新人育成のコツとは?新入社員教育の成果をあげる心構えを解説
新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延している現在、わたしたちの生活は大きく様変わりしています。新人採用についても面接や入社式をオンラインで行うなど、今まででは考えられなかった状況に、採用する側もされる側も不安や戸惑いを抱えているのではないでしょうか。
入社後の新人研修もテレワークで行うなど、これまでとは違ったやり方が求められるなか、これからの新人はどのように育てたらよいのでしょうか。
この記事では、最近の新入社員にみられる特徴や、コロナ禍における新人育成のコツについて解説します。新人教育をスムーズにかつ効果的に進めるために、ぜひ役立ててください。
最近の新入社員って?
「最近の若い者は…」などとジェネレーションギャップを嘆く声はいつの時代にも聞かれるものです。しかしながら『バブル世代』や『ゆとり世代』などとカテゴライズされるように、その世代ごとの特徴はあるものです。
新入社員を育成する際には、その世代の特徴をふまえて適切な接し方をする必要があるでしょう。最近の新入社員は『デジタルネイティブ』あるいは『ジェネレーションZ』と呼ばれる世代で、次のような特徴や傾向がみられます。
失敗が怖い
1990年代以降に生まれは『デジタルネイティブ世代』と呼ばれています。1995年に『Windows95』が発売されたことをきっかけに、一般家庭にインターネットが急速に普及しました。そのため、物心ついたころには身のまわりにインターネットが当たり前のようにあり、小中学校からパソコンを使った授業を経験しています。
この世代には、なにごともまずインターネットで検索するという特徴がみられます。簡単に情報を仕入れることができるため、自分で考えて決断・行動することがあまり得意ではありません。知識や情報がないと、失敗を恐れてなかなか行動に移せないという傾向があります。
承認欲求が強い
デジタルネイティブ世代はSNSの利用に慣れています。ブログで自分の考えを発信したり、動画サイトで自分を表現したりすることにも抵抗がありません。インターネットでの発信は、誰もが気軽に利用・参加できます。ちょっとしたことがきっかけで世間の注目を集め、いきなり有名人になることもよくあることです。
そんな影響からか、最近の新入社員は「周囲から認められたい」「注目されたい」「ほめられたい」という承認欲求が高い傾向にあります。小中学生が憧れる職業にYouTuberが上位にラインクインしていることや、ブログやSNSのフォロワー数にこだわりが強いことなどからもその傾向がうかがえるのではないでしょうか。
プライベートも充実させたい
以下に紹介するのは、公益財団法人 日本生産性本部が新入社員に実施した『働くことの意識』調査結果の一部です。最近の新入社員は仕事よりも私生活を充実させたいと考える傾向が年々強くなっていることがわかります。
生活の中心 | 仕事 | 私生活 | 両立 |
---|---|---|---|
2017年度 | 6.9% | 14.0% | 79.1% |
2018年度 | 6.7% | 15.2% | 78.0% |
2019年度 | 6.0% | 17.0% | 77.0% |
働き方 | 人並み以上に働きたい | 人並みで十分 |
---|---|---|
2017年度 | 34.9% | 57.6% |
2018年度 | 31.3% | 61.6% |
2019年度 | 29.0% | 63.5% |
デートか残業か | デート優先 | 残業優先 |
---|---|---|
2017年度 | 28.7% | 71.0% |
2018年度 | 30.9% | 68.5% |
2019年度 | 36.0% | 63.7% |
※参考
平成31年度 新入社員「働くことの意識」調査結果|公益財団法人 日本生産性本部
新入社員教育のコツとは?
新人教育を行う際は、その世代が持つ特徴をふまえ、相手の目線に立って指導することが大切です。意見の押しつけや説明不足は、新人の成長を妨げることになりかねません。
では、失敗が怖くてなかなか行動できない反面、承認欲求は強めという最近の新入社員は、どのように教育したらよいでしょうか。ここでは、新人教育の基本に加え、最近の新人の特徴にあわせた新入社員教育のコツについて解説します。
少しずつ確実にステップアップ
学校を卒業したばかりの新入社員は、仕事のことはもちろん社会についてもわからないことが多く、不安を抱えています。そのため、仕事の目的や背景、ビジネスマナーといった基本的なことから、一つひとつ丁寧に教える必要があります。基本をしっかり習得していないと、ルーティンワークをこなすだけのスキルしか身につきません。想定外の事態が発生したときに自分で考え判断するスキルを育てるには、少しずつ確実にステップアップさせるのが理想です。
特に最近の新入社員は、ほかの世代に比べて失敗を恐れる傾向が強いため、いきなりの実務には抵抗を感じることが多いようです。段階を追って丁寧に教えるようにしましょう。また、失敗したとしても感情的になってはいけません。事実を端的に伝え、注意された原因や繰り返さないための方法などを冷静に話し合うようにしてください。
こまめな声掛けが有効
「注目されたい」「ほめられたい」といった承認欲求を抱える最近の若者世代には、こまめな声掛けが効果的です。
特に、テレワークでは上司や先輩のやり方を見て覚えるといった従来のやり方が通用しません。コミュニケーションも少なくなりがちで、新人でなくても孤独感を深めてしまうことがあります。オンラインミーティングなどの機会を頻繁に設けて情報を共有するとともに、メールやチャットなどのツールを駆使してこまめなコミュニケーションを心がけましょう。
価値観は個々に異なることを肝に銘じる
世代はもちろん、育った環境や生まれ持った性質、そのときに置かれている立場によって、ものの考え方は異なります。相手が右も左もわからない新人だからといって、上司や先輩が自分の価値観を押しつけてはいけません。よかれと思ったことでも、新人のモチベーションを下げてしまうことがあるためです。
前出の意識調査からもわかるように、最近は「仕事は大切だが、プライベートはもっと大切」と考える新入社員が増えています。仕事を優先してきた管理職世代には理解しがたいこともあるかもしれませんが、価値観が異なることをまずは認めるようにしましょう。
ただし、仕事上の考え方が目指すべき目標や理念とずれている場合には、方向修正が必要です。経験が少ない新入社員は、理論だけを説かれても理解することは難しいでしょう。たとえ話や過去の事例なども織り交ぜつつ、具体的に説明するようにしてください。
新入社員の教育方法は?
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、わたしたちは日常生活や働き方などを変えざるを得なくなりました。ビジネスにおいても、今までとは違う新しい基準が必要とされています。
こうした時代の転換期は『ニューノーマル』と呼ばれ、近年では1990年代以降のインターネットの普及、2008~2009年のリーマンショックに続き、3回目の節目を迎えたといわれています。
アフターコロナのテレワークが推し進められたニューノーマル時代には、どのように新入社員を教育していけばよいのでしょうか。ここでは新人教育を内定・入社・実践の3段階に分け、それぞれのポイントを解説します。
内定段階
内定直後はまだ同期とのつながりが浅く、これから始まる仕事や職場に不安を感じている段階です。テレワーク導入により『出社』という概念がなくなり、学生から社会人への気持ちの切り替えができない新人も少なくないでしょう。
そのため内定段階で優先すべきことは、組織の一員であることを理解させ、早く組織になじませることです。組織から歓迎されていると感じることができれば、仕事や職場の人間関係に前向きに考えられるようになります。
この時期の新人教育の具体的なテーマは、内定者同士のチームビルディング、上司・先輩との接点づくりです。ミーティングの際には仕事の話ばかりではなくプライベートな話題など交え、気軽な雰囲気を作ってみてください。内定者同士や上司・先輩との距離も縮まり、社員の一体感が生まれるでしょう。
入社段階
入社してしばらくは職場の雰囲気に慣れるのに必死で、まだ実践的な業務を任せられる時期ではありません。ただし「自分の持つ能力や経験がこの会社でどう活かされるか」を知ることは、新人のモチベーションアップにつながります。どのように評価されるのか、どのようにキャリアアップしていくかなどの相談には積極的に応じるようにしましょう。
入社早々にテレワークとなる場合は、前述のとおり社会人としての自覚が薄いケースが見受けられます。反対に「何を学べばよいのかわからない」「上司や先輩に相談しづらい」など孤独感を深めて意欲をなくすケースもあります。
まずは、テレワーク下で自己管理と責任をもって業務を全うする倫理観、自ら目標を立て行動・学習する主体性を育てるような教育を心掛けてください。
実践段階
実践段階に移ったら、短期間で達成できる業務から任せていきましょう。3ヶ月・6ヶ月・9ヶ月など短期的なゴールと、期間内に必ず達成できるタスクを与えるのがポイントです。成功体験を積み重ねることによって自信を高め、自律した人材に育てることを目標とします。
一方で、この時期の新人は「学んだことが実践できているだろうか」「仕事の進め方が合っているだろうか」といった不安を抱きがちです。また、慣れない仕事に忙殺され「自分のやりたいことや目標がわからない」といった悩みを抱えることもあります。
先輩社員を相談相手にする『メンター制度』や定期的にそれまでの仕事を振り返って具体的な目標を立てる『フォローアップ研修』などを活用し、モチベーションの維持を図るようにしましょう。
新入社員を伸ばして組織を固めよう
新しい働き方として注目されるテレワークですが、求められる能力はこれまでと本質的なものは大きくは変わりません。ただ、新人研修では対面と同じような能力を発揮できないこともあります。従来行われてきた社内OJTが難しいだけに、個々の基礎力を養うことが重要な課題といえるでしょう。
Workhappinessが提供する新人育成プログラムでは、短時間の研修と実践を複数回に分けて行います。インプットとアウトプットの繰り返しを積み重ねるため、学びのポイントが明確になり、すぐに実践に生かせるのが特徴です。また、従来の受け身になりがちな研修とは異なり、主体的に学び、考えられる新人育成を強みとしています。これからの新人教育についてお悩みを抱えている方、どのように新入社員の成長を促せばよいか決めかねている方はぜひ一度弊社のセミナーをチェックしてみてはいかがでしょうか。
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大学卒業後、上場派遣会社に入社し、その後、教育系子会社のエスプール総合研究所(現:ワークハピネス)へ。
各種サーベイなどの設計・開発、人事制度構築、理念浸透などのコンサルティングを経て、教育周りの企画提案を主な業務とする法人営業を担当。関西地域で大手上場企業の新規開拓をメインに携わり、お客様の理念体系、今後の戦略に沿った、「人の育成」「仕組みの整備」を体系的に提案することを得意としている。
2019年からマーケティングチームの立ち上げに責任者として関与。デジタルの力を活用して、会社の売れる仕組みづくりを構築している。