テレワークで生産性を高める4つのポイント
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テレワークで生産性を高める4つのポイント

新型コロナ対策の緊急事態宣言が再発令され、さらに1ヶ月間の延長が決定しました。もうすぐワクチン接種が始まりますが、全国民に行き渡るまでには相当の期間を要しますから、私たちは当分の間この新型コロナに対応した生活を強いられることとなります。

もはや、テレワークはニューノーマルではなく、ノーマル。

緊急避難的なテレワークではなく、本格的にテレワークで生産性を上げることを考えなければなりません。

様々な調査を集約すると、凡そ半数の企業がに「テレワークによって生産性が上がった」と回答しています。

一方で「テレワークによって生産性が下がった」とする企業も約半数存在します。

この差は何から生まれているのか?

今日は、ワークハピネスのクライアントからのヒアリングから導き出した、テレワークで生産性を高めた企業に共通するポイントを紹介したいと思います。

共通ポイントは以下の4つ。

1  IT環境の整備

2 非同期コミニケーションの積極活用

3 業務プロセスのデジタル化

4 エンゲージメント向上策の実施

1 IT環境の整備

テレワークで高い生産性を実現するためにはIT環境の整備が必須となります。

まず、最低限必要となるのが、以下の物理環境です。

・一人に一台のPC

・自宅での高速通信環境

多くの中小企業でテレワークが進まない理由の筆頭が一人一台のノートPC等が会社から貸与されていないことに原因があります。

ワークハピネスでも、昨年の4月に100%テレワークカンパニーに変貌した直後は、メンバー各人の自宅の高速通信環境にばらつきがあって様々なトラブルが起きましたが、現在ではテレワーク環境整備手当も支給され、全メンバーが安定した高速通信環境を確保しています。

・一人に一台のPC

・自宅での高速通信環境

に対する会社からの支援がまずは必須です。

次に必要となるのが、コラボレーションを可能とするITツール。

最低限、必要となるのは次の3つです。

・電子メール

・Zoom等のオンライン会議ツール

・Googleカレンダー等のスケジュール共有アプリ

電子メールとZoom等のオンライン会議ツールはほとんどの企業で導入されていますが、Googleカレンダーのようなスケジュール共有アプリに関してはまだまだ導入していない会社も多いようです。

オフィスワークの場合、見渡せば出社していることが確認でき、外出する時はホワイトボードに行き先を書くことでチームのスケジュールを共有していました。

ところがテレワークでは一変、誰が何をしているのか?さっぱりわかりません。

スケジュール共有アプリがあれば誰が今どんな仕事をしているのかが一目瞭然なので、空き時間にオンラインミーティングを設定したり、電話したりと機動的にコラボレーションができます。

ワークハピネスでは創業時からグループウエアのサイボウズOfficeを導入していました。さらに、空いている時間帯には誰でも事前承認不要でミーティングや営業動向等のスケジュールを入れることができるルールまでありました。社長の私の予定も社員全員にフルオープン。空いている時間にはどんどん予定を入れられてしまいます。考える時間等を確保したい時にはスケジュールに「ブロック」と予定を入れて自分の時間を確保します。

このスケジュールのフルオープン文化があったので、テレワークにおいてもスムーズにコラボレーションができました。

Googleカレンダー等のスケジュール共有アプリの導入はテレワークでの効率的なコラボレーションに必須です。未だな会社は早急に導入することをお勧めします。

2 非同期コミニケーションの積極活用

ミーティングや電話といった同期コミュニケーションは他人の生産性を著しく阻害します。集中して創造的な仕事に取り組んでいる時に電話が鳴ったり、会議に呼ばれて思考が中断すると、再び高い集中状態に戻すには平均25分を要するというデータがあります。

一方で、メールやチャットといった非同期コミュニケーションツールは相手の集中を邪魔することがありません。情報の受け手の都合の良いタイミングで集中して返信等の処理をすれば良いのです。

チャットやメールという非同期コミュニケーションを積極活用すれば、相手の生産性を阻害することなく、効果的にコラボレーションができます。

私がテレワークになって劇的に生産性が上がった理由もこの非同期コミュニケーションの活用です。

オフィスに出社していた時には席に座っていると「ちょっといいですか?」と話しかけられて思考が中断して生産性が下がっていました。追い込まれてどうしても集中しなければならない時には会議室に籠もって仕事をしていました。

現在は、Slackというビジネスチャットツールによる非同期コミュニケーションをメインとしているので、毎日、多くの時間を集中して創作活動に当てることができています。

社内でも、非同期コミュニケーションの積極活用を推奨しています。

同期コミュニケーションの会議をなるべく減らし、各人が自宅で集中して業務に取り組むことで高い生産性を実現しています。

「テレワークで仕事の生産性が下がった!」

そう、嘆く会社の方にその理由を聞くと、「以前より会議が増えて自分の仕事が進まない」という事象がほとんど。

会議が増えてしまった理由を深堀ると、

・情報共有のための定例ミーティングが乱立している

・会議をペースメーカーにして仕事を進めている

・みんながちゃんと働いているか心配なのか、部長がやたらとオンライン会議を設定する、等々

いずれの会議も、Slack等のビジネスチャットツールを導入して、非同期コミュニケーションによるコラボレーションを推奨すれば激減できそうです。

会議を減らし、個々人の集中時間を増やす「非同期コミニケーションの積極活用」はテレワークの生産性を飛躍的に上昇させます。

3 業務プロセスのデジタル化

紙の帳票がたくさん存在していてはテレワークは不可能です。

・発注書がFAXでやってくる

・納品書や請求書を紙で発送している

・経費の精算に紙の経費報告書を提出しなければならない

・高額物品の購入には紙の稟議書が必要等々

こんな状態では、紙の処理のために何度も出社しなければなりません。

テレワークでの生産性を上げるためには、上記の紙の帳票を前提とした業務プロセスを全てデジタル化することが必要です。

ワークハピネスでは、約10年前から、全ての帳票のデジタル化に取り組んできました。経費の申請、稟議書、経費の精算等、全ての社内承認プロセスはWebシステムでの電子承認です。またクライアントのご協力もあり、見積書、発注書、請求書等の帳票類も全てデジタル化してありました。

見積書、発注書、請求書等の業務がデジタル化しているという事はこれらの業務にRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を導入することが可能です。

今後は、人力で行っている見積書送付、請求書送付等の業務をRPAによって自動化していく予定です。

さらには、研修やワークショップ実施のスケジューリングや実施後のレポーティング業務、受講生のフォローアップ業務などにも積極的にRPAを導入して、メンバーが人間にしかできない創造的な業務に集中できる環境を整えていきます。

業務プロセスのデジタル化はその先のRPAを通じて更なる生産性の上昇につながります。

テレワークを機に、一気にデジタル化を進めることをお勧めします。

4 エンゲージメント向上策の実施

働きぶりが見えない不安から「サボっているかも?」と性悪説に立ち、業務の報告回数を増やし、会議を増やし・・・と過剰に管理しては生産性が落ちてしまいます。

「みんな仕事で高い成果をあげたいと思っている」と、メンバーを性善説で見なければテレワークで高い生産性を上げることは不可能です。

テレワークで高い生産性を上げるための土台となるのが従業員一人ひとりの仕事に対する意欲、つまりエンゲージメントです。

お互いの働きぶりを目では見れないけれど、心ではその奮闘ぶりが想像出来る状態です。

そこで鍵となるのが、リーダーの教育です。

メンバーのエンゲージメントは以下の二つの条件が整うことによって高まります。

・チームミッションへの共感

・自分らしい貢献

まず、リーダーがメンバーに対して、「なぜ、自分はこのミッションを追求したいのか?」を、自分の原体験からくる価値観とセットで語る必要があります。

リーダーのその率直で誠実な態度に信頼が生まれ、メンバーのチームミッションに対する共感が湧き上がります。

一番良くないのは、会社の上部から降ってきた目標を「会社からの指示で・・・」と、そのまま部下に伝えることです。

人間は人のために働きたいのです。尊敬するチームリーダーが「心から成し遂げたい!」と望んでいる目標だから、その実現に向けて協力したいのです。

実態のよくわからない「会社」からの指示ではモチベーションは高まりません。

チームの目標は、会社から割り振られるものではなく、チームリーダーが成し遂げたい目標でなければならないのです。

メンバーから、チームミッションへの共感が得られたら、次にリーダーがやるべきことは、メンバー一人ひとりの価値観、強み、才能を理解して、「君だから、この仕事を任せたい。」とメンバーを頼りにしていくのです。

中国古典の「史記」に、

士は己を知るもののために死す」という言葉があります。

人は、自分の、生い立ち、価値観、そして才能を見込んで仕事を与えられると、存在意義を感じて奮い立ちます。

同時に、そこまで自分を理解してくれたリーダーに対して好意が生まれます。「この人に喜んでもらいたい」、「この人の成功に貢献したい」という気持ちも、目の前の仕事に対する高いモチベーションにつながります。

チームメンバーのエンゲージメントを高められるリーダーを育てることがテレワークで高い生産性を上げるための土台となります。

テレワークへの恒久的な移行を決断した企業では、同時にマネージャー陣に対するエンゲージメント向上研修を重視しています。

ワークハピネスはもともと「ワークハピネスを増やす!」というミッションに共感して集まってきた集団です。

そして、年に数回の合宿やワークショップでのテーマは常に

・自分の価値観と才能を理解する

・ワークハピネスにおける自分のミッションを語る

エンゲージメントを高めることは私たちの日常活動でした。このことが100%テレワークへの移行を成功させた一番大きな土台であったと確信しています。

テレワークの恒久化を検討しているチームや企業の皆さんはぜひ参考にしてみてください。


株式会社ワークハピネスは人材育成研修・組織開発コンサルティングを通して
人と企業の「変わりたい」を支援し、変化に強い企業文化をつくる支援をしています。 
新入社員〜管理職・役員研修のほか、全社向けチームビルディングまで
貴社の職場課題に合わせたカスタマイズ対応が可能です。

ウェブサイトにはこれまでに弊社が支援させていただいた研修および
組織コンサルティングの事例を掲載しております。ぜひご参考ください。

この記事を書いた人この記事を書いた人

吉村慎吾

公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて世界初の日米同時株式上場を手がける。創業した株式会社エスプール(現東証1部上場)は現在時価総額約600億円の企業に成長。老舗ホテルのV字再生、水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービスなど、数々の常識を覆すイノベーションを実践してきた。

現在経営するワークハピネスは、3年前からフルフレックス、リモートワークをはじめとした数々の新しい働き方や制度を実証。その経験を生かし、大企業の新規事業創出や事業変革、働き方改革で多くの実績を持つ。2020年4月に自社のオフィスを捨て、管理職を撤廃。フルリモート、フルフレックスに加え、フルフラットな組織で新しい経営のあり方や働き方を自社でも模索し、実践を繰り返している。

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