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ワークエンゲージメントを高めてより良い組織作りを

組織において業務効率を高めるためには、社内の従業員が満足しているかどうかがカギとなります。離職率や業績に問題があると感じている企業は、ワークエンゲージメントを高めることで問題解決を図ると良いでしょう。この記事では、ワークエンゲージメントの概要や測定方法、高める方法、そして高めることで得られるメリットについて解説します。

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対してポジティブな気持ちを抱いており、精神的に充実している状態のことです。仕事内容に対してエンゲージメント、つまり絆や愛着、思い入れを感じることで、従業員は精神的な健康を保ちながら働くことができます。

ここからは、ワークエンゲージメントの定義や特徴、反対の意味を持つ概念などについて解説します。

ワークエンゲージメントの定義

オランダのユトレヒト大学のウィルマ―・B・シャウフェリ教授は、「バーンアウト」の対概念としてワークエンゲージメントを提唱しました。バーンアウトについては後述しますが、いわゆる「燃え尽き症候群」のことです。

シャウフェリ教授の定義によれば、ワークエンゲージメントとは仕事に関連するポジティブで充実した心理状態のことです。また、「活力」「熱意」「没頭」という3要素によって特徴づけられるとしています。エンゲージメントという言葉が表すのは、特定の対象や出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではありません。持続的かつ全般的な感情と認知が仕事に向けられたとき、初めてワークエンゲージメントという状態が成立します。

ワークエンゲージメントには国民性が出る

ワークエンゲージメントには世界共通の傾向があります。一般的に、年齢が上がって仕事における経験が蓄積されるほどワークエンゲージメントは高まります。また、上司や同僚の仕事への意欲が伝染しやすいということも世界共通の特徴です。

その一方で、国や文化によって傾向が異なる部分もあります。例えば、日本人のワークエンゲージメントを調べると、他の国よりも圧倒的に低い結果が出るという特徴があります。日本人は自己批判バイアスが強く、自分に厳しい傾向があります。他方、自己高揚バイアスが備わっており、自分を高く評価してモチベーションを上げるのが欧米人の傾向です。

欧米人のワークエンゲージメントを調査すると高い得点が出ますが、そこには実際にワークエンゲージメントが高い人と、そう見せかけているだけの人が混在しています。日本人は自分の状態を厳しく判断するため、ワークエンゲージメントが高いと見せかける人が少なく、結果的に得点が低く出るのです。また、周囲に気を遣って「楽しさ」を外に表さない日本人の性質もこの傾向に拍車をかけています。

ワークエンゲージメントの真逆は「バーンアウト」

ワークエンゲージメントの対概念となるのが「バーンアウト」で、「燃え尽き症候群」という名でもよく知られています。バーンアウトとは、仕事に対する意欲を喪失している状態のことです。仕事に没頭して企業へ献身的に尽くした後、本人が満足できるような結果が得られず、大きな失望を経験したときなどにバーンアウトは引き起こされます。蓄積された不満感や疲労感が噴出し、意欲を失って社会的活動を停止してしまうのです。

ワークエンゲージメントの重要な要素とは

ワークエンゲージメントは「熱意」「没頭」「活力」という3つの要素から構成される概念です。3つの要素の特徴を知ることで、ワークエンゲージメントをより深く理解できるでしょう。

「熱意(Dedication)」とは、仕事自体や自分のスキル・キャリアに対して感じるやりがいや誇りのことです。熱意が大きいほど、仕事で結果を出そうと献身的に努力をするようになり、仕事に関係することへの好奇心が強くなります。

「没頭(Absorption)」とは、集中して仕事に取り組んでいる状態のことです。仕事に没頭するほど作業効率が高まり、人為的なミスも起こりにくくなります。

「活力(Vigor)」とは、努力を厭わずに仕事に取り組むための高水準のエネルギーや心理的な回復力のことです。活力が大きくなるほど仕事へのストレス耐性が高まり、粘り強く働けるようになります。

ワーカホリズムとの違いとは

ワークエンゲージメントと混同しやすい概念に「ワーカホリズム」があります。ワークエンゲージメントとワーカホリズムは仕事中の活動水準が高いという点で共通していますが、仕事に対して抱く感情の点で異なります。つまり、ワークエンゲージメントでは仕事にポジティブな感情を寄せているのに対し、ワーカホリズムは仕事をネガティブに捉える傾向があるのです。

ワーカホリズムには「仕事をしていないときの不安や罪悪感を回避するためには働かざるを得ない」というような動機付けが存在します。一方、純粋に楽しいと感じながら仕事に取り組める状態がワークエンゲージメントです。

ワークエンゲージメントの測り方

ワークエンゲージメントを測る方法は主に3種類あります。

まず1つ目は、MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)です。
MBI-GSでは、バーンアウトの度合いを測ることでワークエンゲージメントを測定します。疲労感やシニシズム、職務効力感に関する16項目の質問を通してバーンアウトの程度を測り、スコアが低いほどワークエンゲージメントは高いということになります。

2つ目のOLBI(Oldenburg Burnout Inventory)も、MBI-GSと同じようにバーンアウトの度合いからワークエンゲージメントを測る方法です。疲弊や離脱に関するネガティブな質問から測定が行われます。

3つ目のUWES(Utrecht Work Engagement Scales)が最も広く使われており、ワークエンゲージメントの高さを直接的に測る方法です。「熱意」「没頭」「活力」という3要素の度合いを、17項目の質問を通して確かめます。

ワークエンゲージメントを高める方法

ワークエンゲージメントが高ければ、従業員は主体的に仕事を行うようになります。逆にいえば、主体的に働いてもらうためにはワークエンゲージメントを高める必要があるということです。

ワークエンゲージメントを規定する要因には、大きく分けて「仕事の資源」「個人の資源」という2種類があります。ここでは、それぞれの方向からアプローチしてワークエンゲージメントを高める方法について解説します。

仕事の資源

仕事の資源を育てることで、仕事へのモチベーションが高まる、仕事に感じる負担が小さくなる、といった効果が得られます。仕事の資源が大きくなるほど、ワークエンゲージメントも高まることがわかっています。

具体的な方法としては、成長の機会を与えることが挙げられるでしょう。プロジェクトメンバーに抜擢したり、セミナーに参加させたりすることで、従業員に自身の成長を実感してもらえます。また、従業員が成果を上げたときはポジティブ・フィードバックを行うことも大切です。業務の内容を振り返り、具体的にどんなところが良かったのか示しながら褒めれば、従業員のモチベーションを効果的に高められるでしょう。

個人の資源

個人の資源には自己効力感や自尊心、ポジティブな考え方などがあり、これらを育てればワークエンゲージメントは高まりやすいです。

自己効力感とは、与えられた課題を自分がやり遂げられるかどうかという判断のことで、自己効力感が高いほど自分の能力に自信を持つことができます。コミュニケーション能力やタイムマネジメント能力が伸びれば自己効力感は高まりやすいので、スキルアップ研修などを開催するのも良いでしょう。また、社内でロールモデルを設定し、目指すべき人物像を具体的にイメージさせることで、成長過程が把握しやすくなって仕事へのモチベーションが高まります。

エンゲージメント向上が組織にどう影響するのか

従業員のワークエンゲージメント向上は、組織全体にも良い影響を及ぼします。例えば、従業員が意欲的に業務をこなすようになり、業務の効率や成果を上げられるでしょう。ここからは、ワークエンゲージメント向上が組織にもたらす3つのメリットについて解説します。

心身の健康(メンタルヘルス)

ワークエンゲージメントが向上すると仕事に苦痛を感じにくくなり、従業員のメンタルヘルスを守ることにつながります。ストレスが軽減することで睡眠の質も向上し、身体の健康状態も良くなるでしょう。

多くの企業では従業員のストレスマネジメントが実施されていますが、これらはあくまでもストレス発生を前提とした対策です。一方、ワークエンゲージメントが向上すれば従業員はストレス耐性を獲得でき、ストレスが発生しにくい組織を構築できます。

パフォーマンス

ワークエンゲージメントが高まると、従業員は積極的に職務能力を成長させようとします。仕事に役立つ技術や知識を身に付け、業務において高いパフォーマンスを発揮するでしょう。また、自分の可能性を広げるために困難な業務にも挑戦するようになるので、組織が対応できる仕事の範囲も広がります。そして、社員同士が良い影響を与え合い、組織全体が活性化していきます。

コミットメント

従業員のワークエンゲージメントが向上すれば、組織へのコミットメント、つまり帰属意識も高まります。同僚や組織に対して愛着を感じるようになり、仕事内容にも満足して働けるようになるのです。また、コミットメントの高まりは離職率低下や生産性向上にもつながります。

まとめ

より良い組織を作るために、ワークエンゲージメントの向上は欠かせない要因です。ワークエンゲージメントを向上させることで従業員は主体的に働けるようになり、大きなパフォーマンスを発揮してくれます。仕事の資源・個人の資源という2つの方向からアプローチを図り、ワークエンゲージメントの向上を測りましょう。

株式会社ワークハピネスでは、人と組織の生産性向上のための支援を行っています。ワークエンゲージメントに関するお役立ち情報をセミナーで配信しているので、ぜひご参加ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

嶺田賢

大学卒業後、上場派遣会社に入社し、その後、教育系子会社のエスプール総合研究所(現:ワークハピネス)へ。
各種サーベイなどの設計・開発、人事制度構築、理念浸透などのコンサルティングを経て、教育周りの企画提案を主な業務とする法人営業を担当。
関西地域で大手上場企業の新規開拓をメインに携わり、お客様の理念体系、今後の戦略に沿った、「人の育成」「仕組みの整備」を体系的に提案することを得意としている。

2019年からマーケティングチームの立ち上げに責任者として関与。デジタルの力を活用して、会社の売れる仕組みづくりを構築している。

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