テレワークにおける社員の評価はどうすればいい?人事評価の見直しとポイントを解説
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テレワークにおける社員の評価はどうすればいい?人事評価の見直しとポイントを解説

テレワークは働き方改革の取り組みの1つとして導入されてきた場所を選ばない働き方です。パソコンや電話などの情報通信技術(ICT)を利用することによって、場所や時間にとらわれず働くスタイルです。新型コロナウイルスの影響下でテレワークを導入する企業も増加傾向にあり、自宅やカフェなどで仕事をするようになった人も多いでしょう。中にはフルリモートでの勤務を推奨する企業もあります。

テレワークを導入すると従業員は通勤時間を短縮できるため、仕事と家庭を両立しやすくなります。対人ストレスが減り、以前よりも働きやすくなったと感じる人もいるでしょう。一方で、企業にとっては従業員の働く姿が見えにくいため、マネジメントの難しさが課題になります。特に、社員の人事評価をどのように行うべきか困っている管理職や人事担当者もいるでしょう。

今回は、テレワークにおける社員の評価方法や人事評価の見直しとポイントなどについて解説していきます。

テレワークでの人事評価の課題とは

テレワークでの人事評価の課題とは

テレワークは、情報通信技術(ICT)を駆使することで遠隔でもオフィス勤務時と同じ業務内容をこなすことができます。ただし、従業員同士が離れた場所で仕事をするため、仕事の質を維持したり適性に評価したりするためには工夫が必要な場合があります。

人事評価で注視される点として、勤務に対する姿勢や仕事の成果、そしてコミュニケーションなどの要素があります。オフィス勤務では上司と部下が同じ職場で作業することが多く、勤務態度が判断しやすいでしょう。一方でそれぞれが異なる場所から働くテレワークの場合、判断要素が見えにくく、オフィス勤務と同じように人事評価を進めることが難しいケースがあります。

ここでは、テレワークでの人事評価において問題視される3つの点について、具体的にご紹介します。

勤務態度が見えないので評価しにくい

テレワークではそれぞれが遠隔で働くため、オフィス勤務に比べて従業員の勤務態度が見えにくくなります。勤務態度とは仕事に取り組む姿勢のことで、特に日本の企業では重要視されています。遅刻や早退の頻度、仕事への集中、周囲との協調性、積極性などがチェックされて評価につながります。オフィス勤務ではこれらの要素が日頃から目に見えるため評価しやすくなりますが、お互いの姿や仕事ぶりが見えないテレワークでは判断しにくくなるでしょう。

また、オフィスワークでは同じ場所で仕事をすることによって上司が部下の業務内容についてある程度把握することが可能です。テレワークの場合は細かいプロセスが理解しにくくなることがあります。結果的にプロセスを把握していないために、成果以外で勤務態度を評価するのが難しくなるでしょう。

評価方法や評価基準が決まっていない

日本では働き方改革や人手不足に伴う人材の活用などの取り組み、感染症拡大防止の一環でテレワークが急速に拡大傾向にあります。このような流れの中で急いでテレワークを導入する企業も多く、評価方法や評価基準が定まっていないこともあります。

人事評価では適正な基準を設けてムラなく平等に評価を行う必要がありますが、テレワークを導入している場合は明確な評価基準を設けておかないとばらつきが発生してしまいます。部分的にテレワークを導入している場合は、出勤した場合の勤務態度をどのように評価に含めるか、チャットやメール、ビデオ会議中の態度を重視するのか、見えない部分は割り切って目に見える数字での実績や成果を重視するのかなど、組織の中で統一した方針を決めておく必要があるでしょう。

コミュニケーションが滞るので仕事が遅延しやすい

オフィス勤務の場合は管理職と人事担当者が直接顔を合わせて打ち合わせをすることが容易ですが、テレワークになるとコミュニケーションが減ってしまい人事評価プロセスが滞ってしまうこともあります。直接面談して話す際には評価に必要な情報を確認し合い細かい点にもチェックを入れることができますが、テレワークでは全ての判断材料が集約されずに適切な評価が行えないケースもあるでしょう。人事評価についての迅速で細やかな情報交換が必要です。

テレワークに適した人事評価を行うには?

テレワークに適した人事評価を行うには?

テレワークを採用する場合は、人事担当者はオフィス勤務とは別にテレワークに適した評価施策を検討する必要があります。テレワーク状況下で人事評価の問題となるコミュニケーションや判断基準の統一などを洗い出してテレワーク対応の人事評価制度を作り、部下を評価する立場にある管理職クラスと認識を合わせておくことが重要です。また、従業員にもあらかじめ説明しておくことで、評価制度への疑問や不安を解消し日々の業務に取り組んでもらう必要があるでしょう。

ここからは、テレワークに適した人事評価制度のポイントについてご紹介します。

評価項目を確定し、共有しよう

テレワークでは従業員同士が直接顔を合わせる機会が激減し、各自が遠隔で働くことになります。従来の人事評価制度はオフィス勤務を前提として構築されていることが多いため、目で見て判断しやすい項目が評価されやすい傾向にあります。

物理的に従業員の働く様子を見ることができないテレワークでは、定期的にビデオ会議システムを使って面談を行ったり、タスクの期限や内容を上司と部下の間で明確に設定したりする工夫が必要です。勤務態度が見えにくいため、メールやチャットツール、電話などでの迅速な対応などを評価の判断材料に設定するのもよいでしょう。テレワークに合わせた評価項目を設定したら、人事担当者、管理職と各従業員の間で情報を共有します。

MBOやOKRなどの目標管理の手法を取り入れる

設定した評価項目を明確にし、ムラのない評価を実現するためにグループや個人ごとに目標を決めて達成度を管理する目標管理制度「MBO」を取り入れるとよいでしょう。MBOは「Management by Objectives」の略で、組織マネジメントにおける目標管理のことです。

MBOを取り入れると、目標の達成度合いが判別しやすくなり、人事評価を迅速に進めることができます。さらに、管理職が従業員の評価にかけるプロセスの負担を減らしスムーズに評価業務を行うことができるでしょう。また、目標が明確になることで、従業員のモチベーションの向上にもつながります。単調になりがちなテレワークでの勤務も、各自が目標達成を意識しながら働くことができれば生産性が増すでしょう。

また、最近ではOKR「Objective & Key Results 」というGoogleやメルカリで取り入れられている目標管理手法を取り入れる会社も増えています。

OKRの詳細についてはこちらの記事をお読みください。「OKRとは?メリットや他の目標管理との違い、運用方法を解説

「業務プロセス評価」と「成果主義」をバランスよく採用

成果主義と業務プロセスを評価基準にバランスよく取り入れることが大切です。オフィスワークでは、業務プロセスを評価しやすかったため、判断基準に重要な要素となっていました。成果主義では、業務プロセスに左右されずに仕事の成果を数字や結果などの成果で評価します。

テレワークでは成果を判断しやすい成果主義が適していますが、数字で結果を測れない業務やさまざまな要因で成果を出せなかった従業員も結果に至るまでの努力が評価されるように、両者をバランスよく合わせて評価するのが理想的です。成果主義だけに偏りすぎると結果を出せない従業員がモチベーションを保つことができず、離職率が上がってしまう原因にもなります。

バリュー評価を導入する

バリュー評価は、企業が提唱する価値観や行動基準、ビジョンを理解したうえで、どれだけ実践できたかを評価する方法です。バリュー評価を導入すると、企業と従業員の目指す方向が合致して、組織力が強化され相乗効果を生み出せるでしょう。従業員それぞれが異なる場所で働くテレワークにおいて、バリュー評価制度を導入すれば、共感をもって業務に取り組み一体感を得ることができます。

自己PRの機会をつくる

上司と部下が接する機会が少なくなってしまいがちなテレワークでは、コミュニケーションも必要最低限になってしまうことがあります。業務連絡だけでなく、部下が人事評価を担当する上司に対して自己PRできる機会を作ることも大切です。一方的な判断だけではなく、公平に評価するような試みを取り入れることで、従業員の不安も軽減しモチベーションを維持できるでしょう。

ノーレイティングを導入する

ランクや階級などを付けずに評価するノーレイティングの手法を取り入れるのも1つの方法です。ノーレイティングでは頻繁に面談を行いフィードバックや目標の軌道修正などのフォローアップを行います。評価をしないわけではなく、その都度フィードバックをすることによって評価を積み上げていく制度です。従業員の間でのコミュニケーションが少なくなりがちなテレワークにおいて、頻繁にミーティングが必要なノーレイティングを採用することで、上司と部下の距離を近く保つことができます。部下のモチベーション向上にもつながる制度です。ただし、管理職に高いマネジメントスキルが求められたり、管理職にかかる業務負担が増えてしまったりするケースがあるので導入の際には注意が必要です。

人事評価システムのITツールを使う

最適な人事評価をするために、専門のITツールを導入することも有効です。紙を使った資料管理をなるべく抑え、クラウドに移行して必要な情報が全て一元管理されていると、人事評価をより正確かつスムーズに行うことができるでしょう。上司と部下で情報を共有したり、勤怠管理を見える化できたりするツールなどもあります。勤務姿勢をデジタルに管理して評価に反映できるツールを備えておくと便利です。

テレワークが原因ではない課題はどう解決する?

テレワークを導入したことがきっかけで出てきた課題の中には、そもそもの原因がテレワークではない場合もあります。人事評価がうまくいかない原因を的確に把握していないと、テレワーク導入に合わせて制度を再構築しても手段を誤ってしまう場合があります。

ここで述べたように、テレワークが起因して起こりうる課題には、勤務態度の把握が困難なこと、コミュニケーションが希薄になってしまうこと、評価方法や基準に偏りが出てしまう可能性があることなどです。

テレワークに関係なく課題となりがちな点として、上司と部下の間で報告や相談ができていないこと、仕事の目標と成果、そのためのプロセスが明確化されていないこと、上司が部下の業務内容を十分に把握していないことなどが挙げられます。このような場合には、まず問題となっている事項を洗い出し、全体的な人事評価制度の見直しを検討することが必要でしょう。

テレワーク下のマネジメント基礎教育とは?事例はこちら

テレワークにおける社員の評価はどうすればいい?

今回は、テレワークを運用する際に課題となる人事評価について、運用の見直しやポイントなどについてご紹介しました。

テレワークでは上司が部下の仕事に対する姿勢を直接見ることができないため、人事評価における勤務態度を適切に評価しにくくなります。また、コミュニケーションの不足によって人事評価業務が滞ったり、テレワークに適した評価基準が定まらず評価にばらつきが出てしまったりする恐れがあります。ここでご紹介したポイントを参考に、テレワークにおける社員の評価や人事評価の見直しを行いましょう。

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この記事を書いた人この記事を書いた人

嶺田賢

大学卒業後、上場派遣会社に入社し、その後、教育系子会社のエスプール総合研究所(現:ワークハピネス)へ。
各種サーベイなどの設計・開発、人事制度構築、理念浸透などのコンサルティングを経て、教育周りの企画提案を主な業務とする法人営業を担当。
関西地域で大手上場企業の新規開拓をメインに携わり、お客様の理念体系、今後の戦略に沿った、「人の育成」「仕組みの整備」を体系的に提案することを得意としている。

2019年からマーケティングチームの立ち上げに責任者として関与。デジタルの力を活用して、会社の売れる仕組みづくりを構築している。

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