
私の過去の体験からも「何のために」という理念がないとまとまりのない組織になります。私たち人事部の役割としては、イオンペットの存在意義を社員に伝え、浸透させることだと感じています。そのために、研修を通じてだけでなく、店舗視察での従業員との対話や、本社への相談連絡に応じる際には、必ず理念を織り交ぜて説明するようにしています。そして常々、「何のためにこれをやるのか」を問い続け、“ペットと人間の共生社会を実現する”ことが我々の使命であるということに立ち返るきっかけ作りに努めています。
イオンペットは、仲間の想いや提案の実現を応援する愛社精神と沢山の可能性に溢れた会社です。その未来は一人ひとりのアイデアや挑戦に掛かっています。新入社員はまだ入社して一年にも満たないので、自分自身のことで精一杯だと思いますが、徐々に周りで起きていることを全て自分ゴトとして考えられるようになってもらいたいです。
そうなるためには、経験も年月も必要ですが、少しずつ着実に成長しています。現場に配属されて、ギャップに悩まされたり落ち込むこともあるかと思いますが、そのたびに「乗り越えられたね!」「ほら、やっぱり変われたね!」と言い続けてあげたいです。おそらく、今の彼らにとって『ワクワク冒険島』を超える経験は早々ないだろうと思います。だからこそ、「あのとき乗り越えられたんだから、きっとまた乗り越えられるはずだ!」と、『ワクワク冒険島』で成長した自分を信じて、現場でもあらゆることに果敢に立ち向かってもらいたいです。
一方で、一人一人ひとりが挑戦できる環境を整えていくことも私たち人事の仕事です。会社に貢献し、挑戦し続ける土壌を創れる人をこれからも増やしていきたいです。そのために人事も仕組みや研修を通じて従業員をサポートし続けていきたいと思います。