リモートワークで生産性が下がった?!リーダーがリモート下で取り組むべき3つのこと<前半>
コロナウィルスの影響によって、今、私たちは外出規制や仕事においては出勤規制を余儀なくされています。 実際は”強制的に”リモートワークの導入を進めなければならず、走りながら新しい働き方を模索しているところではないでしょうか。
不本意ながら、これまでなかなか進むことのなかった働き方改革が一気に進むことを期待している方も多いことと思います。しかし一方で、「チームの生産性が下がってしまうのではないか」と不安になっているという現場の声も多く聞かれます。
そこで、この記事では、モートワークを最大限に活用して、今のチームの生産性を高める方法について2回に渡ってお伝えします。<前半>では、生産性を上げるために必要なことについて考える前に、「なぜリモートワークで生産性が下がってしまうのか?」ということから考えたいと思います。
リモートワークによる働き方(世界と日本の現状)
私たちが所属する※Catalyst Global Teambuilding が独自で世界中のリモートワークの現状を調査した結果以下のような調査結果が出されました。
・専門的な仕事をしている人の70%が最低1週間に1日はリモートワークをしている
・専門的な仕事をしている人の53%は週の半分はリモートワークをしている
・専門的な仕事をしている人の40%はリモートワーカーである(2017年時点)
この調査は、2017年に行われたものですが、コロナウィルスの脅威が世界中に広がるずっと前に、世界ではすでに調査対象者の半分の人がリモートワークをしているという事実が判明しました。
一方で日本企業に目を向けてみると、コロナウィルスが発覚した2020年1月以降(2月-3月)でさえも、リモートワークを積極的に導入した企業は40%未満という結果がでました(※緊急事態宣言が出された4月以降は大きく変わっていることが予想されます)。
テレワークを導入する際の心理的・身体的課題について日本企業に聞いてみると、ダントツの1位で「管理が難しい」(46%)という管理側の心理的不安が挙げられています。
管理が難しいという理由で、リモートワーク導入を躊躇したり、生産性が下がるのではないかという不安があるのです。極端に言うと、管理ができないと、生産性が下がるといった考えがあるのでしょう。そのため、最近リリースされたサービスで、リモートで働く社員のPC画面を1時間おきにスクリーンショットして、自動で会社に転送されるといった行きすぎた管理ツールが生まれているのです。
※Catalyst Global Teambuildingは世界約70カ国でチームビルディングアクティビティを提供しています。日本ではWorkHappinessがCatalyst Japan(カタリストジャパン)として活動しています。
生産性が下がる3つの要因
そもそも生産性が下がる要因には、以下の3つがよく挙げられます。
1:日本従来の「メンバーシップ型」の雇用
2:性悪説に基づく”管理”文化
3:非生産的な会議プロセス
1:日本従来の「メンバーシップ型」の雇用
メンバーシップ型の雇用というのは、”先に人を採用してから仕事を割り振る”といった雇用の仕方を指します。 新卒採用の際に、”採用人数の目標を持つ企業”はメンバーシップ型雇用の可能性が高いです。メンバーシップ型の雇用のメリットは、雇用が安定的に確保されていることにあります。
一方で、「終身雇用」、「年功序列」の存在が揺らいでいる現在においては、デメリットのほうが取り沙汰されるようになりました。 業務への適正がわからず、育成期間が長期化すること、また「同一労働、同一賃金」の導入も難しくさせるため、優秀な人財の確保や評価が難しくなります。リモートワークの中では、”仕事の成果物が明確”であることが重要な条件なので、このメンバーシップ型雇用は生産性をあげるための大きな弊害となっているといえるでしょう。
2:性悪説に基づく”管理”文化
先に紹介したように、リモートワーク導入の心理的・身体的課題の1位に「管理が難しい」という結果が出ました。 では、”対面的”な管理ができなくなることで、組織の生産性が下がるのでしょうか?対面的な管理について考えてみたいと思います。
もし、管理というのが「労務管理」ということであれば、”労務”である給与について確認する必要があります。 「給与は労働時間に支払われるべき」という考え方がありますが、一方で、「給与は仕事の成果物に支払われるべき」という考え方もあります。
しかし人事評価という観点でも、これからはますます仕事時間で評価されるのはなくて、仕事の質(成果物)で評価されるのではないでしょうか。
では、なぜ管理についてリーダーは難しいと感じてしまうのでしょうか?
企業に「管理の難しいという不安」の根底を詳しく聞いてみると、「社員がしっかり働いているのか」「日中何をしているかが見えない」といった声も上がります。 しっかり働いているかどうかは、仕事の成果物を見れば一目瞭然であるにもかかわらず、対面ではないと、プロセスが見えず、”しっかり”働いているかどうかが不安になるということです。
上記のことに関していえば、やはり「人は見ていないとサボる生き物」といった隠れた心理的前提があるように感じます。 一つ一つの仕事に意味を感じ、会社やチームへの貢献意欲の高い人たちは、見られていようといまいと自分のやるべきことを集中してやるものであり、むしろやることが明確であれば、リモートワークのほうが集中できるというメリットもいきます。
つまり、”管理”の難しさへの不安は、物理的な難しさもあるものの、人は見ていないとサボる生き物といった心理的・文化的な「性悪説」からきているものもあるのではないでしょうか。
3:非生産的な会議プロセス
コロナウィルスが流行する前から、日本の会議の生産性の低さは問題視されてきました。こちらのインフォグラフィックの画像をご覧ください。
これは、世界中の国が問題解決をする際のプロセスを絵にしたものです。
各国様々な解決方法がある中、日本は、会議室のテーブルを12人が囲んでいます。世界から日本は「全員で意思決定をする国」というように見えているということです。冷静に考えてみると「本当にこれだけの人数がこの会議に必要なのか」と疑問に思う会議があったり、いざ会議に参加しているメンバーに聞いてみると、とりあえず呼ばれたからきたという人も多くいます。
リモートワークを導入すると、自然と会議が増える傾向にあります。そのため、会議の生産性を高めない限り、リモートワークでの生産性を高めることは難しいと言えるのではないでしょうか。そこで、<後半>の記事では、リーダーがリモートで取り組むべきポイントについてお伝えします。
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株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。
ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。
岐阜県飛騨高山市出身。大学卒業後に、2007年にワークハピネスに参画し、エンゲージメントの高い組織コンサルティングをメインとしたワークショップ・トレーニングを企画・実施。
2015年にチームビルディングをメインとしたコンサルティング事業、Catalyst Japanを立ち上げ、文化や国籍を超えたチームづくりに従事。2018年にオーストラリアのパートナー企業であるBe Challengedに出向し、海外のチームビルディングのメソトロジーについて学ぶ。
現在は、チームビルディングを目的としたイベント・ワークショップの企画・実施の責任者として活動。