コラム「これからの時代の人と組織」第4回 人と組織の習癖③
No Office革命

コラム「これからの時代の人と組織」第4回 人と組織の習癖③

みなさんこんにちは!はい、いよいよ3枚目の絵ですね。今回の絵を学べば、これでみなさんは「プチ組織開発博士」ですね(笑)。

3枚目の絵に行く前に、少し余談を。先日、世界経済フォーラムの創設者のシュワブ氏が「資本主義の“リセット”議論を」という表題で日経新聞の記事がでていましたね。コロナの影響によって、テレワークとかどころではなく、資本主義そのものを“リセット”というとても強い言葉を使って、議論を呼びかけています。

時代は私たちが思っている以上に大きな変化のうねりの中にいます。コロナが大きく後押しをしたことはまちがいありませんが、何度も言うようにこの変化の兆しはすでにあらゆる箇所で起きてきていました。

■参考記事:コラム「これからの時代の人と組織」第1回 働き方改革時代に何をすべき

■参考記事:コラム「これからの時代の人と組織」第2回 人と組織の習癖①

■参考記事:コラム「これからの時代の人と組織」第3回 人と組織の習癖②


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組織の本当の役割とは

来年のダボス会議のテーマは“グレート・リセット”です。これからどんな時代に行くのか、シュワブ氏は、「資本主義」から「才能主義(talentism)」へと表現していました。わたしは、以前より「“組織”のための“個”から、“個”のための“組織”へ」ということを言ってきましたが、まさにパラダイムが変わる時代に入っていくということだと思います。

今までの常識が変わります。今までの産業社会は、合理化効率化という価値追求のために、人間一人ひとりをコマのように考え、練り上げられた戦略を正確に素早く実行することが求められました。これは、AIやロボットがやってくれる時代になります。これからの時代の人がやることは、まさに自己の資質や才能を最大限に活かして新たな創造(この社会にとっての新たな意味創造)を行っていくことです。

組織というものの役割は、

・組織を主体に、多くの人を中央集権型でできるだけ正確に計画通りに動かしていくための機械的装置 ということから、

・個を主体に、自律分散型の価値共創ネットワークとして一人ひとりの資質や才能を開花させ、その掛け合わせから価値創造が起きる舞台 となります。

私たちの“常識”は、組織主体の中央集権型マネジメントです。これをどう手放し(アンラーニングし)、自律分散型のネットワーク組織にしていくのか?キーは「個の自律」「共感と信頼のネットワーク」「不確実性のマネジメント」です。この辺はまた次回以降に書き記していきたいと思います。

さて、余談はこれくらいにして、今回のテーマである3枚目の絵の話に戻りたいと思います。早速ですが、この絵は組織のどのような状態を風刺しているでしょうか?ちょっと考えてみてください。

はい、これも本当に多くの大組織で起きていることですね。
組織が大きくなり、役割分担をして、部署ができて、それが長く続くと、組織は容易にこの絵の状態になります。この組織は、象(elephant)という価値を創造しようとしているんですが、

・鼻を扱っている部署は、これを蛇だと思って仕事をしている
・脚を扱っている部署は、これを丸太だと思って仕事をしてしてる
・体を扱っている部署は、これをレンガの壁だと思って仕事をしている
・耳を扱ってる部署は、・・・・
というような認識になってしまう。

わたしは色々な会社の経営会議や部門長会議に出席させて貰う機会も多いですが、こんな状態で各部署がディスカッションをしていると、話が噛み合わないんですね。でも、自分たちが認識しているものがずれてしまっているということには気付いていない。会議が終わった後、お互いに「あいつら本当にわかってないね!?」と裏で言い合っている(笑)。これ、笑いごとではなく、本当に色々な組織で起こっていることです。

知らないううちに自部署最適な認識になっているんです。そして、こんな状態が長く続いている大組織のほとんどは社内政治が蔓延ります。なぜか?本質的に創造しようとしている価値を共通認識できていない状態で「意思決定」をしようと思ったら、価値の本質の議論ではなく、「権力」の強い方に決まるという力学にならざるを得ないからです。

社内のネゴシエーションにとられる時間が増大し、「象」という価値創造(社会おける価値)に向けられる時間は削がれ、市場からは見放されていく。そうして、社会的な価値は下がっていく。こんなことがよく起きているんです。

それでは、どうすればいいのでしょうか?また、部分最適に陥り、全体最適を損なっていく要因は何でしょうか?それは大きく2つあります。

1.その人の視野の狭さ:そもそも全体を理解していない、自分の保身や承認欲求に縛られている
2.評価制度:KPI設定がそもそも部分最適になっている、保身や承認欲求を引き起こす評価制度になっている

なかなか手強い敵ですね。

1.は、やはり“認識の拡大”をしてもらう教育が必要です。自分の視野がどこまでかをちゃんと認識してもらう必要があります。そして、広げるための経験をしてもらう必要があります。この辺は“成人発達理論”とか、“発達理論”と呼ばれる領域の話になってきますので、また次回以降に詳しく話そうと思います。

2.は、評価制度なので短期的には変えられませんが着手すべきでしょう。着手と同時に、評価されなくてもそいうことに気づいた人から本当にこの組織において重要だと思うことに向けて動き始めることです。わたしはそういう人を“変態”と呼びます(笑)。評価基準などを気にせずに自分が気づいた全体最適に向けて動ける人です。

この全体最適思考は、いずれ組織を超えて、社会の全体最適を考えられる思考につながります。そして、そういう思考と行動が出来る人が多い組織は、間違いなく社会から共感を得て、応援される組織となります。経済合理性を超えたファンがいる組織は間違いなくサスティナブルです。

これからの時代は、人から共感されない組織は残っていくことはできません。人材もお金も逃げていくばかりですね。

さて、これまで3枚の絵を使って「人と組織の習癖」ついて話してきました。これからの時代の「人と組織」に必要なのは、3枚の絵が示すように『主体性×チーム力×固定観念の打破』です。

何度も書いてきているように、自律型であり創発型の組織です。それをどう設計していくのか?意図的な設計というより、“不確実性のマネジメント”のなので、関係者が自律的に動き易く、かつ共創が起きやすい“舞台設定”をどうするか。その結果新たな価値創造が起きやすい組織となるし、そこから生み出される価値は社会から共感されやすくなる。

ただ、その対象となるのは、やはり、“認識の拡大”が起きている発達理論的な“発達度”の重心がある程度高い組織です。まずは対象部署を絞り取り組んでいきましょう。

また、第1回のブログで書いたように、これからは社員という概念も非常に曖昧になってきますので、企業という概念も曖昧になってきます。ただ今までの企業体がいきなりなくなるわけでもなく、大組織はプロジェクト型のネットワークとしての組織(そこには“誰もがアクセス可能”なヒト、モノ、カネ、情報のリソースがある)になっていくでしょう。意思を持ってそちらに進みたい企業様、一緒に取り組んでいきましょう!

それでは、また次回!

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この記事を書いた人この記事を書いた人

岩波直樹

大学卒業後、富士銀行(現みずほ)入行。2002年ワークハピネスの立ち上げに参画。

世界有数の外資系製薬会社の採用戦略コンサルティング、数十年利益の出ていなかった 老舗ホテルのターンアラウンド、民放キーテレビ局の人事制度改革など数多くを成功に導く。現在は、従来の組織マネジメントにパライムチェンジを起こす組織開発プロセスデザイン等を手掛ける一方、これからの人類文明の進化における社会システムの創造研究を行う。

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