自信を失うことは良いことだ!
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自信を失うことは良いことだ!

最近ミドルが仕事における判断で、自信を失っているように感じます。

「今年の新入社員が、”今日休みます”ってLINEで連絡してくるんだよね。めちゃ腹立つんだけど、、、私の考えが古いんでしょうね(涙)」

「会社はテレワークを推奨するけれど、ビジネスはちゃんと人と対面して進めるべきものだと思うんですよ。納得できないけど、、、これも時代の変化で仕方がないのでしょうね」

自信を持って、仕事を進め、部下や後輩を指導してきたのに、自分が信じてきた様々な仕事の流儀がことごとく否定されていく昨今。

ミドルが自信を失っていくのも頷けます。

でも、この自信を失って悩んでいる状態は、成人発達理論的には良い兆候なのです。

成人発達理論を牽引しているハーバードのロバートキーガン教授は、大人の知性の発達段階として次の3つを示しています。

第一段階:環境順応型知性 チームプレイヤー、忠実な部下

第二段階:自己主導型知性 導き方を学ぶリーダー

第三段階:自己変容型知性 学ぶことによって導くリーダー

まず、環境順応型知性ですが、これはひとり立ちした若手社員をイメージすれば分かりやすいでしょう。

上司からの指示に対して的確に成果物を出せる状態です。

協調性の高い、良いチームプレイヤーなのですが、自分軸を確立しているわけではないので、主体的にビジョンを描くことはなく、悪く言えば、指示待ち状態です。

そして、第二段階の自己主導型知性。

仕事で多くの成果を出すようになると、「良いビジネスパーソンのスタンスとは?」、「良い仕事の進め方とは?」、「良いリーダーとは?」といった問いに対して持論を持つようになります。

自分なりの判断軸を持って仕事を進め、後輩や部下に対する指導に関しても持論を説いて説得します。

主体的にビジョンを描いてものごとを進めるので、頼もしいリーダーです。

ところが、この頼もしいリーダーにも弱点があります。

強い持論を持てば持つほど、環境変化に適応できないのです。

持論という偏ったフィルターで世界を眺めてチームを牽引するため、結果を出せず、振り回されて部下が苦しむ場面が増えます。

自己主導型知性を経て辿り着くのが最終段階の自己変容型知性です。

この段階に至ったリーダーは、ソクラテスの言った「無知の知」を体得しています。

世界は広く複雑で、自分の知っていることなどごくわずかにすぎない。また、自分は常に何らかの価値観や持論のバイアスを持って世界を眺めているから、必ず間違える。

常に自分お価値観や認識を疑い、学び続けことだけが正解。

そんな謙虚なスタンスに至っているのが自己変容型知性に至っているリーダーです。

だから、良い・悪いの判断を保留して、部下や若者の声にも真摯に耳を傾けます。

周囲の環境は全て先生です。

無垢な目で眺めれば、より多くの情報が入ってきます。

発言を控え、黙れば黙るほど、先生たちは多くのことを教えてくれます。

自信を失っているミドルはまさにこの自己変容型知性に至る入り口に立っています。

自信を失っていることは悪いことではなく、成長のために謙虚になったと捉えるべきなのです。

私自身もこの自己変容型知性を意識した明確な体験があります。

公認会計士として成功して持論を確立し、自信を持って会社を立ち上げました。

リーダーはメンバーにビジョンと戦略を示し、元気にその先頭を歩くべし、との持論を持っていました。

全ての案件に口を挟み、部下が上手にできない場合には、自らが汗を流して半ば強引に成功させる。

これが公認会計士時代の成功パターンでした。

時に失敗したら「勝敗は時の運」と片づけて振り返らない。

そんな強引なリーダーシップなので社員は疲弊し、退職率は凄まじいものでした。

15人の中途社員を採用し、3日後に2人まで減っているなんてこともありました。

でも、反省はしません。

「アンマッチだった。それならばお互いのために修正は早い方が良い」と合理化して終了です。

事業が成長しない。公認会計士時代と何かが違う。

でも、それが何なのか?

正解がわからない。

そんなふうにもがいていたときに、ワークハピネスの恩人となる米国のスコット・シマーマン博士に出会ったのです。

彼からもらったとてもシンプルなレッスン。

”I know!(わかった!)” は ”Dangerous(危険)”

以上。

博士曰く、

世界は複雑。常に成功する優れた理論やモデルはない。

ちょっとだけ”まし”な理論やモデルがあるだけ。

環境は常に変化する。今日の正解は明日の不正解。

「わかった!」と喜ぶのが一番危険。

「わかった!」と思うと学びが止まる。

「自分は何もわかっていない」ことを認めて謙虚に学び続けることだけが唯一の正解。

博士は、重要な真理を朝飯でも食べるように軽やかに語るのです。

それ以来、社員の声と顧客の声に真摯に耳を傾ける努力を始めました。

本から学んだ理論や机の前で立てた仮説よりも現場の現実を重視するようになりました。

一気にデジタル化が進む現代。

半導体の集積度が2年で倍増するムーアの法則が支配するデジタルの世界は、指数関数的な勢いで変化が起きます。

今日の正解は明日の不正解。

自信を失うことは良いことです。

持論を捨て、謙虚に周囲から学び続けて自己変容型知性を磨きましょう。


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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