人を育てる

2019.11.01

新人の離職を防ぐ!イマドキ新人の取扱説明書 Vol.2 〜やる気スイッチはどうすればONになるのか〜

やる気スイッチはどうすればONになるのか
6回に渡って、「イマドキ新人」の心理状況を理解した上で、「周囲のメンバーはどのようなコミュニケーションを取れば良いのか?」を25歳のギリギリ若者が書き連ねる本企画。

今回のvol.2では
 ・ムカシ若者(育てる側)と、イマドキ若者(育てられる側)の価値観の違いは何か?
 ・どうすればイマドキ新人のやる気スイッチはONになるのか?

の2つについてお伝えしたいと思います。

前回「新人の離職を防ぐ!イマドキ新人の取扱説明書 Vol.1 〜配属後の新入社員のキモチ〜」の記事はこちら

1、誰も喜ばない「最近の若者はなっていない」説

令和元年も、もう残り2ヶ月を切りました。あっという間ですね・・。新入社員の方々もようやく仕事に慣れてきた頃ではないでしょうか。育成に携わっている方々は、良くも悪くも彼らの事を知ってきたタイミングではないかと思います。

共に仕事を進める中で、時には「何でこんな質問をするんだ?」、「いいから早く作業に取り掛かってくれ」、「何で言われた事が出来ないんだ?」と思ったり・・。つい「最近の若者はなっていないな」なんて思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そう思ってしまうのは、私たちだけではないようです。
約5000年前のエジプトの遺跡から「最近の若者はなっていない」という象形文字がみつかったと言う話もあるようです。諸説ありますが・・。

そんな昔から続く、この「若者はなっていない説」。その前提には、イマドキ若者(新入社員などの育てられる側)ムカシ若者(30代以降の育成をする側)価値観のすれ違いが起きているのではないか?と思います。

今回vol.2では価値観のすれ違いをひも解き、イマドキ若者のやる気スイッチがどこにあり、どうすればONになるのか?をお伝えしていきたいと思います。

2、重視する幸福感の違い

心理学者のマーティン・セリングマンが唱える「5つの幸福」を参考に、価値観のすれ違いを紐解いていきたいと思います。

この理論は、人間の幸福には「達成」「快楽」「没頭」「良好な人間関係」「意味合い」の五種類しかないとされる理論です。1つ1つの要素を解説したのが、以下の図になります。

この、5つの要素の重視する割合の違いが、価値観の違いの根本にあるのです。

ムカシ若者(育てる側)の求めていた幸福は「達成」と「快楽」の割合が大きい為、与えられた目標数字をクリアし、昇進・昇給をして欲しいものを買うと言う行為で幸せを感じられるため、これらのことで動機付けが出来ました。

しかし、イマドキ若者(育てられる側)の求めている幸福は上記の「達成」「快楽」よりも、「没頭」「意味合い」「良好な人間関係」の割合が大きいため、気の合う仲間と一緒に、夢中になれる事(好きな事)をやる事に重きを置き、かつ仕事においては意味や意義を感じられる事を求めます。

まとめると、ムカシ若者が求めていた幸福が目標達成度や所有しているモノ等、比較できるものを手に入れる事に重きを置いたのに対し、イマドキ若者は仲間と気が合うか?夢中になれるか?・意義を感じられるか?という比較基準がなく、抽象的な「自分にとってどうか?」(For me)に重きを置く傾向が強まっています。

育てる側が「会社のために一生懸命頑張れば幸せに近づける」という前提で若者を見ることで「若者はなっていない」と感じてしまうのではないでしょうか?

一方の若者は、「自分にとってどうか?」を考え、自分にフィットするものを選ぶことで幸福を感じられるという傾向が強いです。では、何故そのような『For me』の思考が強くなってきたのか?をひも解いていきたいと思います。

3、若者の『for me』思考

この『for me』思考は、様々な場面で「自分にとってどうか?」を考える傾向が強い事を表した言葉です。弊社で作成した意識調査レポートでも、入社動機では「魅力的な社員」「ビジョン・理念への共感」が全体の約40%を占めると言う結果も出ています。

会社を選ぶ上でも、日々の仕事を進める中でもこの『for me』思考が強いと言えます。

この背景には入社に至るまで「この人は自分をわかってくれる人か?」「これは自分がやりたい事か?」と言う軸で自分の進路や入社を決定できる環境が整っています。その要因は、主に2つです。

①.合わない人は「ブロックできる」SNS文化

イマドキ若者は、高校生の時からスマホを扱い、SNSでのコミュニケーションがメインになっています。自分と合わない人や関わりたくない人とは「ブロック」と言う機能で距離を取る事が出来る環境です。そのため、わかり合えない人とは付き合わない、もしくは距離をとって付き合うと言うのが基本のコミュニケーションスタイルです。入社に至るまで、それでうまくやってこれてしまっています。

余談になりますが「最近の若者は・・」と、くどくど言ってしまう人はイマドキ新人の心の中では「合わない」と判断され、ブロックされているかもしれません・・。しかも、表面的にはニコニコしていたり、「はい!」と良い返事をするなど、パッと見で判断できないところがまた恐ろしいところです・・。

②.売り手市場

ニュース等で取り上げられる事も多い為、ご存知の方がほとんどかもしれませんが、就活市場は売り手市場です。新卒紹介市場も活況のため、就活生は自分で動かなくても、自分とマッチする会社を探してもらえる環境で就活を経て、入社してくる人も増えています。

「考え方が甘い!!」と思われる方は、仰る通りなのですが「この人は自分をわかってくれる人か?」と「これは自分がやりたい事か?」と言う前提で考えていても、内定・入社まで辿りつきやすい環境になっているのです。

4、やる気スイッチをONにするポイント

育ってきた背景がムカシとは大きく変わり、「この人は自分をわかってくれる人か?」「これは自分がやりたい事か?」と言う思考が先に来る傾向が強くなっています。その為、「いいからやれ!」と言う指導が全く通じず、むしろ逆効果になります。

育成においては、やるべき事の型を教え込むのではなく、「for me」と「やるべき事」を結びつけてあげる事が、イマドキ新人のやる気スイッチを押す際に非常に重要です。その為のポイントが、下記の2つです。

⑴ 理解しようとする事
SNS上で友達が友達の悪口を見てしまったり、自分の悪口が見えてしまう環境で育っています。「この人は自分をわかってくれているか?」「この人は自分と合うか?」と言うアンテナは非常に高く、ちょっとしたコミュニケーションミスで「合わないな」と判断しがちです。

「最近の若いのは・・」と一括りにせず、「この人はどんな人か?」と1人の人間としてリスペクトを持って接しないと、ブロックの対象になる可能性が高くなります。 理解できなくても、相手の考えや好きな事等に関心を示し、「あなたの事を考えている」「あなたの事を理解しようとしている」というスタンスが伝わる事が大切です。

⑵ やりたい事とやるべき事の接点を共に描くこと
「自分のやりたい事(好きな事・得意な事)」をやりたいと言う気持ちが前提にあります。

しかし、不明確な事も多々あるので、対話を通じてやりたい事を明確にしていきながら、「それをやる為にはどんな成長をすべきなのか?」「会社から与えられる仕事が、自分のどんな成長に繋がるのか?」を共に考え、目の前の仕事に対しての「自分がやる意味・意義」や「成長における自分にとってのメリット」を自覚できている状態までサポートしてあげる必要があります。

5、おわりに

とは言え、「合う人ばかりと付き合っていれば良い」という事はなく「やりたくない事はやらない」と言う考えが通用する訳もありません。

では、実際に彼らにパフォーマンスを出してもらう為には何をする必要があるのか?を次回、お伝えしていきたいと思います。

最後に、この記事を書くにあたっての参考書籍を載せておきます。
弊社で作成した「新入社員の意識調査アンケート」もダウンロードが可能です。18年入社を対象としたものですが、ご興味のある方は是非ご覧になって下さい。
↓↓「新入社員の意識調査アンケート」のダウンロードは、お役立ちコンテンツをクリック↓↓

【参考書籍】
・尾原和啓『モチベーション革命』幻冬社,2017年
・吉田将英、奈木れい、小木真、佐藤瞳『若者離れ』エムディーエヌコーポレーション,2016年
・原田曜平『若者分からん!「ミレニアル世代」はこう動かせ』ワニブックス,2018年
・落合陽一、猪瀬直樹『ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法』角川書店,2018年

次回もお楽しみにっ!
それでは。

この記事を書いた人この記事を書いた人

山田和輝

神奈川県横浜市出身。2017年に日本大学商学部卒業後、ワークハピネスへ新卒入社。

学生時代は150人規模のサークルの代表や、学生向けのキャリアイベントの企画・運営、飲食店チェーンでのバイトリーダーなど学生レベルではあるものの、組織運営を複数経験。
活動の中で、メンバー同士のちょっとしたすれ違いからチーム内の信頼関係が壊れていき、その結果として人が離れたり組織自体が無くなってしまう事を経験。

その経験から、メンバーが「ここに居たい」と思える組織・チーム作りやその支援をしたいと思いワークハピネスへ入社。現在は金融やメーカーなど様々な業界で新人・若手層を中心に、自分の持ち味(強み)を活かしてパフォーマンスを発揮するための教育・研修を提供している。

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