1年以上に渡って100%テレワークを続けている、ワークハピネス。
最初は戸惑いもありましたが、今では確信を持って
テレワークは生産性が高い!
と、断言できます。
その理由はテレワークが持つ以下の2点の特徴からもたらされます。
・移動時間の消滅
・集中時間の増加
移動時間の消滅
生産性は、投入時間とアウトプットで測定されますから、アウトプットが一定ならば、投入時間が少ない方が生産性が高まります。
テレワークでは満員電車での都心への移動、会議室への移動、営業等での訪問先への移動、、、といった移動時間が消滅しますから、日々3時間〜5時間、投入時間を削減できます。
アウトプットが一定ならば、投入時間の大幅削減は生産性の著しい上昇とワークライフバランスの改善をもたらします。
テレワークの定着は日本人の「働き方改革」に大きく貢献するでしょう。
集中時間の増加
オフィスというのは一人で集中して行う創造的な仕事においては最悪な環境です。集中を測定できる眼鏡を販売しているJINS社によれば、オフィスでは平均的に十数分に一回、電話や「ちょっといいですか?」という介入が入って集中が中断するとか。
NY大学のアダム・オルター教授によると、電話等で中断させられた集中力を取り戻すまでに平均25分かかるとの調査結果も。
私も、オフィスで一人で探求や創造に取り組んでいる時、この「ちょっといいですか?」で大分生産性を落とした記憶があります。
なので、出社時は「コミュニケーションの時間」と割り切り、執筆等の創造的な仕事は外部の会議室に籠もって行っていました。
テレワークになったことによって、1日の中で集中できる時間が大幅に増え、創造的な仕事のアウトプット量が飛躍的に向上したことを実感しています。
「移動時間の消滅」でインプット量が大幅に削減でき、「集中時間の増加」で、アウトプット量が飛躍的に向上する、テレワーク。
ところが、調査によれば、多くの人が
「テレワークで生産性が低下した」
と嘆いています。
テレワークで生産性が向上する会社と低下する会社。この差をもたらすものは何なのか?
今日は、私たちの体験と、クライアントからのヒアリングで見えてきた、テレワークで生産性を高めた会社の3つの特徴をご紹介いたします。
結論、テレワークで生産性を高めた会社には次の3つ特徴がある様です。
1 目標の共有
2 スケジュールの共有
3 ロジカルライティング力
1 目標の共有
経営者と会話して、「ワークハピネスは100%テレワーク カンパニーです」と紹介すると、まず聞かれるのが、
「どうやって社員を管理するのですか?」という問いです。
多くの会社が悩む、テレワークでどのようにして部下を管理するのか?というテーマ。
これを解決するのが、上司と部下との間でタイムリーに目標を共有する習慣です。
半期の目標、今月の目標、そして今日の目標が共有されていれば、部下は迷いなく働けます。
さらに、会社の目標、部門の目標がしっかりと全員に共有されていれば、各人は上司に確認しなくても、大きな目標に照らして、現場で正しい判断が下せます。
ベテラン社員とは月次で目標を握る。新人とは、日々の目標を握る。部下の仕事に対する習熟度に応じて適切に目標を共有すれば、日中の働きぶりを見ていない事による不安はある程度払拭できます。
さらに、部下が判断に迷ったらタイムリーに上司に相談できる関係性が構築できていれば、完璧です。
人を管理するのではなく、適切に目標を共有して、結果を管理すれば良いのです。
テレワークでは各人が自律的に働く必要があるので、「ジョブ型雇用導入すべきである」、「成果報酬を強めるべきである」、という声がありますが、テレワークを機能させるためだけにおいては、大袈裟な制度変更は必要ありません。
実際、ワークハピネスにはジョブ型雇用も成果報酬もありませんが、「テレワークで部下の働きぶりが見えなくなって困った!」ことはありません。
それは、全社員で、会社の目標、部門の目標を共有し、チームリーダーとスタッフとの間でも、長期、中期、短期の目標が共有されているからです。
さらに、困ったら「一人で悩まずに誰かに相談する」という助け合うカルチャーもあります。
クライアントからの相談に自分の力では対応できない時、「お助け掲示板」に困りごとを掲げる。すると先輩や仲間が直ぐに解決策をアップしてくれます。
私のところにも、直接、LINE等で困りごとの相談がやってきます。
逆に、私もブログのアイデア等で困ると、社員の誰かれ構わず突然電話してネタ探しのブレストに付き合ってもらいます。
この助け合うカルチャー、会社の目標を全員で共有しているから生まれるものです。
テレワークで「生産性が下がった!」と、嘆いている会社は、日常的に目標を明確にして共有するという習慣が欠けていることが多い様です。
この状態は、テレワークに限らず、オフィスワーク環境であっても大変問題です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)で益々激しさを増す競争環境。
社員一人ひとりが部門の目標と自分の目標を明確にして、毎日、迷いなく働ける環境が健全です。
2 「スケジュールの共有」
複数人で行う業務である、面談や会議においてはスケジュール調整が必要です。
上司と部下が面談する場合、オフィスに出社していれば、相手の様子を見て、
「ちょっといいかな?」と、声をかければすみます。
突然会議を開きたくなった時には、
「今から30分だけ、会議を行うので、会議室集合!」
なんて、やり方も可能です。
ところが、目視で相手を確認して、コミュニケーションを始めるというオフィスワークならではのこの手法、テレワークでは不可能です。
テレワークにおいては、話したい相手が、今、どこで、何をしているのかがわかりませんから、面談も会議も事前にスケジュール調整が必要となります。
グループウエア等でスケジュールをデジタルで共有していない場合にはこの調整作業が一苦労。
秘書の女性がメールを打って電話をかけて、複数人のスケジュールを調整することになります。
ワークハピネスのクライアントでも、デジタルによるスケジュール共有の仕組みが入ってないため、テレワークにおける社内コミュニケーションで大変ストレスを感じている会社が多いです。
グループウエアを導入している会社であっても、上司のスケジュールが非開示のために、部下が上司のスケジュール調整に手間取るということもあります。
ちなみにワークハピネスでは、20年前の創業時からサイボウズ社のグループウェアを使い、社長のスケジュールも含めて全員のスケジュールを常に完全に公開しています。
さらに、スケジュールが空いている時間には、相手の許諾を得る必要なく、いつでも面談や会議を設定してOKというルール。
新入社員であっても、空いているならば社長のスケジュールに「相談」や「営業同行」などを設定することができます。
一人で探求や創造する時間を確保したかったら、スケジュールに「ブロック」と書いた予定を入れておかなければ、どんどんスケジュールが入ってきてしまい、自分の仕事が進まなくなります。
20年前からグループウエアを導入し、「相手の事前承諾なくスケジュールを入れてOK」というルールで運用してきたので、100%テレワークに移行しても全くストレスなくコラボレーションが進みます。むしろ、空き会議室の検索・調整をしなくて済むので、以前よりも迅速に必要な会議や面談が実施できるようになりました。
まずは、グループウエア等を導入して、全員のスケジュールを見える化する。これだけで、スケジュール調整は格段にスムーズになります。さらには、空いている時間は「相手の事前承諾なくスケジュールを入れてOK」というルールを明示して、フラットなカルチャーも醸成するとさらにコラボレーションの生産性が高まります。
3 ロジカルライティング力
テレワークの強力な利点に、オフィスでの「ちょっといいですか?」という介入から解放され、一人で集中して創造的な仕事に取り組めるというメリットがあります。
このメリットを高度に引き出すためには、電話や会議、「ちょっといいですか?」といった”同期コミュニケーション”を極力減らし、メールやチャットといった”非同期コミュニケーション”をできる限り多用する必要があります。
ここで重要になってくるのが、ロジカルライティング力。文書で端的に相手に伝えたいメッセージを届ける、読み手にこちらが望む行動を起こしてもらう力です。
・一読で伝わるタイトル
・結論から述べる
・全体像を予告する
・結論を支える背景等
会社で交わされる会話の文脈を理解しているベテラン社員は、タイトルだけ読めばおおよそこの文章から伝えたいメッセージが理解でき、先頭の数行の結論を読めば、用は足ります。
一方で、新人は、最後まで読むことで、背景も含めてしっかりとメッセージを受け止めます。
読み手の能力に合わせて、速読ができるので、効率的です。
結論を導くまでに、複数人でのディスカッションが必要なテーマの場合、解法に関して共有しているフレームワーク(例:戦略の3C、マーケティングの4P等)を最初に示せば、チャットツールを使って、非同期でもストレス無くディスカッションが進みます。
一方で、初めてのテーマや、複雑な課題で共有している解法がない場合には、電話や会議等の”同期コミュニケーション”の方が効率的です。
幸いなことにワークハピネスはコンサルティング会社なので、メンバーは常にクライアントに対してロジカルライティングに則った提案書や調査レポートを提出し、さらに、外出先や出張先でのリモートワークを推奨していたので、グループウエア内で文章による情報共有が多用されていました。
メンバーのロジカルライティング力が高く、文章による”非同期コミュニケーション”に慣れていたことが、テレワークにおけるコミュニケーションのストレスを低減させた様に思います。
ちなみに、必ず”同期コミュニケーション”を行うべき重要な仕事もあります。
それは、
”雑談”です。
一人でテレワークをしているとストレスが溜まったり、孤独を感じる時があります。これを解消するために「雑談」はとっても重要なリフレッシュの場です。また、”雑談”から、思わぬ新しいビジネスのアイデアが生まれたり。ワークハピネスでは、Zoomによる”雑談”の場を定期的に設けています。
ワクチン接種が進んで、外出の自由が見えきたアメリカでは、出社を要請する会社に対して多くの従業員が「反対」の声を上げています。
この1年半でテレワーク が定着し、今や、テレワークは働く人々の権利です。
テレワークの満足度と幸福度は比例するという調査結果があります。
多くの人々はコロナ後もテレワークが継続する事を望んでいます。
テレワークで生産性を高める会社となるために、
1 目標の共有
2 スケジュールの共有
3 ロジカルライティング力
この3つのテーマ、皆さんの会社はクリアしていますか?
株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。
公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。
現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。