「三つ子の魂百まで」ということわざがあります。幼い頃の性格は歳をとっても変わらないという意味です。本当に性格は変えられないのでしょうか?性格は変えられるというのが、長年個人のパフォーマンス向上に関わってきた実感です。
柔軟性を高めるポイント
ある日本人が生まれたと同時に、スペイン人に里子に出されたとしましょう。かなりの可能性で細かな事は気にしない陽気なラテン気質を身につけます。
性格は明るく情熱的で大袈裟なジェスチャー。朝、9時からの会議に当たり前のように30分遅れ、ランチミーティングに出たらワインを呑んでオフィスに戻ってくるのは大抵15時ごろ。平均的な日本人とはかけ離れた人物の出来上がりです。
昔、狼に育てられた少年が発見されました。その行動はほとんど狼でした。人間は体験の産物です。どんな人たちに囲まれて、毎日何を体験し、どんな教育を受けたかによって人格を形成されていきます。
細かい指示命令によるマイクロマネジメントしかできないA部長がいました。マイクロマネジメントを続けると部下の主体性が育ちません。自分が詳しくない業務を統括することもできません。このままでは出世は厳しいでです。
A部長本人も自分の課題に気づいているのですが中々変えることができません。彼の生い立ちを聞くと6人兄弟の長男で両親が共働きでした。彼が幼い弟と妹に指示命令を出さないと一家の1日は回らなかったのです。
ちょっとでも気を抜くと兄弟喧嘩が始まり、食事の準備が間に合わず、長男の彼が両親から激しく叱られる。この強烈な幼児体験が彼の性格を形作りました。学校の部活動でも会社でも細かく指示命令を出さないとドキドキするのです。
重要な部分は自分で処理しないとハラハラして寝れません。でもこのA部長は変わりました。細かい事は部下に任せてどしっと構えて責任だけ取るという態度が取れるようになったのです。
きっかけは生い立ちの振り返り。自分という人格がどのように形成されたのかを知ったことでした。
マイクロマネジメントの原因はDNAに刻まれた性格ではなく、育った環境に適応するために後天的に身につけたサバイバルパターンだと知ったことから変化が始まりました。
A部長は様々な事を経験して今や押しも押されもせぬ大企業の部長です。
あの貧しい6人兄弟の長男ではないのです。あの当時のサバイバルパターンはもはや不要と気づき、今、取るべき行動が取れるようになりました。
実力も環境も変わっているのに思考行動パターンが三つ子のままに変わらないのが人間です。
ある部長は子供の頃、運動音痴でしたが勉強ができました。授業中、難しい問題にも良く手を挙げて答えていました。ある日、それを心地よく思わなかったガキ大将に放課後の校舎の裏で殴られました。
それ以来積極的な発言を辞めました。今でも社内で自分の意見を主張することができません。大企業の部長職にある今、彼を殴るガキ大将はもはやいないのに彼の心は子供のままなのです。
あるプロレスラーは犬が苦手でポメラニアンに吠えられても逃げていきます。2歳の時に犬に噛まれたからです。2歳児にとっては小型犬は脅威です。今は身長180cmで100kgオーバーの巨漢。ポメラニアンなど一発で撃退できるはずなのに逃げていく。これが人間です。心は実力に追いついていかないのです。
指示命令する、自己主張しない、犬を避ける、全てはサバイバルするための身につけた思考行動パターンです。パターンが自分を守ってくれました。
以後、痛みが避けられました。しかし、そのパターンが自分の成長の限界となります。成長を続ける人は自分のパターンに気づき、定期的に古いパターンを捨てます。10代にアイドルとして活躍し、70代になっても現役で活躍しているタレントがいます。彼は何度も自分の得意パターンを捨ててきたのです。
どんな場面にも有効なパターンはありません。指示命令すべき場面に指示命令し、部下に任せるべき場面ではどっしり構えれば良い。柔軟性が大切です。常に指示命令しかできないのは不自由です。
自己主張すべき時には自己主張し、聴くべき時には聴く。野犬は危険だけど、ポメラニアンは危険じゃない。「一事が万事」ではないのです。
皆さんのサバイバルパターンは何でしょう?ザワザワする感覚に答えがあります。
どのような幼児体験で手に入れたのでしょうか?そのサバイバルパターン、今の実力と環境下ではもはや不要です。素早く手放し、柔軟性を高めましょう。
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
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公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。