新人教育の内容とは?マニュアルの作り方や手法を具体的に解説
新人教育を実施すると、新人は業務に必要な知識やスキルを効率よく身につけられます。新人教育のための研修のマニュアルを作成して、内製化したいと考える企業も少なくありません。
本記事では人事担当者や研修担当者、組織内の改善を目指している人に向けて、自社で新人教育を実施するメリット・デメリットや研修の具体的な内容を紹介します。
新人教育を実施する目的とは
新人教育とは新卒者や中途採用者に向けて実施する研修のことです。新人研修、新入社員研修と呼ばれることもあります。自社の担当者が実施するだけでなく、外注してプロに依頼することも可能です。
新人教育の主な目的は、新人に企業の経営理念や業務全体の流れを把握してもらうとともに、業務に関する基本的な知識を身に付けて即戦力として働いてもらうことです。また社員自身の仕事に対するモチベーションを向上させたり、企業での役割を認識してもらったりすることも新人教育を実施する目的に含まれます。
新しい環境にスムーズに馴染んでもらう機会として、新人教育が役立つケースもめずらしくありません。
新人教育を実施するメリット・デメリット
新人教育は自社の担当者が実施することも可能ですが、その場合はメリットとデメリットがあります。それぞれ確認してみましょう。
メリット
まず自社で新人教育を実施すると、育成担当の社員のスキルアップが期待できます。育成担当者は研修を実施するために研修内容を検討し、作成した計画をもとに研修を進めなければなりません。さらに講師としてプレゼンテーション力やコミュニケーション力も必要です。新人教育を通して自然とさまざまなスキルが身につきます。
新人教育を繰り返すうちに独自のノウハウの蓄積も可能です。
新人教育を実施するとその新人に向いている業務が見えてくることや、自社の方針に沿った研修ができることもメリットです。また自社の社員が講師となるため、外注するよりもコストを抑えやすくなります。手当などを支払わない場合、基本的には新たな費用もかかりません。
デメリット
自社の社員が講師になると社員ごとに教え方のレベルが異なり、研修内容の質にばらつきが出やすい点が大きなデメリットです。
仮に業務内容を熟知している社員を担当者に任命しても、仕事ができることは必ずしも教え方が上手ということではありません。マニュアルを作成して同じ内容を伝えても、教え方が上手な社員と教えるのが苦手な社員とでは新人の理解度に差が出てしまいます。また新人教育を実施するまでの計画や準備には手間と時間がかかります。
新人教育で使用する資料の準備やカリキュラムの作成、場合によっては会場の手配など、研修を実施するために必要な準備は多岐にわたるからです。
そのため担当社員の負担が大きくなる点もデメリットです。新人教育の時期と繁忙期が重なれば、担当社員の負担はより大きくなります。
新人教育マニュアルを作成しよう
自社で新人教育を実施する際は、企業の基本的な知識などを新人と共有するとともに講師となる担当社員の負担を減らすため、新人教育マニュアルを作成しましょう。新人教育マニュアルに含めるべき内容は以下の6つです。
マニュアルの内容1:ビジネスマナー
新人教育ではビジネスマナーの習得が欠かせません。すでに社会に出ているビジネスパーソンには当たり前のマナーでも、新人はビジネスマナーをすべて把握しているとは限らないからです。
報告・連絡・相談といった社内でのコミュニケーションから、挨拶・言葉遣い・身だしなみ・名刺の渡し方など社外の人とのコミュニケーションに関わることも含めます。ビジネスマナーの習得は、自社の一員として社外に出しても恥ずかしくない新人を育てるためにも重要なポイントです。
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マニュアルの内容2:企業理念、規則
マニュアルの内容には、すべての社員が理解しておくべき企業理念や経営方針、規則なども含めます。企業理念や経営方針を把握しておくと、新人はその企業で働く社員の一員であることを自覚しやすくなるからです。
社員に求める行動やどのような社員を育成したいかも記載するとより効果的です。また社内での各種手続きなど、その企業独自の規則は教えてもらわなければ分かりません。
マニュアルに記載しておくと、新人がスムーズに対応できるだけでなく困ったときにも役立ちます。
マニュアルの内容3:業務の全体像
業務の全体像を含めることも大切です。ただし業務ごとの詳細な手順を記載する必要はありません。一度にすべて覚えるのは難しいため、細かい部分は改めて説明する形にしてマニュアルには大まかな内容を記載しましょう。
詳細は記載しなくてもマニュアルの内容に業務の全体像を含めれば、新人は各部署の業務や役割、部署同士の関係などの把握が可能ですし、詳細を説明したときに理解しやすくなります。
マニュアルの内容4:目標設定・モチベーション
目標設定やモチベーションを維持することの必要性も含めます。業務に関する内容ではないものの、スキルアップのためには目標設定やモチベーションの維持が必要です。
特に慣れない環境のなかで働く新人がモチベーションを維持するのは簡単ではありません。モチベーションを維持する方法や考え方も記載するとよいでしょう。また目標設定の必要性を理解して考えてもらうことで、新人はこれから先のビジョンを描きやすくなります。
マニュアルの内容5:ITスキル・ソフトの使用方法
昨今ほとんどの企業ではIT技術を活用しています。パソコンやソフトを使いこなさなければ仕事ができない企業も少なくないでしょう。
そこでITスキルを身につけるとともに、企業で活用しているソフトを使いこなせるようなマニュアルも必要です。特に昨今の情報セキュリティに関する知識は、新人がしっかりと理解するまで教育を行わなければならないと言っても過言ではありません。
また新卒社員の中にはスマートフォンには慣れていても、パソコンは操作できない人もいます。
新人が自分の力でパソコンの基本操作ができたりソフトを使えたりすれば、その後の育成担当者の負担も減らせます。
マニュアルの内容6:問い合わせ先などの関連情報
業務やスキルに関する内容の他にも、トラブルが発生した場合の問い合わせ先などの関連情報も記載しましょう。万が一のときの問い合わせ先が分かれば、何かあったときも安心ですし、その都度他の社員に確認する必要がありません。問い合わせ先を確認できるような社員が周囲にいない状況でも、スムーズに対応できます。
問い合わせ先以外にも、業務に関する資料の保管場所もあわせて記載しておくと役立ちます。
新人教育マニュアルを作成するときのポイントとは
新人教育マニュアルを作成する際は、以下の5つのポイントを意識してみましょう。
構成を工夫する
マニュアルを作成するときは、構成を工夫して全体の流れやそれぞれの項目の目的が伝わりやすくなるように意識します。ポイントをただ並べていくだけでは流れがつかめません。初めに全体の大まかな流れの説明をしてから詳細を説明する、カテゴリごとにまとめを入れるなどすると流れや目的が伝わりやすくなります。
専門用語は使わない
企業内や業界内では日常的に使っている専門用語でも、新人にとっては初めて聞く言葉であることはよくあります。専門用語を使うと新人は知らない言葉があるたびに調べなければならず、内容をスムーズに理解できなくなる可能性があります。
マニュアルを作成するときは、知識のない人でも理解できるような分かりやすい言葉を用いることもポイントです。
文章は簡潔に
マニュアルの内容をより理解しやすくするために、文章を簡潔にすることも大切です。専門用語を使わなくても、文章は長くなるほど理解しづらくなります。
内容によっては間違った解釈をしてしまうこともあるでしょう。曖昧な言い回しを避けて、短い文章で簡潔にまとめるように意識します。
簡潔な文章でまとめることで、読み手がスムーズにマニュアルの内容を理解しやすくなります。
視覚的に分かりやすくする
構成や文章もさることながら視覚的な分かりやすさも必要です。たとえ構成や文章が分かりやすくても、文字が並ぶだけのマニュアルでは視認性に欠けてしまいます。
それぞれの項目をイメージしやすいように、写真やイラスト、図、リストを取り入れるのがおすすめです。文字も重要な部分は太字にする、下線を引く、色を変えるなどして工夫しましょう。
定期的に内容を見直す
新人教育のマニュアルをより良くしていくためには、定期的に内容を見直しアップデートしていきます。新人教育後に新人からフィードバックを受けて、分かりづらかった点や改善した方が良い点を洗い出して見直しましょう。見直した内容を新人に確認してもらうのも良い方法です。ベテランの社員だけでは気が付かなかった改善点が分かる可能性があるからです。
新人教育におすすめの手法を紹介
新人教育の手法はいくつかあり、手法ごとにメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを考慮しながら自社に合った手法を選びましょう。
OJT
OJTとは職場内研修のことです。通常の業務に携わりながら業務に慣れていきます。ある程度座学を行った後、複数の部署や配属予定の部署で研修させるのが一般的です。
実践しながら仕事を覚えるためスキルが身につきやすい点や研修コストを抑えられる点はメリットですが、教え方のレベルは仕事を教える社員によって異なる点がデメリットです。
OFF-JT
OFF-JTは職場外研修のことで、職場以外の外部研修で座学やセミナーに参加します。研修期間は1日で終わるものもあれば、1~2カ月かけて実施するものもあります。
新人が同時に研修を受けるため教育内容が均一になる点がメリットとなる一方、コストがかかりやすい点や新人が業務に取りかかれない期間が発生する点はデメリットです。
集合研修
集合研修は自社の研修担当や外部のプロ講師が研修を実施する手法です。一カ所に集まって対面で研修するケースやオンラインで実施するケースがあります。
メリットは対面なので分からない点をその場で解決できることや、新人同士の交流の場にもなることです。デメリットは一人ひとりがどの程度理解しているのかを把握することが難しい点です。
フォローアップ研修
入社後、ある程度の期間が過ぎてから研修内容がどの程度定着しているかを確認するのがフォローアップ研修です。新人が抱える悩みを把握してサポートできるように情報を収集する機会でもあります。
新人が自分の得意・不得意を把握できたり、早い段階で悩みをサポートできたりする点はメリットです。新人が研修のための時間を作らなければならない点はデメリットです。
まとめ
新人教育は新人に業務内容など企業のことをよく知ってもらうとともに、即戦力となるよう育成することを目的に実施します。ワークハピネスでは、新入社員研修・若手社員研修をはじめとする豊富な種類の研修を行います。簡単な質問に回答するだけで組織の状況を把握できるサービスを提供している他、質問・相談は無料です。
自社で新人教育を行うと業務への影響が心配、よりしっかりしたプロの新人教育を実施したい場合は、ワークハピネスへご相談ください。
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大学卒業後、外資系医療機器メーカーで営業に従事。
6年間で8人の上司のマネジメントを経験し、「マネジャー次第で組織は変わる」と確信し、キャリアチェンジを決意する。
2009年にワークハピネスに参画し、チェンジ・エージェントとなる。
医療メーカーや住宅メーカーをはじめ、主に大企業の案件を得意とする。また、新人から管理職まで幅広い研修に対応。
営業、営業企画、新人コンサルタント教育を担当後、マーケティング責任者となる。
一度ワークハピネスを退職したが、2021年から復帰し、当社初の出戻り社員となる。現在は、執行役員 マーケティング本部長。